扉(ちょっとだけ)ロングバージョン

神在琉葵(かみありるき)

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「もしもし、三島?」

 「どうした?
 扉はみつかったのか?」

 「今、駅の前の大通りにいる。
とにかくすぐに来てくれ。」



それだけ言って、僕は一方的に電話を切った。
 僕は、元の世界に戻って来られたんだろうか?
それとも…
不安と期待が僕の心を埋め尽くした。



 「中村~!」

 5分もしないうちに三島は現れた。
 大きく手を振りながら三島が駆けて来る。
 僕も同じように手を振った。



 (あっ!)



 僕は、三島の服装が変わっていることに気が付いた。
さっきまでのパーカーではなく、スーツを着ていたのだ。
 俄かに期待が大きくなった。




 「三島!答えてくれ!
 僕の働いてる場所はどこだ?」

 「そんなのローポンに決まってるだろ。」

 「え…!?」




なんてことだ。
 僕は…元の世界には戻っていなかった。
いや、そもそもパラレルワールドなんて考えが、間違いだったのか…



「嘘だよ!
 〇〇〇カンパニーに決まってんだろ!」

 三島が笑いながら僕の背中を叩く。



 「ほ、本当か!」

 「あぁ、本当だ!」

 「じゃあ、1000円を見せてくれよ!」

 三島は、ポケットから財布を取り出し、そして1000円硬貨を手の平に載せて差し出した。



 「やった~!」

 僕は、三島に抱き着いた。
 普段、そんなことはしないから、三島はびっくりしてたけど、そんなこと構うもんか!
 僕は戻って来たのだ!
 元の世界に…!
たった一日のことだったとはいえ、不安でたまらなかったあの世界から、僕は戻って来たのだ!


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