自分探しクエスト

第四の依頼

１２

＊



 「おぉ、良いのがあるある！」

 「この店は品揃えが豊富だな。」



 隣の防具屋は、武器屋の倍くらいの広さがあって、エドガーの言う通り、商品の数も多い。
でも、こんなにあったって、どうせ僕に装備出来るのは……



（……ん？）



 部屋の壁に、僕は妙に目立つものを発見した。
なんというのか、昔のヨーロッパあたりの貴族が着ていそうなデザインの、派手だけど品の良い服だ。
とにかくかっこいい。
あんなのをエドガーが着たら、ますますかっこよくなりそうだ。
それにしても、どんな職業の人が装備出来るものなんだろう？
 僕は、服の傍に近付いた。



 「すみません。この服は……」

 「おっ！お客さん、お目が高い！
 早速、合わせてみますかい？」

 「え…いえ……」

 防具屋のおやじは、壁からその服を降ろして、僕の前に差し出した。



 「あの…これはどんな職業の人が…」

 「これは職業もレベルも関係ない。
だから、当然、あんたにも着れるぜ！」

 「えっ！本当ですか？」



うそっ！？こんな格好良い服が僕にも装備出来るなんて……
僕は、信じられない想いでいつもの肉じゅばんを脱ぎ、その服に着替えた。



 「おぉっ！」



 鏡に映る僕は、いつもとは別人みたいに格好良かった。
まるで、呪いをかけられて醜い姿に変えられてた王子が、元の姿に戻ったみたいだ。
しかも、服のサイズはまるで僕にあつらえたみたいにぴったりだった。



 「おっ、いーさん、なかなか良いじゃないか。」

 「いーさん、似合ってますよ！」

 「ほ、本当？じゃ、じゃあ、僕、これにするよ！」



 嬉しくてたまらない気持ちをぐっと抑え、なるべく平静を装ったつもりだったけど、それでもにやける。
だって、嬉しいんだもん！
やっとあの肉じゅばんから解放されて、しかも、これからはこんな格好良い服を着られるなんて……あぁ、夢みたいだ。