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一時帰国
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お茶の飲みすぎでお腹がチャポチャポと言っている。
「大丈夫でございますかリュッセル様。わざわざここまで付きあわれる必要などなかったのですよ?」
「そ・・・それはそうだけど・・・・僕の好みの味まではまだまだだけど、基本としては少しずつ美味しくなっているから、つい・・・・」
好みのお茶を淹れれるようになる前に、基本をしっかりできていなければ意味がないということで、トレイスはまずジュベールに基本を淹れれるように叩き込んでいた。
「ご夕食までまだ時間がありますので、少し、お庭を散歩されてはどうですか?」
「そうだね、ご飯食べられないのは嫌だから、少し動いてくるよ」
この家にコックやメイドは一人もいない。
庭師は定期的に庭の手入れをしに来るけれど、この家にいる使用人は執事のみとなっている。
昔は何人もの使用人がいたらしいけど、グレイスとトレイスが執事になってから、使用人を雇うのを止めたらしい。
料理は祖母が作ったり、たまに母が作ることもあるけれど、グレイスやトレイスが作る時もある。
ジュベールが作る時もあったりするけど、簡単なものしか作る事が出来ないので、軽食担当だったりするけど、それが結構美味しかったりする。
今日は祖母僕の為に腕を振るって作ってくれるらしい。
祖母の作る料理は薄味でとっても美味しいので大好きだ。
「やっぱり外は気持ちいい」
そよ風が漂う庭を散歩するのは実に楽しい。
ただ広い庭ではなく、一年中楽しめるように色々な花々が埋められていて、それを見るのがとても好き。
お勧めはバラが埋められている場所。
何千本のバラが何種類も埋められていて、どれも花の咲く時期も少しずつ違うので、一年中バラを楽しむ事が出来る。
ごく稀に自然交配で新種のバラが生まれる事があって、見るだけで楽しくなる。
浩にも見てほしいなと思いながら、真っ白なイスに座って空を見上げた。
「ひろ・・・・・」
今頃何をしているのだろう。
ちゃんと生徒会の仕事しているのだろうか。
日本に帰れるのはまだ先。
やる事をやってから出ないと帰れない。
まだこっちに来てから一日も経っていないけれど、どうしてだろう、寂しい。
今すぐ会いたい。でも会えないから寂しい。
「ここに居られたのですね、リュッセル様」
「トレイス、どうしたの?」
「少し風が冷えてまいりましたので、上着をお持ちいたしました」
薄着をしているわけではないけれど、何も着ないで出てきてしまったので、上着を持ってきてくれたのだろう。
イギリスの気候は日本とは違って四季はあるけれど安定しないので、日が暮れてきたら上着が必要となることが多い。
日本よりこっちのほうが少し寒いけれど、今はあまり寒いと思わないけど、まだここにいるつもりなので、着ておくことにした。
「それより、よくここいるってわかったね」
「昔からここでバラをよく見ていらっしゃいますから、多分ここだろう思いました」
何かあっても、なくてもここでバラを見るのが好きでよく庭に散歩しに出るとついついここに来てしまう。
だから、すぐここにいるのだと分かったのだろう。
「ねぇ、今度ここのバラを使ってローズティー作ってほしいな」
「では、後で少しお茶に適していますバラを摘んで乾燥させておきますね」
市販のローズティーを飲んでも良いけど、たまに飲みたくなるだけなので、飲みたくなった時は必要な量だけ摘み取り、乾燥させてお茶にする。そのままバラだけのお茶で飲んでもとっても美味しいけど、他のハーブを混ぜたお茶も美味しい。
「ねぇ、トレイス、僕と一緒に日本に行くのは嫌じゃない?」
日本に行くのはトレイスの意志ではなく、命令されての事。
社会で働くからにはどうしても上下関係が出来てしまい、下のものは上から下された命令を聞かなくてはならないのだけど、これから上に立つ立場だけど、どうしてもそれが好きになれない。
仕方がないというのはよく分かるけれど、少しは相手の意思を尊重してあげたほうがいいと僕は思う。
「嫌だとは思った事はありません。私はリュッセル様に御使いすることができて、何よりだと思っております」
「それって、トレイスの意志じゃないでしょ?」
「いいえ、私の意志でございます」
「ジュベールも、そうなのかな・・・・僕・・・・」
トレイスは伯父に命令されて日本に行く事になるけれど、ジュベールは僕の我がままで日本に行くことになるが、僕は何一つジュベールの意志を尊重していない。
日本で仕事をする限り、僕は出来る限り僕の下で働いてくれる社員の意思を尊重してあげたいと思っているのに、いま、まさにそれができていなくて、僕は社長失格だ。
「ジュベールも、リュッセル様と一緒に日本に行く事が出来て嬉しいと思いますよ?」
「うん、そうだと・・・いいんだけど・・・・」
「後で、聞かれてはどうですか?ジュベールも私と同じだと思いますよ?」
後で聞いてみる事にした。
「そろそろ中に入りましょうリュッセル様。ずいぶん風が冷たくなってしました。あまりお体を冷やされると風邪を召されますよ」
トレイスの気持ちは十分分かったけれど、ジュベールの気持ちがどうなのかが分からない。本当にジュベールは僕と一緒に行っても、嫌じゃないのだろうか。
もし、嫌だったらどうしよう。不安で不安でたまらない。
気持ちを知るまでは、この気持ちは、どうしようもないと感じながら、トレイスと一緒に家の中に入った。
「大丈夫でございますかリュッセル様。わざわざここまで付きあわれる必要などなかったのですよ?」
「そ・・・それはそうだけど・・・・僕の好みの味まではまだまだだけど、基本としては少しずつ美味しくなっているから、つい・・・・」
好みのお茶を淹れれるようになる前に、基本をしっかりできていなければ意味がないということで、トレイスはまずジュベールに基本を淹れれるように叩き込んでいた。
「ご夕食までまだ時間がありますので、少し、お庭を散歩されてはどうですか?」
「そうだね、ご飯食べられないのは嫌だから、少し動いてくるよ」
この家にコックやメイドは一人もいない。
庭師は定期的に庭の手入れをしに来るけれど、この家にいる使用人は執事のみとなっている。
昔は何人もの使用人がいたらしいけど、グレイスとトレイスが執事になってから、使用人を雇うのを止めたらしい。
料理は祖母が作ったり、たまに母が作ることもあるけれど、グレイスやトレイスが作る時もある。
ジュベールが作る時もあったりするけど、簡単なものしか作る事が出来ないので、軽食担当だったりするけど、それが結構美味しかったりする。
今日は祖母僕の為に腕を振るって作ってくれるらしい。
祖母の作る料理は薄味でとっても美味しいので大好きだ。
「やっぱり外は気持ちいい」
そよ風が漂う庭を散歩するのは実に楽しい。
ただ広い庭ではなく、一年中楽しめるように色々な花々が埋められていて、それを見るのがとても好き。
お勧めはバラが埋められている場所。
何千本のバラが何種類も埋められていて、どれも花の咲く時期も少しずつ違うので、一年中バラを楽しむ事が出来る。
ごく稀に自然交配で新種のバラが生まれる事があって、見るだけで楽しくなる。
浩にも見てほしいなと思いながら、真っ白なイスに座って空を見上げた。
「ひろ・・・・・」
今頃何をしているのだろう。
ちゃんと生徒会の仕事しているのだろうか。
日本に帰れるのはまだ先。
やる事をやってから出ないと帰れない。
まだこっちに来てから一日も経っていないけれど、どうしてだろう、寂しい。
今すぐ会いたい。でも会えないから寂しい。
「ここに居られたのですね、リュッセル様」
「トレイス、どうしたの?」
「少し風が冷えてまいりましたので、上着をお持ちいたしました」
薄着をしているわけではないけれど、何も着ないで出てきてしまったので、上着を持ってきてくれたのだろう。
イギリスの気候は日本とは違って四季はあるけれど安定しないので、日が暮れてきたら上着が必要となることが多い。
日本よりこっちのほうが少し寒いけれど、今はあまり寒いと思わないけど、まだここにいるつもりなので、着ておくことにした。
「それより、よくここいるってわかったね」
「昔からここでバラをよく見ていらっしゃいますから、多分ここだろう思いました」
何かあっても、なくてもここでバラを見るのが好きでよく庭に散歩しに出るとついついここに来てしまう。
だから、すぐここにいるのだと分かったのだろう。
「ねぇ、今度ここのバラを使ってローズティー作ってほしいな」
「では、後で少しお茶に適していますバラを摘んで乾燥させておきますね」
市販のローズティーを飲んでも良いけど、たまに飲みたくなるだけなので、飲みたくなった時は必要な量だけ摘み取り、乾燥させてお茶にする。そのままバラだけのお茶で飲んでもとっても美味しいけど、他のハーブを混ぜたお茶も美味しい。
「ねぇ、トレイス、僕と一緒に日本に行くのは嫌じゃない?」
日本に行くのはトレイスの意志ではなく、命令されての事。
社会で働くからにはどうしても上下関係が出来てしまい、下のものは上から下された命令を聞かなくてはならないのだけど、これから上に立つ立場だけど、どうしてもそれが好きになれない。
仕方がないというのはよく分かるけれど、少しは相手の意思を尊重してあげたほうがいいと僕は思う。
「嫌だとは思った事はありません。私はリュッセル様に御使いすることができて、何よりだと思っております」
「それって、トレイスの意志じゃないでしょ?」
「いいえ、私の意志でございます」
「ジュベールも、そうなのかな・・・・僕・・・・」
トレイスは伯父に命令されて日本に行く事になるけれど、ジュベールは僕の我がままで日本に行くことになるが、僕は何一つジュベールの意志を尊重していない。
日本で仕事をする限り、僕は出来る限り僕の下で働いてくれる社員の意思を尊重してあげたいと思っているのに、いま、まさにそれができていなくて、僕は社長失格だ。
「ジュベールも、リュッセル様と一緒に日本に行く事が出来て嬉しいと思いますよ?」
「うん、そうだと・・・いいんだけど・・・・」
「後で、聞かれてはどうですか?ジュベールも私と同じだと思いますよ?」
後で聞いてみる事にした。
「そろそろ中に入りましょうリュッセル様。ずいぶん風が冷たくなってしました。あまりお体を冷やされると風邪を召されますよ」
トレイスの気持ちは十分分かったけれど、ジュベールの気持ちがどうなのかが分からない。本当にジュベールは僕と一緒に行っても、嫌じゃないのだろうか。
もし、嫌だったらどうしよう。不安で不安でたまらない。
気持ちを知るまでは、この気持ちは、どうしようもないと感じながら、トレイスと一緒に家の中に入った。
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