【完結】ふざけるのもいい加減にしてください。お金に困った婚約者が私を賭け事のチップの担保にしてました。

西東友一

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『婚約しよう、クレア』

 サラサラの黒髪にちょっと太い眉毛に垂れ目な男。
 それがカイジン。
 彼はそのおっとりした顔に相応しい優しい男性で、私も彼の婚約をすぐに受け入れた。

『じゃあ……結婚式の資金が必要なんだけれど、費用を半分出してもらえるかな?』

 もちろん、と私は答えた。でも、式場やウエディングドレスなどは一緒に決めたいとお願いした。

『サプライズが好きなんだ……僕を信じて?』

 彼の熱意に負けて、彼に結婚式の準備をお願いした……

「んんんっ」

 私は最近起こった出来事を夢見ていたようだ。なんだか、頭がクラクラする。

「あれっ」

 私は動こうとするけれど、動けなかった。座ったまま寝ていたと言うのもあって、筋肉が固くなっていると言うのもあるのだけれど、それだけじゃない。私の腕と足が椅子に縛られている。

(えっ、座ったまま寝た記憶だってないわよ? どういう)

「うるせぇなっ!!」

 聞いたことがある声。
 だけど、私の記憶が確かならそんなセリフを言わないし、そんな嫌悪が籠った声だって聞いたことがない。私は腕が縛られていて目を擦ることもできなかったけれど、何度か瞬きをすると、見たことのある背中があった。

「カイジン……?」

「うるせぇって言ってるだろうがっ!! 気が散るんだよっ!!」

 振り返ったカイジンの顔はいつもの優しい顔ではなく、殺気が籠った怖い目をしていた。

「こらこら、レディに対してそんな口の利き方はよくないよ?」

 まさか。
 
 その声も聞いたことはある。
 温厚で理知的な良く通る声。

「ウィン王子……?」

 首を曲げてカイジンの向こう側にいる人を見ようとすると、やっぱりウィン王子だった。清潔感のある身だしなみ。整った金髪に細い眉毛。翡翠色の優しい瞳が私と目が合うと、ニコッとした。

「うわわわっ」

 私は遠くでしか見たことがないウィン王子を真直で見たら見惚れてしまって、首を曲げたまま身体も曲げてしまい、左に倒れそうになる。けれど、私の背後には執事の方がいて倒れる寸前のところで私を支えてくれた。

「あっ、ありがとうございます」

「お気になさらずに」

 執事の方は淡白に答えた。冷たい感じがしたけれど、THE仕事人という感じがした。私がその執事を見ているとその人がお辞儀をした。お辞儀した相手を見ると、ウィン王子が少しだけ怒った顔をしていた。

「アレは俺のツレですから。ウィン王子にだって言われたくはないですねぇ」

 王子を煽る様な言い方をするカイジン。こんな無礼な人だと知らなかったので、ショックだった。

「じゃあ、勝負はここまでだ。キングとクイーンのハウス」

「なっ……」

 ウィン王子は自分が持っていたカードを5枚テーブルの上に投げた。それを見たカイジンが立ち上がって唖然としている。どうやら開いた口は塞がらないようだ。
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