【完結】魔法が使えると王子サマに溺愛されるそうです〜婚約編〜

ゆずは

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閑話 ①

お約束ですが、俺にそんなつもりはありませんでした。

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*時系列無視のお話です*





 最近ちょっとクリスが忙しそう。
 部屋に戻ってくる時間も遅いし、朝、出ていく時間も早い。
 なんせ夜はお風呂に入ってキスをして、上がってきたら即寝。俺を腕の中に閉じ込めて、即寝。……つまりだ、シてないんだよ……ここ最近。

「うーむ…」

 まあ、シないのは、うん、まあ、いいんだよ、まあ…。
 別に、シたいとか、欲求不満だとか、そんなもんはない。断じてない。……多分。
 ……一人で風呂に入ったときになんとなく弄ってみたけど、苦しい熱が溜まるだけでイけなかった。気持ちよくない。タリカでやったときと同じ。まあ……わかってたさ。結果なんて。
 クリスじゃなきゃ駄目なんだよ…。
 だからって、抱いて、なんて言えるわけもない。せめて、クリスがもう少し早く帰ってきて、疲れが取れてからじゃないと。

「何かないかな…」

 疲れが取れる方法…?
 俺にできる範囲で…、だから、多くはない。

「あ」

 そうだ。
 良さげなものがあった。
 よく、ばぁちゃんにしてあげてたから、多分できる。色々調べたこともあるし。
 インドア派なばぁちゃん子を舐めるなよ。





 思い立ったが吉日……ってことで、今夜実行することにした。
 相変わらずクリスは忙しくて、食事も一緒に摂れないくらい。
 先に風呂に入ってクリス服を着て、本を読んで、いつもならそのまま寝落ちするんだけど、今日は意地で起きてた。
 狙うのは、クリスが戻ってきて風呂に入り終わってから。
 ある程度リラックスしたところで、襲う。
 よしよし。
 計画は十分。
 気合も十分。

 いつもなら俺は寝てる時間に、クリスが戻ってきた。
 足音を忍ばせてるのは、寝てる俺を気遣って。

「……アキ」

 疲れた、掠れた声。
 俺は寝た振りのまま、クリスの気配を伺う。
 クリスは俺の頬にキスを落とすと、風呂場の方に向かっていった。
 薄目でクリスの姿がないことを確認して、のそっと起き上がる。

 なんとなく、キスされた頬に手を当ててた。
 なんか、クリス、つらそうだった。
 いつもあんな風に俺にキスしてたのかな。
 それは、なんだか……寂しいな。

 ベッドの上に座り込んで、どうしょうもないことをあーだこーだと考えてた。
 両手を組んでうんうん唸ってるとこに、クリスが戻ってきたらしく、後ろから抱きしめられて思わず叫びそうになったよね…。寸ででとめたけど。

「起こしたか?」
「起きてたんだよ」

 振り向いて、俺からキスをする。
 クリスが好き。
 クリスが大事。
 そんな気持ちを込めて。

「まだ忙しいの続く?」
「もう少し、だな」

 もう少し、か。
 クリス、倒れたりしないかな。

「そか」
「すまない」
「え?」
「寂しいだろ」
「そりゃ……まぁ……」

 クリスがいないとだめなんだよね。

「アキ…」

 唇が触れる。
 はぁ……気持ちいい。

「ん……」

 うっかり流されそうになって、はっと意識を取り戻した。

「クリス!」
「ん?」
「俺じゃなくて、ここに寝て!」
「ん??」

 不思議そうな顔をするクリスを、ベッドにうつ伏せで寝かせた。
 御風呂上がりの寝間着だから、薄い布地でゴワゴワしないから丁度いい。

「アキ?」
「痛かったら言って」

 一瞬躊躇ったけど、俺の体重でクリスがどうにかなるとも思えなかったから、クリスのお尻のあたりに座った。
 それから、手のひらの付け根で、クリスの背骨の両側を、下から上に向かって押しながら進ませる。
 …背筋とか、手から伝わってくるなぁ…。

「どう?痛くない?」
「ああ……きもちいいな」

 何されるのか少し緊張していたらしいクリスの声は、すっかり柔らかくなってて、ほんとに気持ちいいんだろうなってわかる。
 背骨の両側、肩甲骨の下、首の付け根。
 念入りに、ほぐすように。
 ばあちゃん仕込のマッサージ。それなりにうまいはず。ばあちゃんのお墨付きだから。
 時々肘でぐりぐりしながら、クリスの反応を見る。
 時々漏れてくる吐息は、色っぽいというか、心底リラックスしてる溜息だ。

 背中のマッサージを一通り終えて、最後に撫でるように背中をさすっていたら、……まさかの寝息が聞こえてきた。

「おぅ」

 やりきった感、半端ない。
 俺の手でクリスを落としたぞ…!?

「……おおぅ」

 降りても起きない。
 覗き込んでも起きない。

 ………つい、口元に、にへらって笑みが浮かんでしまう。
 いつもはクリスが落としてくれるランタンの明かりをギリギリまで落として、またクリスを見おろして……、はた、っと気づく。

「……どこで寝よう」

 いつもはクリスの腕の中なんだけど。
 クリスが夜遅くても、夜中にふと目が覚めたら、しっかり抱き込まれてたし。

 こ、これは誤算……!

「……失敗した」

 クリスを落としたことに感動してる場合じゃなかった。
 うう。
 仕方ない…。
 クリスの隣に潜り込もう。
 …もう眠いし。
 次は完全に落とす前にやめよう……。

 


 翌朝、俺が目覚める頃にはクリスはもう仕事に行っていて、テーブルの上に「ありがとう」って書き置きが置いてあった。
 それに気を良くした俺は、また夜にクリスを出迎えてマッサージをした。
 昨日の二の鉄はふまない!
 すっきりして笑顔のクリスに抱きしめられながら眠れるご褒美付きで、なんだか酷く満足してた。





 んで、更に翌日。
 メリダさんが運んでくれた夕食と一緒にクリスが帰ってきたんだよ…!

「おかえり!」
「ただいま」

 嬉しくて抱きついたら、笑いながら抱き返してくれて、触れるだけのキスが降りてくる。

「早く帰れたんだね」
「ようやくだ」

 嬉しくてキスを繰り返していたら、メリダさんの苦笑する声が聞こえてきて、慌てて離れた。
 へへ。
 でも、やっぱり嬉しいや。





「アキ、横になって」
「へ?」

 久しぶりに二人でお風呂に入って、たくさんキスをして、御風呂上がりの果実水を飲んでいたら、そんなことをクリスが言ってきた。
 言われるままにベッドに転がったら、くるっとうつ伏せにされて、あれよあれよという間に背中にクリスの手が。

「あ」
「こうでいいか?」
「あー……うん。きもちいい……」

 絶妙な力加減で、クリスが俺の背中をもみ始めた。

「ん……、クリス、マッサージどこで覚えたの……」
「マッサージ?」
「うん。これ。この、もみほぐし……」
「マッサージというのか」
「うん」
「アキがしてくれたのを真似てるだけだ」

 て、二回だけだよ、俺がやったの。それで覚えちゃうんだ…クリス。すごい…。

「これはすごくいいな。体は楽になるし、頭の回りも良くなる。……何より、愛しい者がしてくれるというだけで、無条件で心地よくなる」
「ん……。少しでも役に立ってよかった。う~~確かに嬉しくなる……」

 クリスの手は迷いがなくて、痛くない力で背中の筋肉を揉んで、段々腰の方に下がっていった。

「んー……」

 指圧ぽい。
 親指でぐりぐりーって、腰のあたりをお尻の上の方から揉まれてく。

「んっ」

 手、の、位置が、すごく、微妙というか絶妙というか……、気持ち良すぎるというか、あくまでも、もみほぐし。マッサージ。なのに、腰とお尻の上を揉まれてるだけで、声が上ずってく。

「気持ちいいか?」
「ん……ぅん、い、いい……」

 クリス服なんだよねぇ。お風呂上がりだから。
 うつ伏せで寝てるから、俺はクリスがどんな顔をしてるのか見えなかったけど。……見えてたら、毛布かぶって逃げたかもしれない。

「こっちもな」

 腰から手が離れた。
 終わりかな…と思ったらふくらはぎに温かな手の感触。
 これまた絶妙な力加減で、上に向かって押し上げるように揉まれていく。

 あ、これやばい。

 ……って思ったときにはもう遅くて。
 ぐりぐりって太ももの裏も同じように揉まれて。

「ふぁ……っ」

 内股の、敏感なところとか。
 確かに、なんだっけ?リンパの流れがぁとか言うのがあるから、下から上に向かってもみほぐすのは理にかなってることだけど。
 でもでも、それどころじゃないんだよ。
 揉みほぐされる気持ちよさと、暫く触れられなかった性的な気持ちよさが混ざって……、自分の身体とベッドに挟まれた俺の息子さんが、やたらと元気になってきて……。

「ん………んん……」

 他のことを考えてやり過ごそうと思っていたのに、太ももをもんでたクリスの手が、俺のお尻を上に押し上げるような動きをし始めて、思考が止まる。

「ふぁ……っ」
「どうした?マッサージは気持ちよくないか?」

 ……って、耳元の声に、やたらと身体がビクビクしてしまった。

「ん……っ、んんっ、きも、ちいい……っ」

 クリスの、くすって笑い声が聞こえた気がした。

「アキがしてくれたのもとても心地よかった。……気持ち良すぎて勃つくらいに」
「んんっ」

 そんなこと耳元で囁いてくんなぁ!!
 た、勃つ、って、昨日は普通だったのに……。ってことは、落とした一昨日の夜か!?

「しっかりお礼しないとな?」

 ああ……ぞくぞくする。

 尻を揉んでいた手が、左右に開いたりなんだりするから、あの恥ずかしい下着が割れ目に食い込んていく。
 強制的に開かれた後ろの窄まりに紐が当たって、余計な刺激になってく上に、クリスの親指がほんの少し入り込みながらそこを広げてくるから……、たまらない。

「あ……んんっ、んんっ、んふぅっ……」

 やだ。息子が苦しい…っ。
 少しでも圧迫されるこの状況をどうにかしたくて、僅かに腰を浮かせてしまう。

「んんぅ……くりす……っ」
「アキは可愛いな」

 いつの間にか恥ずかしい下着の両サイドの紐が解かれていたことも、クリス服は捲られて背中が丸見えになっていたことも、俺は気付けなくて。

 濡れた指が俺のそこに入ってきて……なにかの糸が、ぷつんと切れた。





「……こし、いたい」

 翌朝。
 というか、もうすぐ昼。
 腰どころか全身あちこち痛くて、俺はベッドの住人状態。

「マッサージしてやろうか?」

 犯人はニコニコ笑いながら、俺の背中を撫でていく。

「クリスのマッサージすぐにエロくなるからヤダ」

 ……恋人のマッサージで気持ちよくなってムラムラして致してしまうのは……、まあ、お約束といえばお約束だよね。今思い出したけど!
 けどね。
 俺にそんなつもりはなかったんだからね!!

「もー………しなぃ……」

 くすくす笑うクリス。

「またしてほしいな」

 大きな手が俺の頭を撫でて…気持ちよくて目を閉じた。
 瞼に唇のぬくもりを感じながら、だんだん、意識が遠くなる。
 ……まあ、もしね。また、クリスが疲れてたら……、やってあげても……、いいよ……?



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