【完結】ふざけるのもいい加減にしてください。お金に困った婚約者が私を賭け事のチップの担保にしてました。

西東友一

文字の大きさ
3 / 14

しおりを挟む
「カイジンッ、カイジンってばっ!!」

 カイジンは頭を掻きむしる。本当はさっきのように怒鳴りたいのだろうけれど、それをウィン王子が許さないのだろう。

 カイジンじゃ駄目だ。じゃあ―――

「ウィン王子っ!! 助けてくださいっ!! 私はっ!!」

 モノなんかじゃない。

「ボクはキミを助ける立場の人間じゃない」

 そんな……

 ウィン王子の声は穏やかだった。

「くっくっくっ」

 それを笑うカイジン。ひどい。

「貴方となんて、婚約しなければ良かったわっ」

「ふっ。今更か」

 カイジンは振り向かずに手を擦り、いいカードが配られるのを楽しみにしていた。

(今は駄目だわ)

 暴れても、体力を消耗するだけ。なら、体力を温存して、一瞬のすきを見て逃げるしかない。
 私はそう思った。
 
 ディーラーがカードを配る。
 すると、カイジンの背中が喜んで反応したのがわかった。

「ふっ。安心しろ。クレア。レイズ」

 そう言って、私を担保にしたチップの山の一部を前に出すカイジン。チップは山のようになるくらいあったけれど、私という人間の価値をお金の代わりであるチップに変換されるのは量が多くても本当に嫌だった。

「……コール」

 王子が配られたカードとカイジンを交互に見ながら、コールを宣言し、カイジンと同じだけチップを前に出す。

「ふっ。オールイン」

 カイジンが全部のチップを前に出す。興奮しているのか、一部のコインが崩れていく。

「ちょっとっ」

 私は思わず口を出してしまう。賭け事、それもポーカーで外野から口出しするのはご法度中のご法度。そんなことは賭け事をしない私でも教養として知っている。だけど、つい先ほどカイジンは負けており、雰囲気的にはその前にもかなり負け越していたような雰囲気だった。なのに、全てを賭けるなんて、私のことをなんだと思っているのだろう。

「ふふふっ、安心しろ」

 ちらっと、ふり返ったカイジンの顔は自信に満ち溢れていた。いつものカイジンではないとはいえ、一応婚約者であるカイジンのその顔がブラフだとは私は思えなかった。

「さあっ、どうしますか? ウィン王子」

「オールインコール」

 ウィン王子はなんのためらいもなく、コールして、同額のコインを出しました。

「なっ……」

 それにはカイジンも驚いた様子でしたが、

「ふっ、知ってますか、ウィン王子。東洋では百里を行く者は九十を半ばとす、って諺があってですね…」

 ウィン王子はカイジンを無視して、ディーラーに進行を進めるようにアイコンタクトする。

「オープンっ」

 ディーラーが言うと、カイジンは話を聞かなかったウィン王子に対して少し怒った表情を見せていましたが、見返してやると言った顔で、

「ジャックのフォーカードだっ。フォーーーッ」

 おさるさんのような声で興奮するカイジンはガッツポーズをする。

「ハートの5のストレート」

 ウィン王子はさらっとそう告げて、カードを自分の無気力に開く。

「じゃあ、この勝負は……俺の勝ちですね」

 そう言って、カイジンがチップを取ろうとすると、またディーラーからストップがかかる。

「はっ!? ルールはルールだろっ。ストレートよりフォーカードの方が……って嘘だろ、おいっ」

 カイジンの目がウィン王子のカードの出した場所に行くと、カイジンは脱力して椅子に落ちるように座った。

「だから、言っているだろ? ハートの5のストレート。つまり、ストレートフラッシュだ」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―

喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。 そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。 二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。 最初は手紙も返ってきていたのに、 いつからか音信不通に。 あんなにうっとうしいほど構ってきた男が―― なぜ突然、私を無視するの? 不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、 突然ルイスが帰還した。 ボロボロの身体。 そして隣には――見知らぬ女。 勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、 私の中で何かが壊れた。 混乱、絶望、そして……再起。 すがりつく女は、みっともないだけ。 私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。 「私を簡単に捨てられるとでも? ――君が望んでも、離さない」 呪いを自ら解き放ち、 彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。 すれ違い、誤解、呪い、執着、 そして狂おしいほどの愛―― 二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。 過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!

香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。 ある日、父親から 「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」 と告げられる。 伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。 その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、 伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。 親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。 ライアンは、冷酷と噂されている。 さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。 決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!? そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?

触れると魔力が暴走する王太子殿下が、なぜか私だけは大丈夫みたいです

ちよこ
恋愛
異性に触れれば、相手の魔力が暴走する。 そんな宿命を背負った王太子シルヴェスターと、 ただひとり、触れても何も起きない天然令嬢リュシア。 誰にも触れられなかった王子の手が、 初めて触れたやさしさに出会ったとき、 ふたりの物語が始まる。 これは、孤独な王子と、おっとり令嬢の、 触れることから始まる恋と癒やしの物語

目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています

月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。 しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。 破滅を回避するために決めたことはただ一つ―― 嫌われないように生きること。 原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、 なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、 気づけば全員から溺愛される状況に……? 世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、 無自覚のまま運命と恋を変えていく、 溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。

煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。

朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」  煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。  普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。  何故なら———、 (罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)  黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。  そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。  3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。  もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。  目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!  甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。 「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」 (疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)

処理中です...