【完結】魔法が使えると王子サマに溺愛されるそうです〜婚約編〜

ゆずは

文字の大きさ
488 / 560
第7章 魔法が使える世界で王子サマに溺愛されてます。

65 いつもの朝

しおりを挟む



 六の日の朝。
 クリスの腕に抱き込まれて、ぬくぬくしながら目を覚ます。
 大体、いつもどおり。
 すぐ近くにクリスの喉が見える。
 手に触れてる胸元から、鼓動を感じる。
 ……いつもどおり。
 目の前の喉仏をちろりと舐めるのも…いつもどおり。
 舐めて、吸い付く。痕が残るほどでもない。
 そうしていたら、俺の背中を抱いてた右腕が、するりと下がって、俺が寝てから着せてくれたらしいクリス服の上から、尻を撫で始める。

「ん…」
「おはよう、アキ」
「……はよ…」

 ちょっと体の位置をずらして、キスをする。
 最初は触れるだけの。
 尻を撫でていた手に促されるように、片足をクリスの体に載せながら、舌をゆっくり絡めていく。
 俺の枕になってる左腕が動いて、頭の後ろを撫でられた。
 服の裾が捲し上げられる。
 片足をクリスの体に載せてるから、ある意味開いてる。
 クリスの右手は背中から腰を何度もさすって、それから、腰から尻の割れ目を指先で辿っていく。
 ビクンビクンって震える体。
 ぴったりくっついているから、震えるたびに、固くなったそこが触れ合って、また震える。

「クリス」

 唇を離して改めて寝起きのクリスを見る。
 目は優しく細められていて、口元には笑みが浮かんでた。

「どうした?」

 抱かれたい。
 クリスとしたい。

 思わずそんな言葉が口をついて出そうになって、慌てて噤んだ。
 ……朝から言うことじゃないし。それに、婚姻式が終わるまでしない……、って、なんかクリスの意思が強いし。
 でもクリスの触り方が意地悪。
 俺をその気にさせるしかない触り方をしてくる。

「クリス……キス……っ」

 だからせめて、キスだけはしたい。
 本当だったら、肌と肌を触れ合わせて、体温も鼓動も全身で感じたいけど。

「アキ、可愛い」
「んっ」

 指先が窄まりまで弄り始めて、そこがやたらひくひくしてるのに気づいて顔が熱くなる。
 恥ずかしいやら、居た堪れないやら、とにかく、そんなごちゃごちゃな感情。総じて言えば、抱かれたくなるからやめてほしい、ってことなんだけど。

「クリス、やめ……」

 そんなふうにいじらないで…って胸元を少し叩いたら、クリスの頭の方から『ぺし』って音が聞こえてきた。
 なんの音だと思いながら顔を上げたら、クリスの頭近くで、マシロがクリスの額を前足で叩いてる上に、二つの尻尾で頭をブンブン叩いてた。

「マシロっ」
「……いい度胸だな?」

 ふ…っと笑ったクリスが、マシロの首根っこを掴んで、ベッドの足元の方に放り投げた。

「あっ」

 何も投げなくても…って思ったけど、マシロはちゃんと着地して、また、たた…っと走ってきて、クリスの手や体に猫パンチと尻尾攻撃を繰り出してる。
 そのマシロをクリスはまたつまみ上げて放り出して……、………うん。なんだ。じゃれ合ってるようにしか見えない。
 それにしてもマシロ、走れるくらい元気になったんだ。よかったね。

「マシロ、おはよう」

 何度目かの放り投げを阻止して俺の腕の中に抱きしめたら、マシロは満足そうに喉を鳴らしてすりすりと頭をこすりつけてきた。
 ふぁぁぁ…!かわいすぎる……!!癒やされる!!

「ったく……」

 俺達の間にすっかり甘い空気はなくなっていて、クリスは悪態をつきながらもマシロの頭をひと撫でして、ベッドを降りた。
 クリスが扉の方を見る。何故かマシロも耳をピクピクさせながら、扉の方を見ていた。

「クリス?マシロ?」
「――――ああ、すまないなアキ。少し待っていてくれ」
「うん」

 マシロを無意識にぎゅっと抱きしめながら、頷いた。
 クリスは上半身裸のまま、寝室を出ていく。

「なんだろうね。マシロにはわかるのかな」

 尻尾が動いて俺の手を撫でた。
 ……器用な尻尾だ。

 クリスはそれほど時間をかけずに戻ってきた。
 少し、表情がかたいけど。

「アキ」
「なにかあった?」
「…北側で魔物が出た。これから行ってくる」
「……こんな朝から?」
「すまんな。北側に比較的大きな湖があるんだが、下手に暴れられると景観が壊れるから」
「俺も行く」
「アキは駄目。留守番してろ」
「でも」
「頼むから。いくら癒やしで治せると言っても、無意味な怪我をさせたくないんだよ。…もうすぐ俺のものになる大事な身体だろ?」

 そんな言い方されて、顔が一気に熱くなりました。
 滅茶苦茶恥ずかしい…。

「そんなに時間はかからない。昼までには戻るよ」

 額にキスをされて。

「……クリスも、怪我しないで」
「ああ」

 俺からもクリスの頬にキスをした。

「マシロ、アキを頼むぞ」
「みぁ」

 マシロは素直に頷いた。
 クリスはマシロの頭を撫でると、風呂場の方に向かって行った。

「……魔物、だって。マシロ」

 そりゃ、いるよね。
 どこにだって、いるよね。

「俺、留守番だって」

 理由が恥ずかしいけど。

「でも、心配なものは心配だよね?」
「みゅ」

 マシロが頬を舐めてくれる。
 なんか、慰められてるらしい。

「ありがと、マシロ」





 その後クリスは、さっさと風呂から戻って、濃紺の制服を着込み、俺に一度キスをしてから部屋を出ていった。
 入れ違いでメリダさんが朝の支度に来てくれて。

 久しぶりに一人(+一匹)で朝食を摂ったけど、あまり味はわからなかった。



しおりを挟む
感想 543

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

過労死転生した悪役令息Ωは、冷徹な隣国皇帝陛下の運命の番でした~婚約破棄と断罪からのざまぁ、そして始まる激甘な溺愛生活~

水凪しおん
BL
過労死した平凡な会社員が目を覚ますと、そこは愛読していたBL小説の世界。よりにもよって、義理の家族に虐げられ、最後は婚約者に断罪される「悪役令息」リオンに転生してしまった! 「出来損ないのΩ」と罵られ、食事もろくに与えられない絶望的な日々。破滅フラグしかない運命に抗うため、前世の知識を頼りに生き延びる決意をするリオン。 そんな彼の前に現れたのは、隣国から訪れた「冷徹皇帝」カイゼル。誰もが恐れる圧倒的カリスマを持つ彼に、なぜかリオンは助けられてしまう。カイゼルに触れられた瞬間、走る甘い痺れ。それは、αとΩを引き合わせる「運命の番」の兆しだった。 「お前がいいんだ、リオン」――まっすぐな求婚、惜しみない溺愛。 孤独だった悪役令息が、運命の番である皇帝に見出され、破滅の運命を覆していく。巧妙な罠、仕組まれた断罪劇、そして華麗なるざまぁ。絶望の淵から始まる、極上の逆転シンデレラストーリー!

処理中です...