回復最強の加護を捨てるまで

西東友一

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「今まで、私・・・みんなのために頑張って来たじゃない。それなのに、サラマンダーは危険だから止めよって言っただけで、クビって・・・あんまりじゃない」

 私の声はかすれていた。けれど、一生懸命振り絞った言葉。どうか届いて―――

「はぁっ」

 露骨に嫌そうな顔をしてため息をつくテッド。

「回復師が尽くすのは当たり前だろ?俺たち剣士が身体を張っているのを、感謝しろって毎回言ってないだろ、そういう卑しいところが嫌なんだよ」

「ちっ、ちが・・・っ」

 私は嫌な言い方をされて泣きそうになるけれど、必死に否定しようとする。

「じゃあ、今までお前はどこで活躍したんだよ?ルーシー」

「そっそれは・・・」

 タイムヒールのことは言えない。けれど、状況に合わせた加護による回復や強化、料理や洗濯、街についたときの細かい手続きとか・・・

「あっ、ほら、アンデッドとの・・・」

「はぁ・・・っ」

 再びため息をつくテッド。ギースが「心中お察し」みたいな感じで、テッドの肩を叩くと、テッドは感謝を目で伝える。すると、ギースも「俺はお前の苦労をわかってんぜ?」みたいな感じで深く頷いた。

「アンデッドで回復師が活躍するのは常識、当たり前なわけ」

 ギースがテッドの代わりに言う。今度はテッドがギースに対して、「ありがとう」と言ったような視線を向けて、ギースは頷いた。

(ひどい・・・っ)

 私の頑張ったことは「あたり前」、それで自分たちはやってます感を出して、良い床取りして、雑務は全部私。

(それでもいいと思っていたのは・・・)

 必要とされていたと思っていたから。
 こんな奴らでも、人前で格好をつけた言葉を並べたように、申し訳程度にお礼などを言ってきた。言い方は雑で疑う気持ちを抱えつつも、それでも信じてここまでやって来たのに・・・。

 私は遠い昔の記憶を思い出してしまう。
 不器用で短い手足。
 歩くのにようやく身体が慣れて来たくらいで、お父さんとお母さんに食器を運んで洗うように言われて、一生懸命運ぶけれど、割ってしまい、怒鳴られて、叩かれて、蹴られて、外に追い出されて、歯もほとんど生えていないし、滑舌もよくなかったけれど、何度も謝って、許しを請いた。

 上手くやるように、上手くやるように。そう思うと、悪魔に取りつかれたかのように私の手は私の意思とは無関係に震えてしまい、同じような失敗を繰り返すことになった。結局両親は私を捨てた。捨てられた私の絶望したあの夜の恐怖が、フラッシュバックする。

「許してください・・・」

 一人は嫌だ。
 
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