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本編 婚約破棄編(仮)
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私は神父様を見つめる。神父様の表情は変わらないけれど、きっと神父様ならいい案を出してくれるに違いない。お父様に話をしたときは、お父様がすぐに怒ったので気を遣って話をしたけれど、神父様は私の話を否定せずにくれたので、私はとてもすっきりした。
コンコンッ
私が神父様の目を見ていると、ノックする音が聞こえた。
「失礼します」
入って来たのは、私よりも3歳年下の少年ノエルだった。
「これっ、ノエル。ノックをした後は返事があってから入るようにと言っているだろう? 今は、ミシェル様と大事な話の最中だから、戻りなさい」
「はーい、すいませんでした。でも、そろそろ皆さん、集まりだしましたよ?」
そう言われると、神父様は少し困った顔をしたけれど、
「ノエル、みんなに声を掛けて先に初めておいてくれないか?」
と私を優先しようとしていたので、
「いいです、神父様。お気になさらないでください」
と伝えた。けれど、神父様は私の方を見て、慌てた表情で、
「いいや、せっかくミシェル様がお話していただいたのを無下にできるわけがありません」
と言われた。その後、私と神父様で譲り合いが始まると、ノエルは冷めた目で私たちを見ていてため息をつく。
「ねぇ、ミシェル様」
「なに、ノエル」
「めかけってなに?」
「これ、ノエルっ。もしかして、聞いていたのか?」
神父様が怒るけれど、ノエルは悪びれない。
「ねぇ、教えてよ。王子様と結婚って幸せなことじゃないの?」
ノエルは神父様ではなく、私に聞いてきている。私も心のどこかで期待していたに違いない。だって、小さいときに読んだ絵本では、みんな王子様と結婚してハッピーエンドになっていたのだから。私はもう一度、レオナルド王子のことを思い出す。傲慢で、そのくせどこか自信がなさそうで、優柔不断。
「ノエルが読んだ本で、神父様にみんなを騙す絵本があったでしょ?」
私はこの教会にあった絵本を思い出して、そんな話をすると、神父様が「えっ」と驚き少し目を見開いて私を見ていたけれど、私はノエルを真っすぐ見た。
「うん、あったよ」
「でも、こちらの神父様は優しいわよね」
ノエルは神父様を見ると、神父様もソワソワしながらも、毅然と振る舞う。
「なるほどね」
ノエルは無邪気に笑いながら、出入り口に向かった。
「じゃあ、先に行ってるから早く来てね、ミシェル様っ」
そう言って、ノエルは行ってしまった。
(幸せか・・・・・・)
今の私は幸せじゃないかもしれない。
(じゃあ、幸せになるためには?)
「神父様」
「あぁ・・・、すまなかったね。ミシェル様」
「いいえ、私。決めました」
私がそう言うと、神父様は驚いた顔をする。
「私、自分でエレメンタル王国に交渉しに行ってみようと思います」
「なんとっ」
「エレメンタル王国と手を握ることが幸せなのか、自分の目と耳で確かめて、お父様も私も、みんなも幸せになれるかどうか見極めたいんです」
それを聞いた神父様は、驚いた顔からゆっくりといつもの穏やかな顔になっていき、
「皆、ミシェル様がその笑顔で掴んだ幸せなら、きっと幸せに暮らせるでしょう」
と言ってくれたので、とても嬉しかった。
コンコンッ
私が神父様の目を見ていると、ノックする音が聞こえた。
「失礼します」
入って来たのは、私よりも3歳年下の少年ノエルだった。
「これっ、ノエル。ノックをした後は返事があってから入るようにと言っているだろう? 今は、ミシェル様と大事な話の最中だから、戻りなさい」
「はーい、すいませんでした。でも、そろそろ皆さん、集まりだしましたよ?」
そう言われると、神父様は少し困った顔をしたけれど、
「ノエル、みんなに声を掛けて先に初めておいてくれないか?」
と私を優先しようとしていたので、
「いいです、神父様。お気になさらないでください」
と伝えた。けれど、神父様は私の方を見て、慌てた表情で、
「いいや、せっかくミシェル様がお話していただいたのを無下にできるわけがありません」
と言われた。その後、私と神父様で譲り合いが始まると、ノエルは冷めた目で私たちを見ていてため息をつく。
「ねぇ、ミシェル様」
「なに、ノエル」
「めかけってなに?」
「これ、ノエルっ。もしかして、聞いていたのか?」
神父様が怒るけれど、ノエルは悪びれない。
「ねぇ、教えてよ。王子様と結婚って幸せなことじゃないの?」
ノエルは神父様ではなく、私に聞いてきている。私も心のどこかで期待していたに違いない。だって、小さいときに読んだ絵本では、みんな王子様と結婚してハッピーエンドになっていたのだから。私はもう一度、レオナルド王子のことを思い出す。傲慢で、そのくせどこか自信がなさそうで、優柔不断。
「ノエルが読んだ本で、神父様にみんなを騙す絵本があったでしょ?」
私はこの教会にあった絵本を思い出して、そんな話をすると、神父様が「えっ」と驚き少し目を見開いて私を見ていたけれど、私はノエルを真っすぐ見た。
「うん、あったよ」
「でも、こちらの神父様は優しいわよね」
ノエルは神父様を見ると、神父様もソワソワしながらも、毅然と振る舞う。
「なるほどね」
ノエルは無邪気に笑いながら、出入り口に向かった。
「じゃあ、先に行ってるから早く来てね、ミシェル様っ」
そう言って、ノエルは行ってしまった。
(幸せか・・・・・・)
今の私は幸せじゃないかもしれない。
(じゃあ、幸せになるためには?)
「神父様」
「あぁ・・・、すまなかったね。ミシェル様」
「いいえ、私。決めました」
私がそう言うと、神父様は驚いた顔をする。
「私、自分でエレメンタル王国に交渉しに行ってみようと思います」
「なんとっ」
「エレメンタル王国と手を握ることが幸せなのか、自分の目と耳で確かめて、お父様も私も、みんなも幸せになれるかどうか見極めたいんです」
それを聞いた神父様は、驚いた顔からゆっくりといつもの穏やかな顔になっていき、
「皆、ミシェル様がその笑顔で掴んだ幸せなら、きっと幸せに暮らせるでしょう」
と言ってくれたので、とても嬉しかった。
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