174 / 216
自由の国『リーデンベルグ』
1 さみしいきもちとうれしいきもち ◆マシロ
しおりを挟むましろは、ましろといいます。
ましろは人ではないけど、あきにたすけてもらって、あきをたすけたくって、人になりました。
でも、まだ、とってもかなしくなったり、あきやくりすからおこられたり、あきがおねつでねんねしてると、もとのましろにもどってしまいます。
くりすはおこりんぼだけどとってもあきのことが好きで、おこりんぼだけどましろのことも好きって言ってくれます。
ばぁばはましろがさみしいときにあたまをなでてくれます。おしごとがいそがしいあきとくりすのかわりに、ましろのそばにいてくれます。
ましろが泣いたらあきがかなしくなって泣いちゃうから、ましろはがまんします。でもがまんできなくて泣いてしまったら、あきは泣きながらましろのことをぎゅってしてくれます。
それからたくさん「ごめんね」って言います。ましろはまだじょうずにおはなしができないから、ましろのきもちもじょうずに言えません。
くりすは、ましろのおはなしすることを、ぜんぶわかってくれます。ふしぎです。でも、いつもわらってみまもるだけで、ましろがあきにおはなししたいことをおはなししてはくれません。でも、どうしてもつたえたいことは、くりすはあきにおはなししてくれます。
ましろは人だけど人じゃないので、あきからまりょくをもらいます。ごはんも食べるけど、あきのまりょくがいちばんおいしいです。
あきがぎるますってよぶ人が、よくおしろにきます。ぎるますはときどき、あきのかわりにましろにまほうをおしえてくれます。ぎるますはいろんなことを知っています。はくしきというらしいです。あきが言ってました。はくしきってなんですか?
「あね、おっきなおはながね、わーってきらきらで」
「きらきら!きれい?」
「う!きれぃ!」
ふんすいっていうのがあるひろば。
あきとくりすといっしょになんどか来たところ。
ふかふかをしいて、みんなですわっておやつを食べるの。ましろが大好きなあきのお花のおかし。
あきとくりすはぎるますとおはなしする。ほかの人ともおはなしする。
ましろのちかくにはいるがいる。
「でもここだけっていうのはやっぱり不公平な感じしない?…まあ、他の区画の人も来てくれればいいんだけど…」
「南町だとさすがに少し遠いな」
「うん…。王都の中心にお城と神殿があるから、やっぱり中心部で色々できたほうがいいと思うんだ。不公平感が少しはなくなるかな…って」
あきはとてもむずかしいおかおでむずかしいことを言ってるの。
ましろはちらちらあきを見ながら、またいちまい、おかしをたべる。
「マシロ、寂しい?」
いるが、ましろをおひざの上にすわらせた。
「う…」
いるはやさしい。
ましろのあたまをゆっくりなでてくれる。
「アキラさん、マシロと居たくないわけじゃないんですよ」
「う…」
「まあ、私が言わなくてもマシロはわかってると思いますけど」
「う…。わかぅ」
「わかっててもさみしいんですよね」
「う…」
なんどもうなずいて、いるにぎゅってする。
「ましろ、いたい?」
「まーろ、いちゃぃ?」
「ましろちゃん、泣いてる?」
みんなであつまって、おかしをたべる。
そしたら、みんな『おともだち』なんだって。あきがおしえてくれた。みなといっしょの『おともだち』。
その『おともだち』が、いるにぎゅってしてるましろを、しんぱいしてくれる。
「いたい、ないの」
ふるふる、あたまをふる。
いるのおひざからおりて、またふかふかの上にすわる。
ちらってあきを見たら、あきと目があって、あきがわらって手をひらひらしてくれた。
ましろはうれしくなって、ましろも手をひらひらさせる。
さみしいけど、一人じゃないからだいじょうぶ。いるとおともだちがいるからだいじょうぶ。
おしろにもどるとき、あきがましろをだっこしてくれる。
ぎゅうぎゅうくっついて、とちゅうでくりすがましろをつまみあげる。
そしたらこんどはくりすにぎゅうぎゅうくっつく。
いると目があう。そしたらにこってわらって、うなずいてくれる。よかったね、って、言われてるきがする。
「うれち」
「ん?」
「ましろね、うれち」
「そうか」
ぽんぽんって、くりすがましろのせなかをたたく。
すごくうれしいの。
なんどかあさとよるがすぎたころ、りーあがおしろにきたの。
「マシロちゃん、久しぶり!」
「きゃあっ」
ぎゅむぎゅむぎゅーって、りーあがましろをだっこする。
みなはいっしょじゃない。
りーあはばぁばとごあいさつをする。ましろをだっこしたまま。
ばぁばとおはなしがおわったら、ましろをおろして手をつなぐ。
「殿下とアキラさんのところにいきましょう」
「う!」
ばぁばもいっしょに、あきとくりすのおしごとのおへやに行く。
「ほんとうに申し訳ないと思いますけど……。よろしくお願いしますね」
「大丈夫です。気になさらないでください。私にとっても貴重な経験になりますし、もしかしたら良い方を見つけられるかもなので」
ばぁばとりーあがわらいながらおはなししてる。
「マシロちゃん一人でお留守番も可哀想ですし、アキラさんも気にして満足な結果にならないかもしれませんし」
「私とお留守番も検討されたようなのですけどね。マシロちゃんになにかあっても対処できないですし、何よりアキラさんが寂しいっておっしゃられて…」
あきもさみしいの?
そしたら、ましろがそばにいてあげないと。
「アキラさん、マシロちゃんのこと溺愛するパパですもんね」
「そうですね」
「なんだかんだ言って殿下も溺愛親バカなお父さんですけど」
「ふふ。ええ。本当にそのとおりですね」
ふふふ。
くすくす。
ばぁばとりーあはとてもたのしそう。
「そうだ、マシロちゃん」
「う?」
「お部屋についたら、『ぱぱ』ってよんであげて」
「ぱ、ぱ?」
「うん、そう。そしたら、アキラさんも殿下も、とーっても大喜びしてくれるわ」
「よろこぶ?」
「絶対喜ぶ!」
「う!いう!」
『ぱぱ』がなにかわからないけど、りーあがよろこぶって言うから、きっとあきもくりすもよろこんでくれる。
なんども『ぱぱ』ってれんしゅうをして、おしごとのへやについたとき、「ぱぱ!」っておっきなこえで言って、あきにだきついた。
「え!?」
「ぱぱ!」
「え、なんで、マシロっ」
「ぱぱ?」
「うああああっ」
あきのおかおがまっか。
あきはましろをゆかにおろして、いすにすわりこんじゃった。
……よろこんで、ないよ?
ましろ、どうしたらいいかわかんなくなった。
「マシロ」
「う?」
くりすがマシロをだっこする。
「誰に教えてもらった?」
「りーあ」
くりすはりーあのほうをみて、ふーっていきをだした。
「ぱぱ、め?」
「そんなことない」
「ぇも、あき」
「あれは喜びすぎて動けないだけだから、問題ない」
「うれち?」
「そう。嬉しすぎるんだ」
「ういすも、ぱぱ、うれち?」
「そうだな」
わらったくりすが、ましろのおかおにちゅってした。
「うきゃっ」
そのあと、おかおがまっかなあきも、ましろをぎゅうぎゅうしてくれて、
「大好きマシロ!可愛い!可愛すぎ!」
って、よろこんでくれた。
りーあ、すごい。
あきもくりすも、よろこんでくれたよ!
139
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる