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第1章 魔法を使ったら王子サマに溺愛されました。
45 これからも一緒
しおりを挟む目が覚めた。
感じていただるさもなくて、苦しさもない。
部屋の中は薄暗い。ランタンが光度を下げてつけられているみたいだ。
時間はわからない。窓にはきっちりカーテンが引かれていた。
「……クリス?」
クリスも眠っていた。
俺を抱きしめて、気持ち良さそうに。
「クリス……」
疲れてるんだ。
昨夜熱を出してから、クリスが俺の背中をさすって抱きしめてくれた。額のタオルが替えられていたり、果実水を飲ませてくれたり、とにかく色々してくれていたけど、多分、眠っていないんだ。
「…ありがと」
触れるだけのキスをした。
唇を離しても、起きる気配はない。
だから、もう一度重ねてすぐ離れようとしたら、俺を抱きしめてた腕に力が込められた。
「アキ、おはよう」
「…おはよ」
……おはようの時間なのかな?
「熱は?」
「なさそうだよ」
クリスは額をつけて…ホッとしたように息をついた。
「下がったな」
「うん」
「苦しさは?」
「それもないよ」
なんか、本当に、いつも通りというか、スッキリしてるというか。
「よかった」
クリスは俺を更に抱きしめてくれた。
「クリス、むしろこれが苦しいっ」
力入れすぎ!
「ああ。すまない」
腕が緩んで、お互い顔を見合わせて…笑った。
笑いながら、クリスは俺の唇を啄んで、俺がクリスの首に腕を回して抱きついて……、触れるだけのキスは深いものになって。
「愛してる」
「うん。好きだよ」
何度も何度も口づけを重ねて、息が上がり始めたとき、クリスの頬に手を添えた。
「…ね、お風呂、入りたい」
「一緒に入ろうか」
「うん。俺、クリスの髪、洗ってみたい」
「ああ」
クリスはすぐに俺を抱き上げて、サンダルのような室内履きを履いて移動した。
基本、この部屋から出なくても風呂場や手洗い場が使えるようになっているらしく、部屋から出る様子はない。
クリスが開けた扉の向こうは、所謂ところの脱衣所のようだ。床には毛足の長いマットが敷かれている。
棚の中には、これまたふかふかそうな大きめのタオルが。
それから…壁にかけられてるでかい鏡が…。
これはちょっと…恥ずかしいかもしれない…。
クリスは俺をマットの上に下ろして、着ていた服を脱がせてくれた。そりゃあ、もう、簡単に裸にされた。当たり前か。かぶるだけの服だし。下には何も着てないし。
俺は…、なんとなくクリスの胸元に手を伸ばして、ボタンを外した。すごく、ドキドキする。
クリスは笑ってたけど、シャツのボタンが全部外れたところでキスされて、その間に自分で脱いでしまった。
それからまたひょいと抱きあげられ、木造りの扉を開ける。
「わ……」
広い。
自分が知る風呂場の3倍はありそうな大きさ。
浴室内には専用のランタンが置かれていて、明るすぎず浴室内を照らしている。
温泉みたいに、浴槽の上部分が床と同じ高さ。
シャワーはない。
椅子と、桶が置かれている。
…そもそも水道がないのだけど、このお湯はどうやって運ばれてくるんだろう…。
「なにか珍しいか?」
「ん…色々珍しい」
足元も木造り。なんか、いい匂いがする。
今度教えてもらおう。
そして俺達はお互いの髪を洗って、悪戯しながら体を洗い合って、浴槽の中で何度も口づけをした。
お互いの高ぶりをこすり合わせて、でも、触れることはなく。
「…くりす」
我慢できなくなったのは、俺が先。
「きょうはしてくれる…?」
クリスは目を細めた。
「ああ」
「くりす」
「瞳で誘うな。我慢できなくなると言ってるだろ」
だから、そんなつもりは……ないとは言えない。今は。だってね。なんだかすごくしたくて仕方ないんだよ。
クリスは困ったように笑って、俺を抱きかかえて立ち上がった。
体を拭くこともなく、サンダルを履いただけでベッドにむかう。
そのままおろされれば、ベッドも水浸しだけど、気にならない。
「つらくなったら言うんだぞ?」
「ん…」
抱きついて、舌を出す。唇よりも先に、舌が触れ合う。
「は…」
クリスが触れる場所、全てが気持ちいい。
触れたら、堰を切った様にとまらなくなった。
何度触れても足りない。
何度果てても足りない。
何度受け止めても足りない。
「もっと…もっとぉっ」
「っ、アキっ」
もっともっと満たして。
夜中、何度目か数えることもできない絶頂を迎えたあと、意識をなくすように眠りに落ちた。
「おやすみ」
満たされた。
クリスでいっぱいになった。
好きで好きで大好きで。
「これからもよろしくな」
クリスの声は、とてもとても、優しかった。
うん。俺も。
よろしくお願いします。
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