限りなく狂愛に近い恋 ヤンデレ短編

しみずりつ

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モニターの向こう側 会社員ヤンデレ×あの子

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彼女、宮原みやはら 亜紀あきさんとは仕事で出会った。
彼女の勤めている会社が、新しくアプリを使用した広告宣伝のプロジェクトを始めるということで、そのアドバイザーとして俺が就くことになった。

彼女はデザイナーで、俺はプログラマーだからお互いにいわゆる「縁の下の力持ち」の仕事をしている。
なので花形の営業からこちらの都合を無視した無茶な依頼もあり、二人で「大変ですね」と共通していることを話しているうちに打ち解けた。
 
そして、会っているうちに彼女の仕事へのひたむきさや、俺のプログラマーとしての仕事を理解してくれるその優しさに惹かれていった。

会うたびにその感情は募っていき、俺は彼女のことがもっと知りたくなった。
渡された名刺には無い、もっと彼女の本質を知れる情報が欲しい。
どんなことをしても欲しかった俺は彼女のデータにハッキングすることにした。
彼女の会社から彼女の携帯電話の番号やメールアドレス、生年月日や今住んでいるアパートの住所まで知ることができた。

でも、まだ足りない。

もっとプライベートな部分も知りたかった。
個人でブログやホームページを作っていないか、SNSをやっていないかしらみ潰しに調べたがどれもやっていないようだ。今この時代にSNSをやっていないのも珍しい。
まぁ、ある意味賢いと言えば賢い。
個人情報の特定はSNSからでもできる。
本人にそのつもりがなくても、あげられている写真や文章の内容で特定されることは意外と多い。

浮わついた写真や稚拙な文章をあげて承認欲求を満たしたり、他者にマウントを取る人間でなく賢い女性であることに好感を持つが、何一つそれらから情報を得られないことに苛立ちを覚えた。

「次に会ったときに確認するか…」

無機質なモニターの向こうには彼女の生きた情報がある。
それを得られるのは俺だけ。
特権が与えられた気がして、全身が歓喜に震えた。

        *

「宮原さんはSNSはやってないんですか?」

彼女の会社で打ち合わせの準備をしている間、二人だけになったときに話しかけた。

あれだけ調べても出てこなかったところを見ると、彼女はそういうものをやってないようだが、念のため確認する。

「そういうのはやったことないですねぇ。あんまり好きじゃなくて…」

やはりやらない主義のようだ。
しかも好きではないというから今後もやる可能性は低いだろう。

「どうしてですか?」

なぜやらないのか気になった。
何かしらトラブルでもあったのだろうか。
尋ねれば、彼女は苦笑して答える。

「やればきっと便利なんでしょうけど、知らなくても良い情報が入ってくるのが疲れそうで…自分の知りたい情報は自分で探して見つけたいなと思ってるので、ちょっとSNSには手が出ませんね」

なるほど、そういうことか。
喉の奥でくつりと笑ったあと、フォローに入る。

「それは言えてますね。今の世の中は色々な情報が手に入るから、その分精査には疲れるかもしれませんね」

この業界にいて、SNSをやらないのは何かしら言われそうだと思ったのだろう。
なので俺がもっともらしいことを言えば、彼女はほっとしたような表情をする。
しかし、そのあと困ったように俺を見た。

「でも、プログラマーの方にこんなこと言うなんて失礼ですよね、すみません」

彼女らしい気遣いに「いえいえ」と返す。

新たに増えた彼女の情報。
そして俺との共通点。

感情が高まって思わず本音が出た。

「俺も欲しい情報は自分で探して見つけますよ」

「そうなんですか、でもその方がなんだか楽しいですよね。探している時間も楽しいなって思います」

彼女の言葉を肯定すれば、にこやかに彼女は笑う。

「ええ、とても楽しいです」


俺もにこりと笑い返した。
 
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