【完結】魔法が使えると王子サマに溺愛されるそうです〜婚約編〜

ゆずは

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第7章 魔法が使える世界で王子サマに溺愛されてます。

34 忘れてくれてよかったんだけど…

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 魔力についてわかったこと。

 属性によって視える魔力には色がつく。
 これで、早いうちから属性の確認が可能になる。自分の生まれ持った属性を知るのは、だと初めて知った。
 なんて恐ろしい…。
 とんでもない暴走とかではないらしいけど、それだって体には負担かかるだろうに。
 でも今までは確認する手段がなかったって。これも、魔法が衰退しつつある弊害だと教えられた。
 勉強は嫌いだけど、魔法の歴史みたいなものをしっかり学ばなければならない必要性を感じる。……勉強嫌いだけど……。
 クリスは無色透明。あえて言うなら、透き通る白。付与、って、そういうことなんだな、と納得。『貴方の色に染まります』的な。
 ………あ、これ、凄い恥ずかしいから却下……。

 魔力量も視ることができる。
 これはそのまんま、輝き方、光の強さ。
 『魔法師適性』がある、魔水晶持ちの人たちは、かなり強い輝きがある。逆に、適正のない人たちの輝きはとても弱い。
 身体が弱い、病気がち、そういう弱さじゃないから、生命維持に直結する量じゃない。
 クリスは滅茶苦茶ピカピカしてる。もう全身ピカピカしてる。体液が魔力って反則だと思う。色々。体まるごと魔力の塊みたいなもの。
 目で見えてるわけじゃない。けど、感知で視える世界の中で、本当に全身ピカピカしてる。
 よく見たら、他の人は大体が球体で視えるのに、クリスだけぼんやりとした人形に視えるんだから!俺の願望が現れてるとかは思わない。うん。

 魔力の温もりと『味』は、クリス限定。
 温かいし、甘い魔力。
 飲み込んで胃に落ちていく魔力の感覚は、まんま食事と一緒だった。
 『はあ~染み渡る!』みたいな。…それはお酒だっけ?…まあ、いいか。
 クリスの魔力が美味しいから、ついつい、『もっと』ってねだってしまう。
 ……これ、キスでもらうから『食べてる』感覚なのかな。だったら、抱かれたら、どう、なんだろう。



 ……………………



 やめた。
 恥ずかしい。
 無理。
 ごめんなさい。

 真面目に考えてたのに、俺の思考は真面目とは遠かった。
 全部最終的にクリスのことばかりだ。
 どうやら俺は『俺のクリスは凄いんだ!』って自慢したいらしい。
 『俺の』ってところが重要。
 『俺のクリス』。
 ……俺の。

「えへへへ」

 思わず声に出して笑ったら、方方から笑い声が上がった。
 なんだ?って顔上げたら、皆俺を見て笑ってる。
 ん?
 なんだ…って思ってクリスを見上げたら、クリスは口元を押さえて笑ってた。

「なんで?」
「いや……なんで、って」

 クリスの執務室で、いつもの場所。
 今日は午前中から執務室にいて、感知を使ったり、書類を眺めたりしていたんだけど。

「……険しい顔をしたと思ったら真面目な顔で頷くし、かと思えばいきなり照れた笑いになるし、顔は赤くなるし、終いにはあの笑い方……。面白すぎるんだけどな、アキ」
「え」

 クリスはまだ笑いながら、俺の頭を撫でた。
 なに。
 つまり俺は完全な百面相してたわけですか?クリスの膝の上で、皆に見られながら?

「……声かけてよ……っ」
「あまりにも可愛くてな?」

 恥ずかしさで熱くなった顔を、身体の向きを変えてクリスの胸元に押し付けた。
 後ろでメリダさんとオットーさんがまた笑っていたのは聞かなかったことにする。

「……で、何を考えてた?」

 くい…っと顎を上げられて、クリスが俺の目を覗き込んでくる。

「……頭の中で魔力の纏めをしてただけだよ」
「それだけ?」
「それだけ!」
「ふうん?」

 クリスの、『わかってるんだぞ』みたいな顔。
 それから、当然のように重なってくる唇と、流し込まれるもの。
 いつものように飲み込んでから、身体の中を巡る魔力に頭の中はぼんやりしてくる。

 気持ちいい。
 美味しい。
 甘い。
 もっと。

 うっかりそんなことに頭の中を奪われてたのに気づいて、頭を振った。
 クリスの魔力には、絶対媚薬効果があると思う。キスのたびにこんなにとろとろになるのおかしいしっ。

「ふんっ」

 そうだ。
 そんな効果には負けないんだからね…!…って息巻いたら、また、笑われた。
 なぜ笑う。
 笑いっぱなしのクリスも好きだけど。
 俺、笑われるようなこと、絶対してないからね!





 クリスの膝の上でむーむー唸ってたら、昨日の午後からお休みを取っていたザイルさんが戻ってきた。
 ごくごく普通に挨拶して、ごくごく普通に仕事に戻る。
 なんか凄くすっきりした表情してるから、お休みでリフレッシュできたのかな。
 逆に、あれほど笑ってたオットーさんの表情が『笑顔』で固定した。…なんていうか、張り付いた笑顔、っていうのかな。俺のこと笑ってたときの顔は、本当に笑ってたけど。
 オットーさんも疲れてるぽいから、休みとってほしいな。

「ザイル、戻ったところ済まないが、エーデル領にセシリア嬢を迎えに行ってくれないか。明日早朝の出立で構わない」
「春の二の月までにこちらに来る予定なのでは?」
「できるだけ早めに登城してもらいたいんだ。そのための書状は用意した。部屋は以前のように城の中に準備させる。お前と、あと一人くらいなら、最短の日程でエーデル領に到着するだろ?」
「わかりました」

 あー…、ザイルさんの走り、速いもんねぇ。急ぐなら最適、なのか。

「ではオットーも同行させていいですか?」
「構わない。それほど火急の要件もないしな」
「殿下、私は」
「俺の補佐には一時的にブランドンを」
「伝えてきます」

 オットーさんはなにか言いたそうだったけど、クリスとザイルさんの間でぽんぽんと話がまとまっていく。

「あ、じゃあ、オットーさんの村のとこにもまた寄れるんだ」
「ああ、そうだな」

 クリスはちらりとオットーさんの方を見たけど、何も言わずに俺に視線を戻して、少し伸びた髪に指を絡ませた。

「リアさんに早く会えるのは嬉しいけど、前より急いでる?」
「ん?」
「前聞いたときはここまで急いでなかったみたいだから」
「彼女ならアキにダンスを教えられるだろ?」
「あー……」

 忘れてくれてよかったんだけど…。
 ぁ、でも、それじゃ、当日クリスが恥をかくのか…。それは嫌だ。

「義姉上に願おうかとも思ったが、やはりあまり負担はかけたくないからな」
「だね」

 ってことは、リアさんが到着したらダンスレッスン開始…ですか…?
 えー……。俺、覚えられる自信が全く無いんだけど……。
 頑張る……けどね……?


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