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ナンパなんて構っている暇はない。
それも、こんな不審者。
こんなふざけた人―――
「わっ、わたし、既婚者・・・・・・じゃなくなりますけど、そう言う女なんですっ!!」
不意打ちをされたせいなのか。
深夜でハイテンションになってしまって、たまたまなのか。
封印されてしまった私の乙女心は無防備過ぎたのか。
世間知らずのモテない女性のように、テンパってわけのわからないことを言ってしまった。
「既婚者じゃなくなる? それは、ボクへのアピールかい?」
(うわあああああああっ)
スルーして欲しいところを、無神経に指摘しました、この無神経な男性は。乙女のミスはスルーすべきでしょ!
「うーん、考えておこうかな」
(いやいや、勝手に自己完結しないで)
顔から火が出そうだったし、私は視線を逸らして行こうとする。
「ただ、クロエの居場所を教えて欲しい。彼女はこの中にいるんだろ?」
さっきまで私がいた部屋を視線で示す男性。
「あっあの、私、急いでいるんで!!」
「確かにね、クロエがあまり容姿が良くないなんてひどい噂を信じるのも良くない。美しいかどうかは、他人じゃなくて自分で決めるものだ。と言うか、レディの容姿だけで判断するなんてナンセンスだ」
「あの、聞いてます?」
いつもなら、こう言う人の話を聞かない人にも妹のおかげで慣れているから、敬意を持って誠実に対応しているけれど、今は妹の身の危険があり本当に急いでいるのだ。
「だからね、キミをクロエじゃないって判断した理由は他にあってね。それは・・・・・・ケガ?」
ゾワッとした。
そしてドキッとした。
男性は私の顔に顔を近づけて、腕を掴んでいない方の手で髪をかき分けて私の首筋を優しく触ってきた。
「もうっ、ほっといてください!!」
私がケガしていると思ったら力が抜けた男性の手を振り払い私は駆け出す。
「私は妹を・・・ネックレスを取り返しに行がなければならないんです!!」
自分を馬鹿だと思った。
顔も隠しているし、声などから出会ったこともない見知らぬ不審者でなぜか自分を探している男性に急いでいる理由なんかを喋っていた。
(そうよ、この人は助けてくれる「誰か」なんかじゃ・・・)
「キミは本当にクロエなのかい?」
男性は私を追いかけて、今度は邪魔をせず並走してきた。
「ボクはネフェルフィー家の長男、シャルル」
「ネフェルフィー家って・・・じゃあ貴方があの、シャルル王子!?」
「ようやく分かってくれたかい?」
そう言って仮面を外すシャルル王子。
育ちの良さそうな顔や肌艶はまさしく上流階級のそれだけど、そもそもの顔を知らないのだからドヤ顔されても愛想笑いしかできない。
「そして、キミが取り返そうとしている盗まれた栄光のネックレスの持ち主だ」
親指を立ててウインクするシャルル王子の顔はかっこ可愛かったけれど、なぜかムカついた。
それも、こんな不審者。
こんなふざけた人―――
「わっ、わたし、既婚者・・・・・・じゃなくなりますけど、そう言う女なんですっ!!」
不意打ちをされたせいなのか。
深夜でハイテンションになってしまって、たまたまなのか。
封印されてしまった私の乙女心は無防備過ぎたのか。
世間知らずのモテない女性のように、テンパってわけのわからないことを言ってしまった。
「既婚者じゃなくなる? それは、ボクへのアピールかい?」
(うわあああああああっ)
スルーして欲しいところを、無神経に指摘しました、この無神経な男性は。乙女のミスはスルーすべきでしょ!
「うーん、考えておこうかな」
(いやいや、勝手に自己完結しないで)
顔から火が出そうだったし、私は視線を逸らして行こうとする。
「ただ、クロエの居場所を教えて欲しい。彼女はこの中にいるんだろ?」
さっきまで私がいた部屋を視線で示す男性。
「あっあの、私、急いでいるんで!!」
「確かにね、クロエがあまり容姿が良くないなんてひどい噂を信じるのも良くない。美しいかどうかは、他人じゃなくて自分で決めるものだ。と言うか、レディの容姿だけで判断するなんてナンセンスだ」
「あの、聞いてます?」
いつもなら、こう言う人の話を聞かない人にも妹のおかげで慣れているから、敬意を持って誠実に対応しているけれど、今は妹の身の危険があり本当に急いでいるのだ。
「だからね、キミをクロエじゃないって判断した理由は他にあってね。それは・・・・・・ケガ?」
ゾワッとした。
そしてドキッとした。
男性は私の顔に顔を近づけて、腕を掴んでいない方の手で髪をかき分けて私の首筋を優しく触ってきた。
「もうっ、ほっといてください!!」
私がケガしていると思ったら力が抜けた男性の手を振り払い私は駆け出す。
「私は妹を・・・ネックレスを取り返しに行がなければならないんです!!」
自分を馬鹿だと思った。
顔も隠しているし、声などから出会ったこともない見知らぬ不審者でなぜか自分を探している男性に急いでいる理由なんかを喋っていた。
(そうよ、この人は助けてくれる「誰か」なんかじゃ・・・)
「キミは本当にクロエなのかい?」
男性は私を追いかけて、今度は邪魔をせず並走してきた。
「ボクはネフェルフィー家の長男、シャルル」
「ネフェルフィー家って・・・じゃあ貴方があの、シャルル王子!?」
「ようやく分かってくれたかい?」
そう言って仮面を外すシャルル王子。
育ちの良さそうな顔や肌艶はまさしく上流階級のそれだけど、そもそもの顔を知らないのだからドヤ顔されても愛想笑いしかできない。
「そして、キミが取り返そうとしている盗まれた栄光のネックレスの持ち主だ」
親指を立ててウインクするシャルル王子の顔はかっこ可愛かったけれど、なぜかムカついた。
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