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第三の依頼

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 「さて、と。
これだけ買っとけば大丈夫だな。」

 皆、さすがに疲れてたみたいで、次の朝はいつもより少し遅い時間に目を覚ました。
のんびりと過ごして、昼過ぎからは町へ買い物に出掛けた。
 昨日、アイリンさんが誘ってくれたから、今夜は劇場にショーを見に行って、明日の朝、出発することになったんだ。



 「本当にあんなに踊りのうまい踊り子は滅多にいないぞ!
なんでも、今は吟遊詩人との共演らしくってな。
その吟遊詩人がこれまた素晴らしい声をしてるらしいんだ。」

 「それは楽しみですね!」



 確かにものすごく楽しみだ。
 僕は今までライブというものに行ったことがない。
 近所のスーパーの催し会場で、聞いたことのない名前の漫才師を見たことがあるくらいだ。
それに、最初に会った時のアイリンさんの衣裳と来たら……
あれを思い出すだけでも顔が熱くなって来る。

 待ちきれない気持ちを押さえつつ、僕達はショーが始まるまでの時間を思い思いに過ごした。

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