7 / 14
7
しおりを挟む
ポーカーは駆け引き。
ブラフや駆け引きが必要だと伺ったことがあります。
(なので、試してみましたが駄目ですか)
ウィン王子の表情からは情報が一切に入りませんでした。
(まぁ、半分本気でしたが、いいでしょう。さすがにこの手札であれば…勝ちは必至)
私は適当な数、チップを前に出そうとしました。
「あぁ、いいだろう」
私は手元が狂って、積み上げたチップの一部を崩してしまいました。私は慌てて直そうとして、
(あっ、まさかっ)
深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいている。
私はウィン王子にカマをかけて様子を見るつもりでしたが、逆に私のリアクションを見てウィン王子が探っているのではないかと思い、急いでウィン王子の目を見ました。
(なんで、そんな目をされているのですか)
ウィン王子の目は私を怪しむような目ではなく、とても澄んだ綺麗な目で私を慈しむように見ていました。
「すっ……すいません、これでお願いします」
気持ちの整理が付かなかった私は量を減らして、チップを出した。目の前にいるのは王子だ。そんな尊い人物の命、こんなところに賭けていいはずがない。賭けるとするならば、絶対に勝てる手札か、負けても約束を反故するに違いない。でも、約束を反故にするような人には見えないし、絶対勝てる手札と言っても、私の手札はストレートフラッシュ。ふつうにやったらまず1日に数回出るはずのないカードが手元にあるのだ。そう考えたら、紙切れであるトランプの一枚一枚がとても重く感じた。だって、王子の命なんて私の手には余るのだから。
「オールイン」
ウィン王子は私の瞳を見つめながら、微動だにせずノータイムで宣言した。
「「えっ」」
不愉快ではあったけれど、私の手札を知っている私とカイジンは思わず驚いた声を出してしまった。
(どうしよう……)
私が賭けたのは微々たるチップ。フォールドして降りてしまってもいい。
(行けよっ)
カイジンが私を促すような目で見てくる。
(命なんていって、ありゃブラフだ。勝ったら、それなりの額を出してくれるはずだ)
うるさい。
(そん時は、いかさまを黙っている口止め料は少しよこせよな)
卑しい。
そんないやらしい笑みを浮かべる人じゃなかったじゃない。
(あっ……)
私は一つの可能性を全く考えていないことに気が付いた。
「どうされますか?」
カイジンが聞いてくる、というか急かしてくる。
「人生が掛かっているので、少しお時間をいただけますか? ウィン王子」
「もちろん、構いません」
私はひとまず深呼吸をした。
ブラフや駆け引きが必要だと伺ったことがあります。
(なので、試してみましたが駄目ですか)
ウィン王子の表情からは情報が一切に入りませんでした。
(まぁ、半分本気でしたが、いいでしょう。さすがにこの手札であれば…勝ちは必至)
私は適当な数、チップを前に出そうとしました。
「あぁ、いいだろう」
私は手元が狂って、積み上げたチップの一部を崩してしまいました。私は慌てて直そうとして、
(あっ、まさかっ)
深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいている。
私はウィン王子にカマをかけて様子を見るつもりでしたが、逆に私のリアクションを見てウィン王子が探っているのではないかと思い、急いでウィン王子の目を見ました。
(なんで、そんな目をされているのですか)
ウィン王子の目は私を怪しむような目ではなく、とても澄んだ綺麗な目で私を慈しむように見ていました。
「すっ……すいません、これでお願いします」
気持ちの整理が付かなかった私は量を減らして、チップを出した。目の前にいるのは王子だ。そんな尊い人物の命、こんなところに賭けていいはずがない。賭けるとするならば、絶対に勝てる手札か、負けても約束を反故するに違いない。でも、約束を反故にするような人には見えないし、絶対勝てる手札と言っても、私の手札はストレートフラッシュ。ふつうにやったらまず1日に数回出るはずのないカードが手元にあるのだ。そう考えたら、紙切れであるトランプの一枚一枚がとても重く感じた。だって、王子の命なんて私の手には余るのだから。
「オールイン」
ウィン王子は私の瞳を見つめながら、微動だにせずノータイムで宣言した。
「「えっ」」
不愉快ではあったけれど、私の手札を知っている私とカイジンは思わず驚いた声を出してしまった。
(どうしよう……)
私が賭けたのは微々たるチップ。フォールドして降りてしまってもいい。
(行けよっ)
カイジンが私を促すような目で見てくる。
(命なんていって、ありゃブラフだ。勝ったら、それなりの額を出してくれるはずだ)
うるさい。
(そん時は、いかさまを黙っている口止め料は少しよこせよな)
卑しい。
そんないやらしい笑みを浮かべる人じゃなかったじゃない。
(あっ……)
私は一つの可能性を全く考えていないことに気が付いた。
「どうされますか?」
カイジンが聞いてくる、というか急かしてくる。
「人生が掛かっているので、少しお時間をいただけますか? ウィン王子」
「もちろん、構いません」
私はひとまず深呼吸をした。
1
あなたにおすすめの小説
婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました
春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。
名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。
姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。
――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。
相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。
40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。
(……なぜ私が?)
けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された令嬢リオナは、家の体面を守るため、幼なじみであり王国騎士でもあるカイルと「白い結婚」をすることになった。
お互い干渉しない、心も体も自由な結婚生活――そのはずだった。
……少なくとも、リオナはそう信じていた。
ところが結婚後、カイルの様子がおかしい。
距離を取るどころか、妙に優しくて、時に甘くて、そしてなぜか他の男性が近づくと怒る。
「お前は俺の妻だ。離れようなんて、思うなよ」
どうしてそんな顔をするのか、どうしてそんなに真剣に見つめてくるのか。
“白い結婚”のはずなのに、リオナの胸は日に日にざわついていく。
すれ違い、誤解、嫉妬。
そして社交界で起きた陰謀事件をきっかけに、カイルはとうとう本心を隠せなくなる。
「……ずっと好きだった。諦めるつもりなんてない」
そんなはずじゃなかったのに。
曖昧にしていたのは、むしろリオナのほうだった。
白い結婚から始まる、幼なじみ騎士の不器用で激しい独占欲。
鈍感な令嬢リオナが少しずつ自分の気持ちに気づいていく、溺愛逆転ラブストーリー。
「ゆっくりでいい。お前の歩幅に合わせる」
「……はい。私も、カイルと歩きたいです」
二人は“白い結婚”の先に、本当の夫婦を選んでいく――。
-
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる