【完結】七夕に願いを。ニートな俺が織姫に会う件について

西東友一

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2021年7月7日 夜はじめ2

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 ヒュー―――・・・・・・・・・・ドオンッ!!!!

 パラパラパラパラ・・・

「わぁ・・・」

 夜空に舞う花火を見て、織姫が思わず声を漏らす。

「きれいだなぁ」

 俺は織姫を見ながらそう言う。

「・・・うん」

 織姫は花火に夢中だ。
 今、ヘタレな俺がちょっと、ほんのちょこっと・・・9割9分9厘花火、1厘だけ織姫のことをきれいと伝えたが織姫にはわからなかったようだ。

「一番きれいだ・・・」

「えー、私はさっきの方がきれいだと思ったなぁ・・・あっ、こっちもいい!!」

 うん、俺の気持ちは今は伝わらんようだ。


『タッマヤー』

 俺と織姫がその声の主の女性を見るとハニカんで、彼氏らしき人物とじゃれ合っていた。

「ねぇ、タッマヤーって何?」

 織姫が俺の袖をくいっと引っ張って尋ねてくる。

「それはだなぁ、昔日本には花火屋さんが2種類いてだな・・・」

「やっぱりいいや」

「なっ!?最後まで聞けよ」

「えーだって、彦星の顔、どやってたもん」

 織姫が小悪魔的に笑う。

(おっ、その喧嘩、勝ったろうか?)

 俺は拳を震わせる。
 というか、こいつの偏った知識はなんなんだろう。
 「ドヤる」とかは知っていて、「タマヤ」を知らんとは。




 でも、きれいだ…本当に。



「ふっ・・・」

 俺みたいな男がこんなふうに誰かと花火を、見に来るなんて思っていなかった。それもこんなにかわいい美少女だ。

 この瞬間が永遠に続けばいいと思った。

(いや、永遠じゃなくてもいい。どんどん老けづらになって、シワが増えて、白髪になるか、ハゲなったっていい。織姫が隣で笑ってくれるなら・・・どんな人生だって)

「織姫、俺とけっこ・・・」


 ゴロゴロゴローン!!!

「うわっ、雷だ!」

 どこかの男が叫んだ。
 夜空だったし、花火に見とれて気づかなかったけれど、雨雲が広がっていた。

 ザザザザザサッ

「キャーーッ」

 雨が降ってきて、みんなが逃げ始める。

「俺たちも行くぞ・・・っ」

 俺は雨宿りできそうな場所を探すが、いかんせん引きこもりだ。毎年のようにお祭りに参加したり、土地勘がある奴らが屋根がある場所に逃げ込んでいて、なかなか見つけられない。

「・・・こんなのってないよ・・・お父さん・・・っ」

「なんてっ!?」

 織姫が何か言っているが、雨もうるさいし、みんなの足音も無駄に騒ぐ声もあってよく聞こえない。

「とりあえず、行こう」

 俺は織姫の手を取って、人の流れに沿って走った。

「あっ・・・」

 織姫の草履が脱げてしまう。
 こんなところでも、俺の浅はかさが露呈してしまった。
 そして、織姫の片方の草履は逃げている人に蹴られてしまい、人混みに消えてしまった。
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