一番平凡のボクが世界最強?ハズレスキルの「天邪鬼」で弱小美少女と楽して無双します

西東友一

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プロローグ

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「栄太、栄太、やばいにゃーーっ」

 猫獣人のミミが盗賊と必死に戦いながら、後ろで切株に座っている少年に必死に言う。

「あぁ、そうみたいだな。見ればわかるぞ、ミミ」

「にゃら、早く助けるにゃーーっ」

 少年は「やれやれ」と言いながら、立ち上がる。

「ボクは戦闘員じゃないんだけどなぁ~」

「いいから、早くするにゃーーっ」

「えー、それが人に頼む態度~?」

「わっ、わかったにゃー、栄太、早くお願いしますにゃ、なんでもするからお願いするにゃ」

「ん?今なんでも―――」

「いいから!!!早く!!!」

 ミミが必死に盗賊の一撃を避けながら栄太に懇願する。

「へっへっへっ、そんなヒョロガリに何ができるってんだ?お嬢ちゃん。それよりも俺たちに仲間になってよぉ、いいことしようぜっ、へっへっへっ」

「栄太ぁーーーっ」

 ミミは生理的嫌悪を覚えて、ぶるっと震えて栄太を見る。

(まぁ、ボクの女をそういう目で見るのはいただけないな・・・。そろそろ使うか」

「もー、限か・・・っ」

「へっへっへっ」

 ミミが目を回して、盗賊が襲い掛かろうとする。

―――スキル発動、天邪鬼

「へっへ・・・へっ?」

 盗賊の視界からミミが消える。

「なっ、どこ行ったっ!?」

 盗賊は周りを見渡すが、ドヤ顔を決めている栄太しかいない。

「こっちにゃーーーっ」

「へっ?」

 盗賊が振り返ると、ミミの蹴りが眼前まで迫っていた。

「あぶぁーーーーっ」

 強烈な一撃が盗賊の頬を捉え、盗賊は森の彼方へと吹き飛んでいく。

 ギロッ

「ひぃ~~~」

 盗賊の子分たちはミミの「睨みつけ」で戦意を奪われる。

「さっ、さっきまでクソ雑魚だったのに・・・ぶへっ」

 ミミに悪口を言った子分がミミのワンパンチで吹き飛ばされる。

「ひぇ~~~」

 残った盗賊たちも急いで立ち去っていく。

「にゃー、にゃにゃにゃっ。美少女は勝つ!!にゃり」

 両手を腰に当てて、のけぞりながら笑うミミ。

「自分で美少女とか言うの・・・ないわーーっ」

 ミミに近づいていく栄太。

 キランッ

「隙ありにゃ!!!」

「天邪鬼、解除」

 ポンッ

 かわいらしいパンチが栄太の胸に触れる。

「あっ・・・」

「にこーーーっ」

 ミミは仕返しをしようとしたけれど、栄太よりも能力が下がってしまい、冷や汗をかく。
 
 そんなミミを見て、栄太が仏のような笑顔でミミを見る。

「栄太~、ありがとにゃ、大好きにゃん」

 ミミは仕返しをしたのではなく、愛情表現だったと思わせるように栄太の胸ですりすりしながら、指で栄太の胸をなぞる。

「今、ボクに攻撃を」

「そんなことするわけないみゃ!誤解だなみゃ!!」

「ミミって嘘つくとき、語尾が「にゃ」から、「みゃ」に変わるよね」

「みゃーーーー、そんなことないみゃーーーー」

 目線を横に向けながら、ミミは棒読みで答える。

 指をポキポキならす、栄太。

「そっ、そもそも、栄太が悪いにゃ。初めからスキルを使ってくれれば、あんな奴ら楽勝だったにゃ!!」

「あっ、やっぱりそう思ってたんだね、ミミ」

「栄太さん?」

 パチンッ

「恋愛対象、リバース」

「はうんっ」

 こちょこちょこちょこちょ・・・っ

「はぁん、えっ、みゃめて、栄太。もう・・・あんっ。栄太のあまのじゃくぅ~~~っ」

 その日、森には猫獣人の甘い喘ぎ声が数時間鳴り響いたという。
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