タイムトリップはいかがですか?

神在琉葵(かみありるき)

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左の道

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もしかして…これは…俺が見ているのは夢なのか? 



彼女が近付いて来るごとに、俺は目の前の光景を疑った。 



こんなに都合の良い話があるだろうか? 



タイムトリップで、人生の一部をやり直した。 
やり直したのは記憶の中の過去なのに、現実さえもが変わって来ている。 
それも良い方にだ。
だけど、こんなの、いくらなんでもやりすぎだろう。 



そうだ…俺はきっと今、夢を見てるんだ。 
そうでなきゃ、こんな奇跡みたいなことがあるはずがない。



「翔さん!」

俺の胸に飛び込んだ幸の衝撃を受け留める。 




横断歩道であいつを抱き締めた時、世界の時が止まった気がした。 



「幸…」



夢でも良い。 
たとえ、俺が今、なんらかの原因で死にかけていて、幻覚を見ているのだとしても… 
それでも良いから、このまま時が止まって欲しいと思った。
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