大浴場がないってどういうことです? 悪役令嬢は婚約破棄して、僻地でドワーフと温泉を発掘します。

西東友一

文字の大きさ
6 / 17

しおりを挟む
「大丈夫ですか、ユーフェミア様」

「うーん・・・・・・」

 私は魂が半分しか入っていないような虚ろな感じで、キリエに着せ替え人形のように着替えさせてもらった。だって、あんなのはお風呂じゃないし、身体はきれいになったのかも怪しいところだけれど、私の心は逆に悪くなった気がする。

(もー、何を見てもやる気が・・・)

「そう言えば、ライハルト様のおうちの御風呂は豪華だって聞いたことがありますよ」

 話が変わった。

「詳しく聴こうじゃないか」

 私はベビーフェイスのくせして、キリっとした顔を作ってキリエを見る。

「えっ、詳しくと言われましても、私のようなメイドには、噂程度しか・・・」

 それもそうだ。
 ドラマや漫画のようななんでものぞき見するようなメイドがスタンダードだと思ってはいけない。仮にそんなメイドがいたとしても、大半が殺されているに違いない。

「よしっ、切り替えて、早く行きましょっ。キリエっ!!」


「ふふふっ」

 キリエが笑った。とても純粋な笑顔で、とても可愛らしかった。
 でも、どうして急に笑ったのかわからず、私が不思議そうに見ていると、キリエは

「すいません。今日のユーフェミア様、いつも通りと言えば、いつも通りなんですけど、なんだか、可愛らしくて・・・」

 と笑いながら話してくれた。

「可愛らしい?」

 私は言われ慣れていない言葉に同性からなのにドキドキして、聞き間違いなんじゃないかと怪訝な顔でキリエに尋ねた。

「あっ、すいません。メイドの分際で主を可愛らしいなんて・・・」

 キリエは深々と頭を下げたので、私は慌てて手を振って、

「いや、そんな顔を上げてよっ、なんだか、逆に可愛いって言わせているみたいじゃないっ」

「はいっ」

 私がそう言うと、キリエはいい笑顔で返事をした。こんなかわいい子がこんな顔をしたら、前の世界にいたクラスメイトの男子たちなんてイチコロに違いない。

 それから、私とキリエはさらに準備をして馬車に乗ってラインハルトのところへと向かった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

悪役令嬢に転生したので推しの悪役王子を救おうと思います!

かな
恋愛
大好きな乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生!? しかもこのままだと最推しが死んじゃうんですけど!? そんなの絶対ダメ!! そう思って推しの死亡ルートを回避しようと奮闘していると、何故か溺愛が始まって……。 「私に構っている暇があったら、(自分の命の為に)ヒロインを攻略して下さい!」 距離を取ろうとしたのに、推しから甘やかされて……? 推しを救うために頑張ってたら、溺愛ルートに突入しました!? 他サイト様にも掲載中です

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪役令嬢のビフォーアフター

すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。 腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ! とりあえずダイエットしなきゃ! そんな中、 あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・ そんな私に新たに出会いが!! 婚約者さん何気に嫉妬してない?

処理中です...