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第7章 魔法が使える世界で王子サマに溺愛されてます。
61 マシロ
しおりを挟む御前試合のとき、マシロをけしかけて陛下やみんなを害そうとしていた男の人は、処刑された元魔法師長の血族だったらしい。
一族が、自分が落ちぶれたのは、レイランド家を潰した王族やそれに連なる貴族が悪いのだと…完全な逆恨みで謀反を決意したんだとか。
運良くというか運悪くというか、闇市でたまたま魔力の強い魔物の子が売られていた。魔力封じの首輪をしているから、それを外さない限りは暴れることもない。血を与えれば『契約』は完成し、契約者の命令を聞く。魔封じの首輪を外せば、体内に蓄積された魔力を暴走させ、爆発的な攻撃を与えることもできる。
男の人はその言葉を全て信じたそうだ。
これなら復讐ができる、御前試合を狙えば憎い王家も貴族も一掃できる、そう考えた末の犯行。
実際は、闇市の魔物商人に騙されていたのだけど。外された首輪を視たけれど、魔力の残滓も何もないただの首輪だったし。売られていた魔物の子――――マシロには、俺が感知できるほどの魔力は少しもなかった。
ただ、マシロを守るように揺らめいていた思念のような魔力のゆらぎは気になったけど。多分、マシロを守ろうとしていた親猫の強い思いだったんだと結論づけた。
結果的に、けしかけようとしていた魔物はただの子猫で、殺傷能力なんてなかったわけだけど、男の罪は明白ってことで、処罰は免れない。それは当然だよね。結果が未遂に終わっただけで、陛下の命を狙ったことは変わらないんだから。
その男がどんな処罰を受けたのかとか、そんな詳しいところはクリスは俺には言わなかった。
俺は知らなくていい、ってことらしい。
なんとなく想像はつくけど。
深く考えないようにする。
マシロは二日目には自分で座っていられるほどに回復した。
ミルクもちゃんと飲めるし、果物も食べれる。
三日目にはジャンプもできるようになって、気がつくと俺の背中にしがみついてた。
……可愛い。
「マシロ、ちゃんと言葉を理解してると思うんだよね」
夜、お風呂に入る前に、クリスとそんな話をした。
「頭がいいっていうのかなぁ」
「……まあ、普通の猫よりはかなり賢いな」
「だよね?」
まさかね……って思いながら時々視てみるけど、やっぱり魔力は感じられないんだよね。だから、俺の中では子猫だと結論づいているんだけど。
マシロの寝床は、クッションを入れた籠。それをテーブルの下に置く。テーブルの上だと落ちて危ない気がして。
「トイレもすぐ覚えたし…」
「相変わらずアキにべったりだしな」
「……母親と勘違いされてるのかな」
「それはない」
断言された。
マシロはお風呂にはついてこない。
いつもならクリスが俺に触れると、すぐクリスに猫パンチしたり、俺にしがみついてくるのに、お風呂に行く時だけは籠の中で丸くなる。だから今も籠の中。
「マシロ」
呼んだら耳がピクピクして、ひょこっと顔を上げる。
「お風呂はいる?」
ものは試しだときいてみるけど、マシロはペタンと耳を伏せて顔を前足の中に隠してしまった。
「……クリス、マシロがほんとに可愛い……!!」
「わかったわかった」
呆れたふうなクリスに抱き上げられる。
まあ…くっついてこられても俺が困るのだけど…。
お風呂場で、いつものようにキスを深くする。
隅々まで綺麗に洗われて、体の深いところまで指でぐずぐずにされる。
俺が何度かイったら、抱きかかえられて湯船に浸かり、俺が眠りかけると湯船から出て大きなタオルを体に巻きつけられる。
じわりじわりと結婚式が近づいていてあと一週間くらいだけど、クリスはベッドに俺をうつ伏せに下ろして、高くした腰を固定して指でほぐされたそこに舌を入れるようになった。
「ぁ………、ぁ、んっ、んんっ、ぁ…っ、ぁ…っ」
……ここまでしてるのに、最後までしないとか、ほんと……意味分かんない……。
この体はたしかに初めてのことかもしれないけど、俺自身は知ってるんだ。
クリスのがどこまで入ってくるかとか、中をこすられたらとんでもなく気持ちがいいとか、クリスの熱を体の中に感じることがこの上なく幸せだとか。
だから、焦れったい。
欲しくて仕方なくて、お腹の奥が切なく感じるのに。
「くりす……舌、や、ら、ぁ…っ」
じゅるじゅる音がする。
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。
舐めるとか、そんなんじゃなくて、舌の付け根ぎりぎりまで入ってきて、他分、尻に齧り付いている、ような。
「ぁ………ぁ………っ」
熱い。
体の中、熱い。
クリスの手が雫を落とす俺の息子も弄り始めて。
頭ん中、真っ白になった。
鼻とか口とか、ざらっとしたもので撫でられた感じがして、なんとなく目が覚めた。
「……ましろ?」
「みぁ」
後ろからクリスに抱かれながら寝てたらしい。
そんでもって、あったかい。
……あったかいのは、多分素肌同士だから。
「みゃぅ」
ぼーっとしてたら、またマシロに顔を舐められた。
機嫌がいいみたいで、尻尾がパタパタ揺れてる。
……まるでわんこ。
「どうしたの。ご機嫌だね?」
「みゃ」
尻尾……ゆらゆら。
ゆらゆら。
「!?」
眠気が吹っ飛んだ。
「マシロ!?」
「みゃ」
思わずマシロを抱き上げた。
そしたら、俺の目の前に、ぱたぱたゆれる尻尾が……。
「ク……クリス、クリス……っ」
腕を解いてマシロを片手抱きしたまま、クリスを揺さぶった。
「…ん」
クリスは目を開けないまま俺の腰を抱き寄せてきて、キスをしようとしてくる。
「クリス!」
「ん?」
手で阻止したら、クリスは怪訝そうに目を開けた。
その顔の真ん前に、ずいっとマシロを突き出した。
「………ん?」
「どうしようクリス」
「………あー……」
「マシロに尻尾が生えた……!!」
「みゃ」
マシロのお尻で揺れるのは、ふさふさの可愛い尻尾が……二つ。
二つ、に、なった。
………マシロ、ただの子猫じゃないの!?
*****
きょうって猫の日だったんですね…。
知らなかったんですよ…。
朝、テレビ見てて知りました…。
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