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思春期プライド
其ノ四
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日はかなり傾いて、西の空はまだ赤いけど、足元ははっきりとは見えなくなってきている。
蘇芳の家はかなり年季が入っていて、壁の木材が所々剥がれかけている。それに、敷地を取り囲むコンクリート製の壁もかなり古くて、場所によっては瓦解してしまっているから気をつけなければならない。
家の側面と敷地内の壁の間には人一人分くらいの隙間がある。そこを通れば建物の裏側へと回ることができる。地面は土で、最近は誰も整備してないから、生えてきた雑草が邪魔で仕方がない。
蘇芳が裏手へと回ると、通ってきた道よりもやや広いスペースが広がっていて、壁の真ん中には鉄製の引き戸がついてある。ここが、隣接する神社と家とを繋ぐ唯一の境界だから、本殿に向かうためにはここを通るのが一番早い。
こうして言われた通り、素直に刀を取りに行っているが、蘇芳はばあちゃんの話を完全に鵜呑みにしたわけではない。むしろ疑心の方が強いし、それ以上に、漠然とした絵空事を突然語り始めたばあちゃんが少し心配だ。縁を切る? 何を言い出すかと思えば。
けれどそれでも逆らえない辺り、親同然に育ててくれたばあちゃんは、自分にとってそれだけ大きな存在なんだと再認識させられる。
家裏の扉を抜けると、ちょうど神社の裏手に繋がっていて、そこから石畳に沿うように伝っていくと、やがて本殿へと到着する。本殿の扉にかけられた鍵を開錠して、中へと入った。
本殿の中は真っ暗で、何ひとつ見えやしない。人があまり出入りしないせいか、妙に埃っぽくて、どことなく湿っぽい。電気をつけると、中央奥の神座と、その周りに祭ってある神具が顔を覗かせて、荘厳な印象を抱かせた。
周囲を見渡すと、目的のものはあっさりと見つかった。神棚の正面、一番目につく位置に木製の柄を持つ木製の鞘に納められた刃渡り七十センチ程度の一本が刀掛けの上に据えられている。
「これのことか」
ゆっくりと手に取ってみる。日本刀というとずっしりと重たいんだろうというイメージを何となく持っていたけれど、それ以上にこの刀はずっと重たくて、少しだけ熱を帯びているようにも感じられた。それこそ動物を握ってるような感覚に近い。ウサギとか犬とかが手の中にすっぽりと納まっているような奇妙な気分に苛まれる。
「――そんなに見とれちゃって、どうしたの?」
声はどこからか、前触れもなくかけられた。思わず刀を地面に落とした。慌てて咄嗟に振り返る。けれど、そこには人影はおろか気配すら感じられない。気のせいだったのか。
蘇芳がもう一度神棚の方を振り返って、そこで驚いた。
――強烈な後光がさしていた。
と錯覚した。でも違った。見たのは長い金髪だった。
地面に擦るほどに伸ばされた金髪を下げた少女が目の前に立っていた。まるで一本一本の毛から輝きを放っているような色艶と、女の髪に頓着のない蘇芳でもはっきりと分かるほどに毛の先まで艶やかで煌びやかなそれに、幻想でも見ているかのような気分にさせられてしまう。少女は立派な衣を重ね羽織りしていて、古来の高貴な女性を思わせる風格というか雰囲気のようなものを持ち合わせていた。金髪に衣装束という歪な組み合わせがどこか不自然で、でもなぜか目を奪われてしまうこの状況に、蘇芳は一抹の無言を強いられた。
見たことのない顔だった。当然知り合いではないが、多分街中とかでもすれ違ったことがないと自信を持って言える。日本人らしい系統の顔立ちだが、その碧眼と長円形の頭がどこか別の国の血筋を感じさせるし、やや幼さの残るあどけない印象を持ちながらも、その奥に豊富な人生経験を彷彿とさせる成熟したものを内包している感じもする。極めて矛盾している彼女の外見が蘇芳には全く見慣れないものだった。
「いきなり落としちゃうなんて酷くない? っておーい。大丈夫? そんなにボーっと突っ立って。もしかしてわたしに見とれちゃった?」
やや時間は弄したが、蘇芳はそこでようやく我に返った。そして思う。
「誰だお前」
「何その言い方。すごく失礼なんですけど」
ここは藤原家が所有する神社の本殿の中で、身内以外は基本的に出入りしない。目の前の少女には見覚えがないし、そもそも金髪の時点で血縁者でないことは明白。少女が眼前にいることは明らかに不自然極まりない。いったい何者なんだ? 少し考えて、まあ可能性は一つだろうなと思い至った。
「あぁ参拝客の……」
ここは縁切り神社として知られていて、一般の参拝客も多く訪れる。表の扉はうっかり開いたままで、中の電気がついているとなると、間違えて本殿に入ってきてしまう人がいても不思議ではない。
なら、彼女は一応うちの神社のお客様。
「すみません、参拝であれば本殿の外でお願いします。この中は基本立ち入り禁止なんで」
蘇芳は、普段は決して見せない接客用の笑顔を作って対応する。こうしていれば、大概の人間は言うことに従って回れ右をしてくれるだろう。けれど……。
けれど少女は引き返すどころか、呆れたようなため息を漏らした。
「ふーん。菊からなにも聞いてないんだ。ほんと、あの子って人任せな所あるよねぇ」
『菊』
それがうちのばあちゃんの名前だと気がつくまでにそう時間はかからない。
ばあちゃんを呼び捨てにした。しかも、見ず知らずの少女が。違和感ばかりが重なりやがるから、次第に頭が混乱してくる。そんな蘇芳をよそに、金髪少女は一歩一歩と近づいてきて、いつの間にか眼前でこちらを見つめていた。蘇芳と目が合うと少女はニッと白い歯を見せて。
「わたしの名前は――ヨスガ。今から大体八百年くらい前かな、当時この地に御わした神様の、能力の一部を切り離して生み出された存在がこのわたし。どう、分かってくれたかな?」
意味は分かるはずもなかった。突拍子もないことを突然話されても、理解を示せるはずもない。
「いや、全然」
そう答えると、少女は頬を膨らませて喚き始める。
「だから、わたしは神様の力を分けた精霊だってこと! 普段は刀の形をしていて、さっきあなたが手に取った日本刀が、わたしのもう一つの姿なの」
ヨスガと名乗った少女は、蘇芳のことをからかっているようだった。適当なことを言って、蘇芳の言葉に従う気はないらしい。さっきのばあちゃんといい、今日は気が振れてしまっている人ばかり相手をする日らしい。やってられない。なら強引にでも連れだすしかないだろう。
「何意味の分からないこと言ってんだよ。ここは神聖な神殿だぞ。ふざけていい場所じゃないんだ。ほら行くぞ」
とりあえず、少女に外に出て欲しい蘇芳は、扉の方へと歩いていく。
「あっ、その反応、全然信じてない。本当なんだからね。本当に本当なんだからね」
ただ、少女についてくる気配はなく、立ち止まったまま。こうなったら、それはもう強引にでも引っ張るしかない。蘇芳は引き返すと、致しかたなく少女の手首を掴んだ。
――でも、掴めなかった。
最初は自分がうっかりしていたんだと思った。けれど、二回目も自分の手が少女の腕をすり抜けた時は、さすがに身も心も凝然とさせられた。
少女がニヤニヤと得意げにしている。
確認として、もう一度だけ少女の腕を掴む。そして、掴み損なう。
「な、なんだよこれ」
目の前の珍事に衝撃を受け、あまりの出来事に驚きを隠せない。持っていた刀はすでに地面に転がっている。
「ふふん。これで信じてくれた?」
「ど、どうなってんだよ」
何が起きても基本的に動じないタイプの蘇芳。声を上げておののいたのは何年ぶりだろうか。それほどの動揺。
「精霊なんだから私が許さない限り、誰にも触れられないの」
心臓がバクバクと音を立てていた。けれどそれは瞬間的なものだったらしく、意外とすぐに冷静を取り戻した。
平静に戻っても、まだどこか頭の中はふわふわとしていて、依然夢から覚めてないような気に陥った。でも、状況自体は割とあっさりと飲み込むことができ、それがまた興奮を連れてくる。蘇芳の脳みそは、興奮と沈静を繰り返していた。
「ふふん。ようやく私のすごさを理解してくれたようね」
「俺は夢でも見てるのか」
「まあまあ、そんなに驚かなくても、これから何十年も一緒に縁切りをしていくんだし、仲良くしようよ」
『縁切り』という言葉に引っかかる。さっき、ばあちゃんからさんざん聞かされた絵空事。それらが頭の中でリンクしようとしていた。
「ちょっと待った。それってどういう……」
「さっきも言った通り、わたしは八百年前、この地に顕現された縁切りの神様によって生み出され、縁切りの能力を託された精霊なの。それであなたたち藤原家が、代々わたしの能力を引き出す力を持ってる一族っていうわけ。つまり、これからはあなたがわたしの力を引き出して縁切りの命を果たしていくことになるんだよ。よろしくね、藤原蘇芳くん」
蘇芳の家はかなり年季が入っていて、壁の木材が所々剥がれかけている。それに、敷地を取り囲むコンクリート製の壁もかなり古くて、場所によっては瓦解してしまっているから気をつけなければならない。
家の側面と敷地内の壁の間には人一人分くらいの隙間がある。そこを通れば建物の裏側へと回ることができる。地面は土で、最近は誰も整備してないから、生えてきた雑草が邪魔で仕方がない。
蘇芳が裏手へと回ると、通ってきた道よりもやや広いスペースが広がっていて、壁の真ん中には鉄製の引き戸がついてある。ここが、隣接する神社と家とを繋ぐ唯一の境界だから、本殿に向かうためにはここを通るのが一番早い。
こうして言われた通り、素直に刀を取りに行っているが、蘇芳はばあちゃんの話を完全に鵜呑みにしたわけではない。むしろ疑心の方が強いし、それ以上に、漠然とした絵空事を突然語り始めたばあちゃんが少し心配だ。縁を切る? 何を言い出すかと思えば。
けれどそれでも逆らえない辺り、親同然に育ててくれたばあちゃんは、自分にとってそれだけ大きな存在なんだと再認識させられる。
家裏の扉を抜けると、ちょうど神社の裏手に繋がっていて、そこから石畳に沿うように伝っていくと、やがて本殿へと到着する。本殿の扉にかけられた鍵を開錠して、中へと入った。
本殿の中は真っ暗で、何ひとつ見えやしない。人があまり出入りしないせいか、妙に埃っぽくて、どことなく湿っぽい。電気をつけると、中央奥の神座と、その周りに祭ってある神具が顔を覗かせて、荘厳な印象を抱かせた。
周囲を見渡すと、目的のものはあっさりと見つかった。神棚の正面、一番目につく位置に木製の柄を持つ木製の鞘に納められた刃渡り七十センチ程度の一本が刀掛けの上に据えられている。
「これのことか」
ゆっくりと手に取ってみる。日本刀というとずっしりと重たいんだろうというイメージを何となく持っていたけれど、それ以上にこの刀はずっと重たくて、少しだけ熱を帯びているようにも感じられた。それこそ動物を握ってるような感覚に近い。ウサギとか犬とかが手の中にすっぽりと納まっているような奇妙な気分に苛まれる。
「――そんなに見とれちゃって、どうしたの?」
声はどこからか、前触れもなくかけられた。思わず刀を地面に落とした。慌てて咄嗟に振り返る。けれど、そこには人影はおろか気配すら感じられない。気のせいだったのか。
蘇芳がもう一度神棚の方を振り返って、そこで驚いた。
――強烈な後光がさしていた。
と錯覚した。でも違った。見たのは長い金髪だった。
地面に擦るほどに伸ばされた金髪を下げた少女が目の前に立っていた。まるで一本一本の毛から輝きを放っているような色艶と、女の髪に頓着のない蘇芳でもはっきりと分かるほどに毛の先まで艶やかで煌びやかなそれに、幻想でも見ているかのような気分にさせられてしまう。少女は立派な衣を重ね羽織りしていて、古来の高貴な女性を思わせる風格というか雰囲気のようなものを持ち合わせていた。金髪に衣装束という歪な組み合わせがどこか不自然で、でもなぜか目を奪われてしまうこの状況に、蘇芳は一抹の無言を強いられた。
見たことのない顔だった。当然知り合いではないが、多分街中とかでもすれ違ったことがないと自信を持って言える。日本人らしい系統の顔立ちだが、その碧眼と長円形の頭がどこか別の国の血筋を感じさせるし、やや幼さの残るあどけない印象を持ちながらも、その奥に豊富な人生経験を彷彿とさせる成熟したものを内包している感じもする。極めて矛盾している彼女の外見が蘇芳には全く見慣れないものだった。
「いきなり落としちゃうなんて酷くない? っておーい。大丈夫? そんなにボーっと突っ立って。もしかしてわたしに見とれちゃった?」
やや時間は弄したが、蘇芳はそこでようやく我に返った。そして思う。
「誰だお前」
「何その言い方。すごく失礼なんですけど」
ここは藤原家が所有する神社の本殿の中で、身内以外は基本的に出入りしない。目の前の少女には見覚えがないし、そもそも金髪の時点で血縁者でないことは明白。少女が眼前にいることは明らかに不自然極まりない。いったい何者なんだ? 少し考えて、まあ可能性は一つだろうなと思い至った。
「あぁ参拝客の……」
ここは縁切り神社として知られていて、一般の参拝客も多く訪れる。表の扉はうっかり開いたままで、中の電気がついているとなると、間違えて本殿に入ってきてしまう人がいても不思議ではない。
なら、彼女は一応うちの神社のお客様。
「すみません、参拝であれば本殿の外でお願いします。この中は基本立ち入り禁止なんで」
蘇芳は、普段は決して見せない接客用の笑顔を作って対応する。こうしていれば、大概の人間は言うことに従って回れ右をしてくれるだろう。けれど……。
けれど少女は引き返すどころか、呆れたようなため息を漏らした。
「ふーん。菊からなにも聞いてないんだ。ほんと、あの子って人任せな所あるよねぇ」
『菊』
それがうちのばあちゃんの名前だと気がつくまでにそう時間はかからない。
ばあちゃんを呼び捨てにした。しかも、見ず知らずの少女が。違和感ばかりが重なりやがるから、次第に頭が混乱してくる。そんな蘇芳をよそに、金髪少女は一歩一歩と近づいてきて、いつの間にか眼前でこちらを見つめていた。蘇芳と目が合うと少女はニッと白い歯を見せて。
「わたしの名前は――ヨスガ。今から大体八百年くらい前かな、当時この地に御わした神様の、能力の一部を切り離して生み出された存在がこのわたし。どう、分かってくれたかな?」
意味は分かるはずもなかった。突拍子もないことを突然話されても、理解を示せるはずもない。
「いや、全然」
そう答えると、少女は頬を膨らませて喚き始める。
「だから、わたしは神様の力を分けた精霊だってこと! 普段は刀の形をしていて、さっきあなたが手に取った日本刀が、わたしのもう一つの姿なの」
ヨスガと名乗った少女は、蘇芳のことをからかっているようだった。適当なことを言って、蘇芳の言葉に従う気はないらしい。さっきのばあちゃんといい、今日は気が振れてしまっている人ばかり相手をする日らしい。やってられない。なら強引にでも連れだすしかないだろう。
「何意味の分からないこと言ってんだよ。ここは神聖な神殿だぞ。ふざけていい場所じゃないんだ。ほら行くぞ」
とりあえず、少女に外に出て欲しい蘇芳は、扉の方へと歩いていく。
「あっ、その反応、全然信じてない。本当なんだからね。本当に本当なんだからね」
ただ、少女についてくる気配はなく、立ち止まったまま。こうなったら、それはもう強引にでも引っ張るしかない。蘇芳は引き返すと、致しかたなく少女の手首を掴んだ。
――でも、掴めなかった。
最初は自分がうっかりしていたんだと思った。けれど、二回目も自分の手が少女の腕をすり抜けた時は、さすがに身も心も凝然とさせられた。
少女がニヤニヤと得意げにしている。
確認として、もう一度だけ少女の腕を掴む。そして、掴み損なう。
「な、なんだよこれ」
目の前の珍事に衝撃を受け、あまりの出来事に驚きを隠せない。持っていた刀はすでに地面に転がっている。
「ふふん。これで信じてくれた?」
「ど、どうなってんだよ」
何が起きても基本的に動じないタイプの蘇芳。声を上げておののいたのは何年ぶりだろうか。それほどの動揺。
「精霊なんだから私が許さない限り、誰にも触れられないの」
心臓がバクバクと音を立てていた。けれどそれは瞬間的なものだったらしく、意外とすぐに冷静を取り戻した。
平静に戻っても、まだどこか頭の中はふわふわとしていて、依然夢から覚めてないような気に陥った。でも、状況自体は割とあっさりと飲み込むことができ、それがまた興奮を連れてくる。蘇芳の脳みそは、興奮と沈静を繰り返していた。
「ふふん。ようやく私のすごさを理解してくれたようね」
「俺は夢でも見てるのか」
「まあまあ、そんなに驚かなくても、これから何十年も一緒に縁切りをしていくんだし、仲良くしようよ」
『縁切り』という言葉に引っかかる。さっき、ばあちゃんからさんざん聞かされた絵空事。それらが頭の中でリンクしようとしていた。
「ちょっと待った。それってどういう……」
「さっきも言った通り、わたしは八百年前、この地に顕現された縁切りの神様によって生み出され、縁切りの能力を託された精霊なの。それであなたたち藤原家が、代々わたしの能力を引き出す力を持ってる一族っていうわけ。つまり、これからはあなたがわたしの力を引き出して縁切りの命を果たしていくことになるんだよ。よろしくね、藤原蘇芳くん」
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