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2.不安定な態気
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「ひっく、ひっく、ひっく・・・っ」
ミッシェルは、大雨の中、傘もささずにずぶ濡れになりながら涙を流して歩いていた。
思い返すは先ほどの大臣とジェイドの会話。
『陛下・・・よろしいのですか?』
『あぁ、構わん。これは情けだ。おい、ミッシェル。お前が泣き止めば簡単に天気は晴れるのだ。自分の心を律することができなければ、そのうち痛い目に見るぞ。だから、俺は心を鬼にして、お前には傘はやらん』
(なーんて、国民でも、貴族でもなんでもないお前に何かを与えるなんぞ、もったいなくてしたくないだけだけどな )
憎たらしい顔でジェイドは笑っていたけれど、ミシェルはそれに歯向かうような勇敢さはなく、ただただその顔とその裏にある悪意に傷ついて、とぼとぼと歩いて行った。ジェイドが言うように、自分の心を制御すれば天気は元通りになるのだろうけれど、純粋なミシェルには簡単にはできなかった。
(どーしよう・・・行くところもない。寒いよぉ・・・っ)
雨は彼女の身体から熱を奪い、その代わりに彼女を縛り付けるように重さを与える。
そんな雨は彼女ばかりに降り注ぐわけではない。
「はぁっ、はぁっ、せっかくいいジャガイモができたのに、これじゃあ腐っちまうぜ」
露店で野菜を売っていた男たちが、荷車にカバーをかけて、一人が引っ張り、一人が押しながら急いで帰ろうとしている。
「おい、ミッシェルだ。おいおい、泣いてねーで、早く天気を戻してくれよっ」
引っ張っていた男がずぶ濡れのミッシェルに気が付いて、立ち止まり、ふり返りながら大声を出す。
「すっすいませんっ」
驚くミッシェルだったけれど、あわあわしていてどうすることもできない。
「ほっとけ、そいつはダメだ。行くぞっ」
押していた方の男がイライラしながら、前の男に言うと、「ちっ」と舌打ちして引っ張っていく。
「ごっごめ・・・」
小さな声で謝ろうとするミシェルの声は雨音で聞こえることがなく、後ろで押していた男がすれ違いざまに、
「使えねぇ・・・っ」
と小声で言った。
その言葉だって、雨音にかき消されそうな小声だったけれど、ミシェルにははっきりと聞こえた。
「くっそ、また雨脚が強まってきやがった」
遠くで男たちが文句を言いながら走っていくのを、ミシェルは申し訳なくなりながら見送っていた。
(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・っ)
この前まで豊作を喜んでくれていた男たちを裏切る形になってしまったことを心苦しく思うミシェル。
でも、自責の念に駆られれば、駆られるほど、雨はどんどん降っていった。
ミッシェルは、大雨の中、傘もささずにずぶ濡れになりながら涙を流して歩いていた。
思い返すは先ほどの大臣とジェイドの会話。
『陛下・・・よろしいのですか?』
『あぁ、構わん。これは情けだ。おい、ミッシェル。お前が泣き止めば簡単に天気は晴れるのだ。自分の心を律することができなければ、そのうち痛い目に見るぞ。だから、俺は心を鬼にして、お前には傘はやらん』
(なーんて、国民でも、貴族でもなんでもないお前に何かを与えるなんぞ、もったいなくてしたくないだけだけどな )
憎たらしい顔でジェイドは笑っていたけれど、ミシェルはそれに歯向かうような勇敢さはなく、ただただその顔とその裏にある悪意に傷ついて、とぼとぼと歩いて行った。ジェイドが言うように、自分の心を制御すれば天気は元通りになるのだろうけれど、純粋なミシェルには簡単にはできなかった。
(どーしよう・・・行くところもない。寒いよぉ・・・っ)
雨は彼女の身体から熱を奪い、その代わりに彼女を縛り付けるように重さを与える。
そんな雨は彼女ばかりに降り注ぐわけではない。
「はぁっ、はぁっ、せっかくいいジャガイモができたのに、これじゃあ腐っちまうぜ」
露店で野菜を売っていた男たちが、荷車にカバーをかけて、一人が引っ張り、一人が押しながら急いで帰ろうとしている。
「おい、ミッシェルだ。おいおい、泣いてねーで、早く天気を戻してくれよっ」
引っ張っていた男がずぶ濡れのミッシェルに気が付いて、立ち止まり、ふり返りながら大声を出す。
「すっすいませんっ」
驚くミッシェルだったけれど、あわあわしていてどうすることもできない。
「ほっとけ、そいつはダメだ。行くぞっ」
押していた方の男がイライラしながら、前の男に言うと、「ちっ」と舌打ちして引っ張っていく。
「ごっごめ・・・」
小さな声で謝ろうとするミシェルの声は雨音で聞こえることがなく、後ろで押していた男がすれ違いざまに、
「使えねぇ・・・っ」
と小声で言った。
その言葉だって、雨音にかき消されそうな小声だったけれど、ミシェルにははっきりと聞こえた。
「くっそ、また雨脚が強まってきやがった」
遠くで男たちが文句を言いながら走っていくのを、ミシェルは申し訳なくなりながら見送っていた。
(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・っ)
この前まで豊作を喜んでくれていた男たちを裏切る形になってしまったことを心苦しく思うミシェル。
でも、自責の念に駆られれば、駆られるほど、雨はどんどん降っていった。
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