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「サイテーーーーっ」
私はジト目でクロムウェルを見る。
「おっ、お前が変なことを言うからだろうがっ」
頬を赤らめた都築くん……とは似て全く違うクロムウェルから私はタオルを貰って、顔や髪を拭く。
「そもそも、お前のようなチビに誰が媚薬なんて・・・」
ムカッ
前世でも、身長が大きいから中学の頃に男子からディスられたこともある。小さいのは小さいのでこう言われてしまうのか。実に腹立たしいわ。
(けれど、抑えるのよ、ユーフェミア。あなたは、お風呂に入るんでしょ? そのためには魔法が必要なの)
私は、自分自身に言い聞かせて、怒りを制御する。
「おっ、おこちゃまのくせに、我慢できたか? 偉いぞ。よし、お菓子でも・・・」
カチンッ
私が睨みつけると、クロムウェルが警戒する。
「なんでよ・・・・・・っ」
「なっ…」
悔しい。
悔しい。
悔しいけど涙が出る。
「見るな、バカ」
別にクロムウェルの子供じみている嘲笑なんかで泣くほど私は弱くはない。汚れに関しては敏感だから、クロムウェルの吹き出したお茶が私の顔や髪を汚したのは結構不快だけれど、それだって泣くほどのことじゃない。だけど、ここに来て色んな不安が一気に爆発してしまったのだ。
わけのわからない転生。
大好きなお風呂に入れない。
婚約破棄に蔑視の眼差し。
単独行動による孤独。
前世の友達の記憶。
そして、クロムウェルの失礼な態度。
気にしないように、気にしないようにしていたけれど、とどめを刺された気分だ。
「ふん・・・なら、こっちも見るなよ」
クロムウェルも拗ねてしまったようで、そんなことを言っていたが私にとってそれは好都合だったので、返事もしなかった。
「風よ、彼女を癒せ」
クロムウェルがそんな言葉を呟くのが聞こえると、私の髪の間を爽やかな風が流れていく。その風は突風という訳でもないのに私の髪を拭きとるようにして、タオルでもなかなか落ちなかった汚れを運んでいき、髪を乾かしてくれた。
「えっ・・・」
私が顔を上げると、クロムウェルはバツの悪そうな顔をして、
「戻りたまえ」
と呟いた。すると、私の髪に触れていた風はピタっと止まってしまった。
「今のが・・・・魔法?」
「それ以外の何だと言うのだ。ここは魔法使い、クロムウェル様の家だぞ」
「すごい・・・・・・」
私は感動した。だって、何もないところから風が生まれたのだ。それも人間の見えざる力、魔法によって。それだけでも、凄いのだが、前世の科学文明と敢えて比べるとするならば、確かに前世でもドライヤーなんても代物はあった。けれど、ドライヤーは風を一方的に送るだけの機械で表面だけ何度も乾かしてしまい、表面にある髪は痛みやすく、頭皮に近い髪はなかなか乾かない。だけど、今の風は確かに意志を持っていて、髪を大事にしながら、汚れや生乾きの部分を探して、綺麗にしてくれた。
これなら、お風呂に入れるんじゃないか。
私は嫌な気持ちは先ほどの風に乗ってどこかに行ってしまったようで、私の心は追い焚きしているお風呂のように温まってきた。
私はジト目でクロムウェルを見る。
「おっ、お前が変なことを言うからだろうがっ」
頬を赤らめた都築くん……とは似て全く違うクロムウェルから私はタオルを貰って、顔や髪を拭く。
「そもそも、お前のようなチビに誰が媚薬なんて・・・」
ムカッ
前世でも、身長が大きいから中学の頃に男子からディスられたこともある。小さいのは小さいのでこう言われてしまうのか。実に腹立たしいわ。
(けれど、抑えるのよ、ユーフェミア。あなたは、お風呂に入るんでしょ? そのためには魔法が必要なの)
私は、自分自身に言い聞かせて、怒りを制御する。
「おっ、おこちゃまのくせに、我慢できたか? 偉いぞ。よし、お菓子でも・・・」
カチンッ
私が睨みつけると、クロムウェルが警戒する。
「なんでよ・・・・・・っ」
「なっ…」
悔しい。
悔しい。
悔しいけど涙が出る。
「見るな、バカ」
別にクロムウェルの子供じみている嘲笑なんかで泣くほど私は弱くはない。汚れに関しては敏感だから、クロムウェルの吹き出したお茶が私の顔や髪を汚したのは結構不快だけれど、それだって泣くほどのことじゃない。だけど、ここに来て色んな不安が一気に爆発してしまったのだ。
わけのわからない転生。
大好きなお風呂に入れない。
婚約破棄に蔑視の眼差し。
単独行動による孤独。
前世の友達の記憶。
そして、クロムウェルの失礼な態度。
気にしないように、気にしないようにしていたけれど、とどめを刺された気分だ。
「ふん・・・なら、こっちも見るなよ」
クロムウェルも拗ねてしまったようで、そんなことを言っていたが私にとってそれは好都合だったので、返事もしなかった。
「風よ、彼女を癒せ」
クロムウェルがそんな言葉を呟くのが聞こえると、私の髪の間を爽やかな風が流れていく。その風は突風という訳でもないのに私の髪を拭きとるようにして、タオルでもなかなか落ちなかった汚れを運んでいき、髪を乾かしてくれた。
「えっ・・・」
私が顔を上げると、クロムウェルはバツの悪そうな顔をして、
「戻りたまえ」
と呟いた。すると、私の髪に触れていた風はピタっと止まってしまった。
「今のが・・・・魔法?」
「それ以外の何だと言うのだ。ここは魔法使い、クロムウェル様の家だぞ」
「すごい・・・・・・」
私は感動した。だって、何もないところから風が生まれたのだ。それも人間の見えざる力、魔法によって。それだけでも、凄いのだが、前世の科学文明と敢えて比べるとするならば、確かに前世でもドライヤーなんても代物はあった。けれど、ドライヤーは風を一方的に送るだけの機械で表面だけ何度も乾かしてしまい、表面にある髪は痛みやすく、頭皮に近い髪はなかなか乾かない。だけど、今の風は確かに意志を持っていて、髪を大事にしながら、汚れや生乾きの部分を探して、綺麗にしてくれた。
これなら、お風呂に入れるんじゃないか。
私は嫌な気持ちは先ほどの風に乗ってどこかに行ってしまったようで、私の心は追い焚きしているお風呂のように温まってきた。
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