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第6話
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「王、ゴア王!!」
不幸というものは連鎖する。
王が倒れた。
「大変危険な状態だと思われますが、手の施しようがないかと。こんな状態まで正常に動けていたなんて…。脈拍も弱く、いつ…」
王族専門医師。
今や近隣諸国の中でも最大の力を持っていたメヴィウス家。もちろん、彼以上の医師などこの国にもいない。
その医師が匙を投げようとしている。
リアムは目を閉じて、事実を受け止めた。
「ありがとう、ドクタージャネット。そこのお前、この部屋に母上を運んではくれまいか」
「はっ…はい!」
数人の兵士が一礼をして、部屋を後にする。
そして、しばらくすると、翡翠に覆われたヴィエナが丁寧に運ばれてくる。
「ありがとう、諸君」
リアムは一礼をすると、慌てて兵士たちは90度に頭を下げる。
「今より、ゴア王に代わり、私、リアム・メヴィウスが全権を担う。我の命に従え」
「はい!!」
リアムはゴアとヴィエナを見る。
(見ていてください。二人とも)
「まずは、魔女ルシアを排除する。呼んで参れ」
「はっ」
兵士たちがまた部屋を出て、廊下を出ると駆け足の音が聞こえる。
「ルシア殿を連れてまいりましたっ」
「ルシアよ、これが…お主のやったことだ」
ルシアは二人を見る。
「えぇ、私は叶えたわ…」
「お前の望みはこの国を乗っ取ることか?」
「ちっ、違う」
珍しくルシアが感情的な声を出す。
「ふんっ、図星か?声に動揺が見えるぞ」
ルシアは何か言いたそうな顔をしたが、諦めたようにいつもの無表情になる。
「私は求められた望みを果たした。気に食わない?」
「お前は人を不幸にする魔女だ。私の国に、同盟国に、属国にお前のような存在はいらない」
リアムは冷たく言い放つ。
「えっ」
ルシアは驚く。
もうこの大陸にメヴィウス家と関係を持っていない国は一つもない。
「立ち去れ、ルシア。お前の居場所は人の世にない」
「…リアム様」
侍女がその強い言葉に思わず声を漏らす。
ルシアは悔しそうに唇を震わせる。
「私は人の望みを叶える魔女、それがあなたの望み?」
「ふんっ、馬鹿を言うな。これは望みではない、命令だ。メヴィウス家、前王の父上ゴアは魔が差したかもしれない。しかし、現王リアム・メヴィウスは魔になど頼りはしない」
力強い言葉。
全てを背負う覚悟を持った言葉だった。
「…そう。それは人を幸せにするのかしら」
「あぁ、当然だ」
「ご武運を」
ルシアは振り返りその場を立ち去ろうとする。
「魔女に望まれる未来など、この大陸にはどこにもない」
ルシアはその小さな肩を少し震わせて、立ち去った。
不幸というものは連鎖する。
王が倒れた。
「大変危険な状態だと思われますが、手の施しようがないかと。こんな状態まで正常に動けていたなんて…。脈拍も弱く、いつ…」
王族専門医師。
今や近隣諸国の中でも最大の力を持っていたメヴィウス家。もちろん、彼以上の医師などこの国にもいない。
その医師が匙を投げようとしている。
リアムは目を閉じて、事実を受け止めた。
「ありがとう、ドクタージャネット。そこのお前、この部屋に母上を運んではくれまいか」
「はっ…はい!」
数人の兵士が一礼をして、部屋を後にする。
そして、しばらくすると、翡翠に覆われたヴィエナが丁寧に運ばれてくる。
「ありがとう、諸君」
リアムは一礼をすると、慌てて兵士たちは90度に頭を下げる。
「今より、ゴア王に代わり、私、リアム・メヴィウスが全権を担う。我の命に従え」
「はい!!」
リアムはゴアとヴィエナを見る。
(見ていてください。二人とも)
「まずは、魔女ルシアを排除する。呼んで参れ」
「はっ」
兵士たちがまた部屋を出て、廊下を出ると駆け足の音が聞こえる。
「ルシア殿を連れてまいりましたっ」
「ルシアよ、これが…お主のやったことだ」
ルシアは二人を見る。
「えぇ、私は叶えたわ…」
「お前の望みはこの国を乗っ取ることか?」
「ちっ、違う」
珍しくルシアが感情的な声を出す。
「ふんっ、図星か?声に動揺が見えるぞ」
ルシアは何か言いたそうな顔をしたが、諦めたようにいつもの無表情になる。
「私は求められた望みを果たした。気に食わない?」
「お前は人を不幸にする魔女だ。私の国に、同盟国に、属国にお前のような存在はいらない」
リアムは冷たく言い放つ。
「えっ」
ルシアは驚く。
もうこの大陸にメヴィウス家と関係を持っていない国は一つもない。
「立ち去れ、ルシア。お前の居場所は人の世にない」
「…リアム様」
侍女がその強い言葉に思わず声を漏らす。
ルシアは悔しそうに唇を震わせる。
「私は人の望みを叶える魔女、それがあなたの望み?」
「ふんっ、馬鹿を言うな。これは望みではない、命令だ。メヴィウス家、前王の父上ゴアは魔が差したかもしれない。しかし、現王リアム・メヴィウスは魔になど頼りはしない」
力強い言葉。
全てを背負う覚悟を持った言葉だった。
「…そう。それは人を幸せにするのかしら」
「あぁ、当然だ」
「ご武運を」
ルシアは振り返りその場を立ち去ろうとする。
「魔女に望まれる未来など、この大陸にはどこにもない」
ルシアはその小さな肩を少し震わせて、立ち去った。
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