だから僕は男の娘じゃないっ!

飛永英斗

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カキナの日常編

海上で海の幸のお祭りっ!

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  今日の放課後は、モモミ校長に呼ばれて校長室に行くことになった。また耳かきASMRでもやらせるつもりなのかな……?


 「失礼します。……あれ、缶詰め隊の皆さんも?」


  ドアを開けると、椅子にオデン隊長、サバキさん、タラバさんの三人が腕を組みながら座っていた。


 「よぉカキナ。今日も来てくれてご苦労だ」

 「あ、あの……今日はモモミ校長にご用があって来たんですけど……」

  「俺達も同じに決まってんだろぉカキナぁ? もうすぐ来るからよ、ほら、そこ座れ」


  サバキさんに圧を掛けられながら、僕も椅子に座らせて貰った。やっぱり雰囲気が出てるなぁ……。


 「皆様、大変お待たせしました」

 「おまたせー! あ、カキナちゃんも来たね! じゃあ改めて、今回集まってもらった理由を話そっか!」


  何やら様々な資料を抱えながら、モモミ校長と教頭が歩いてきた。そして、僕たちにその資料を渡してきた。


  「なになに……(海の幸大漁ゲット祭り!)だって。楽しそうな祭りですね」

  「でしょー!? 取った魚は食べ放題なの! これをみんなで行ってきてほしーの!!」


 ──は? いや、完全に行かないつもりでああいうリアクションしたんだけど。僕が漁船に乗るって事?


  「実はね、毎年このお祭りにさんかしてるんだけどー、今回はきゅーよーが入っちゃってねー、だから代わりに行ってほしーの!」

  「私からもお願い致します。毎年参加させて貰っている大会で、今回行かないと、ある契約を切らされてしまうので、必ず参加しなければならないのです」

  「へぇ、何の契約だか知らないけど、楽しそうじゃない。道楽も喜ぶな。あたしは参加するよ」

  「俺もいいぜぇ。海の幸が食い放題なら、答えを出すより先に足が動いちまうぜぇ」

  「……モモミ校長の言う事なら、断る理由もない。喜んで行かせてもらいます。な、カキナ」


  ──結局、僕も行く事になるのね……。





  ここで説明するのも何だけど、今の季節はである。半袖じゃないと暑くなってくる時期だ。

  海面に太陽が反射してギラギラ光る。今日はとてもいい天気だ。

  海には大量の漁船が浮かんでいる。10隻くらいだろうか。


 「それでは、只今より海の幸大漁ゲット祭りを開催します! 皆さん、楽しんでくださいね!」


  大会MCのお姉さんの声が漁港に響き渡ると、祭りの参加者が次々と船に乗り出し、次々と出港させた。


 「じゃあ、僕達も乗りましょうか。にしても……モモミ校長って自分の船持ってるんですね」

  「自家用消防車持ってるくらいだろぉ? こんな小型の舟きっと100隻は持ってるだろうな」

  「確かに、否定できないです……そういえば、この船誰が運転するんですか?」


  小型船って、免許が必要じゃなかったっけ? そんな人、ここにいるのか……?


  「あたしが運転するよ。なんせ、2級小型船免許持ってるからさ」


  いた。タラバさん、高校生でそんな高等な免許持ってるなんてすごいな……。


  「そういや、カキナには言ってなかったなぁ。タラバの家は魚屋で、定期的に漁に出てるんだよ」

  「そ、そうだったんだ……あれ、隊長ずっと黙り込んでいてどうしたんですか?」


  そういえば、朝から隊長の様子がおかしかった。乗り気じゃないというか、気分が沈んでいたような。


 「──やべ、忘れてた。隊長、船酔いするタイプの人だったんだ……」


  隊長は船の隅で体育座りをしながら蹲っている。顔色も悪い。


 「隊長、今なら間に合うっす! 無理しない方が……」
 
 「……馬鹿野郎、今更引き下がるなんて、男が廃る。タラバ、俺らの船も出航だ……」

 「ど、どうなっても知らないですよ!!」


  タラバさんは呆れた顔をしながら、運転席へ乗り込んだ。そして、船は徐々にスピードを上げて、全速前進した。


  「ウッ……ウプププ……」


  まだ300mくらいしか出てないのに、隊長は早くもリバースしてしまった。綺麗な海が汚れてしまった。


  「隊長! 奥に酔い止めの薬があったっす! ささ、早く飲んで……」


  サバキさんは隊長の口を拭き、酔い止めの薬を飲ませた。……だんだんと顔色も良くなってきた。


 「あ、ありがとよサバキ……あれ、何だあの船。こっち近づいてきてこねぇか?」


  隊長が指差す方を見ると、確かに1隻の船がこちらに近づいてきた。その中にはグラサンを掛けた男性が立っている。

  この日差しなら掛けていても不自然じゃないが、よく見ると、年がら年中グラサンを掛けている人だった。


  「缶詰め隊、降参しろ」


  そう。イチヂク団団長の、イチヂクだ。

─────────────────────
 次回へ続く。
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