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まじか……
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行っちゃったぁ……しっぽ、触りたかったなぁ……また会えたら頼んでみよう
……泥棒、いるんだ。
手すりにつかまり、下を覗いてみる。
そういえば、エスターはどうしたんだろう?
さっき迄彼が居た辺りを見てみるが、エスターは移動したのか姿は見えない。
まだたくさんの人が居るから、見えないだけかなぁ……
ドロシーさん達の姿も分からない……
祭りの会場は広い。キャロンさんにも動いちゃダメだと言われたし、この場で待っていよう。
テーブルの上には、まだ半分残っているグリューワインがあった。
……私は酔っているのだろうか?
いや、前回よりも意識も言葉もハッキリしている。
ちょっと楽しい気持ちがするだけだ。
キャロンさんは酔っていると言っていたけど……
ううん、酔っていない。だってジュースだもの!
せっかくキャロンさんが奢ってくれたんだから、全部飲もう。
コクコクと残りを飲み干した。
二階のベランダ席に座っているのは、私とさっきからいる一組の男女だけ。
通りにはたくさんの人が楽しそうに歩いている。
いいなぁ……みんな楽しそう……
私はこんな賑やかな場所で一人ぼっち……
ま、はぐれちゃったから、しょうがない
ーーーーーー*
「お客様、お代わりはいかがですか?」
お店の人はキャロンさんの空のカップを下げながら、通りを眺めていた私に聞いてきた。
「あ、お代わりはもういい……あれ?」
「まじか……シャーロットちゃん、久しぶりだね」
耳元でキラリと光る三日月の耳飾り。
城で出会った、カイン様だった。
「カイン様、何してるの?」
「ん? 今夜はここで仕事してるんだよ」
よく見ると、彼はお店の名前が入った茶色いエプロンを着けていた。
カイン様は私が飲み干した空のカップを見た。
「あー、これ飲んだのか……さっき女性騎士と一緒に入って来たよね? 彼女はどこに行ったのかな? 他には誰かいないの? エスターくんはどうした、君一人じゃないだろう?」
そう言ってカイン様は通りに目をやった。
「あ、そこにエスターくん居るじゃないか……お?」
カイン様の視線の先を見ると、銀色の髪が見えた。
黒い隊服を着たエスターの側には、赤い髪の美人がいる。二人は何やら話をしていたが、女性がエスターに腕を絡ませると、そのまま歩いて行ってしまった。
「エスター……浮気してる」
「いや! 彼は仕事してるだけだよ、人探しなんじゃないかな?」
「そうなのかなぁ」
……なんだろう……人探しって腕を組むの?
「私とは腕を組んでお出掛けしてくれないのに……」
「シャーロットちゃん⁈ 」
「大人の女性とは歩いて行っちゃうんだ」
「あれは、仕事だって。その証拠に隊服着てるじゃないか」
「でもっ! お祭りに行くなんて言ってなかったものっ!」
ぷうっと頬を膨らますシャーロット。
それを見てカインはボソリと呟いた。
「はぁ、相手が竜獣人じゃなかったらな……」
シャーロットは、カインにぐっとカップを突きつけた。
「カイン様、お代わり持ってきて!」
「え、いやダメだよ君は、これでも酔っ払うだろう⁈ 」( すでに少し酔ってるし……)
「だいじょうぶっ! どうせジュースなんだもんっ!」
ーーーーーー*
十分後、ようやくシャーロットのもとに、ダンとクレアと合流したドロシー達がやって来た。
「まず、私に説明をさせてほしい」
テーブルに突っ伏して、寝てしまっているシャーロットの横に座るカインは、冷たく見下ろしてくる五人に向け言った。
店に女性騎士と彼女が入って来た。その時はチラリと見ただけで気が付かなかったが、空のカップを下げにきたところ、知り合いのシャーロット様だと分かった。
自分がここに来た時には、女性騎士は居なくなっていて、彼女は一人だった。
私は、彼女がエスター様と結婚した事は知っていた、だから彼はどこにいるのかと聞きながら、通りを見下ろした。
そこにちょうどエスター様が見えた。
仕事だと思うが、彼は女性と歩いて行ってしまった。
それを見たシャーロット様が、自分はどこにも連れて行ってもらえないのにと言い出して、拗ねてしまった。
その後、グリューワインを注文し、半分ほど飲んだ。
「シャーロット様は『エスターの浮気者』とさんざん言って寝てしまいました。じゃあ、私は仕事に戻ります」
話を終え、立ち去ろうとするカインを、ダンが止めた。
「知り合いって⁈ シャーロット様とどこで知り合ったんだ」
ダン達から怪訝な顔を向けられたが、カインは素知らぬ顔をした。
「ディーバン男爵の屋敷で。何度か配達に行ったことがあるんだよ、私はいろんな仕事をしているからね」
今度こそ行こうとすると
「女性騎士ってどんなヤツだった?」
はぁ、しつこいなぁコイツ、と思ったが顔には出さないように仕事上の笑顔でカインは答えた。
「獣人だったよ、黒髪の美人だった、耳の形から猫獣人だね」
「今夜の警護は第三騎士団、黒髪の猫獣人……キャロンか……」
「もういいかな? 仕事に戻らないと、今夜は忙しいんだよ」
「あ、ああ済まなかった」
「すみませんでした。ご迷惑をおかけしました」
ドロシー達からお礼を言われ、笑顔を向けたカインは、そのまま仕事に戻ることなく消えた。エスターには一度姿を見られている(彼は覚えているはずだ、あの時目が合ったから)。
必ずここに彼女を迎えに来るだろう、以前シャーロットを攫ったんだ、会えば捕まえられるかもしれない。
ーーーーーー*
ダンは不思議そうな顔をして、寝ているシャーロットの様子を見ていた。
「なぁ、グリューワインで酔うのか?……今夜の物はジュースだろう?」
ドロシーに尋ねた。
「そういえば聞いた様な気がするわ、確かシャーロット様、ぶどうジュースで酔うのよ」
「……マジ?」
確かそうだ、エスター様が「僕がいない時は絶対飲ませないで」と言っていたんだったわ……。
寝ているシャーロットの頬に手を当てると、彼女はフッと口角を上げた。具合が悪い訳ではない様だとホッとする。
「はぁ……どうやって連れて帰ろうかしら」
「あー、俺が背負って帰るしかないか……」
ぽりぽりと頭を掻きながらダンが言う。
「ドロシーさんと私で抱えて帰る方がいいんじゃない?」
「もう少し待って見ましょう、シャーロット様が起きるかも知れないわ」
「そうだなぁ……」
困った様に話す大人達に、ドロシーの息子達が言った。
「さっき、エスター様来てたじゃん」
「エスター様を連れて来ようよ、その辺にいるんじゃないの?」
ドロシーの息子達はベランダから、通りを見下ろした。
「あっ、いた‼︎ 女の人と一緒にいる」
「仲良さそうに腕組んでる」
「腕を組んでる?」
「何ですって!」
息子達の言葉に、ドロシー達も慌てて見ると、確かに赤い髪の女性と腕を組んでいる。
「ほーらねぇ……私なんかより、美人の女性がいーのよ……私とは……出掛けてくれないのに……」
いつの間にかドロシーの横に並び、エスターを見下ろしていたシャーロットは低い声で言った。
「シャーロット様……」
目が座っている……
本当に酔っているみたい……ジュースで……
「もういい……」
「あっ、待ってください、シャーロット様‼︎ 」
拗ねた顔をして、階段を下りようとするシャーロットに、ドロシーは慌てて声をかけた。
……泥棒、いるんだ。
手すりにつかまり、下を覗いてみる。
そういえば、エスターはどうしたんだろう?
さっき迄彼が居た辺りを見てみるが、エスターは移動したのか姿は見えない。
まだたくさんの人が居るから、見えないだけかなぁ……
ドロシーさん達の姿も分からない……
祭りの会場は広い。キャロンさんにも動いちゃダメだと言われたし、この場で待っていよう。
テーブルの上には、まだ半分残っているグリューワインがあった。
……私は酔っているのだろうか?
いや、前回よりも意識も言葉もハッキリしている。
ちょっと楽しい気持ちがするだけだ。
キャロンさんは酔っていると言っていたけど……
ううん、酔っていない。だってジュースだもの!
せっかくキャロンさんが奢ってくれたんだから、全部飲もう。
コクコクと残りを飲み干した。
二階のベランダ席に座っているのは、私とさっきからいる一組の男女だけ。
通りにはたくさんの人が楽しそうに歩いている。
いいなぁ……みんな楽しそう……
私はこんな賑やかな場所で一人ぼっち……
ま、はぐれちゃったから、しょうがない
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「お客様、お代わりはいかがですか?」
お店の人はキャロンさんの空のカップを下げながら、通りを眺めていた私に聞いてきた。
「あ、お代わりはもういい……あれ?」
「まじか……シャーロットちゃん、久しぶりだね」
耳元でキラリと光る三日月の耳飾り。
城で出会った、カイン様だった。
「カイン様、何してるの?」
「ん? 今夜はここで仕事してるんだよ」
よく見ると、彼はお店の名前が入った茶色いエプロンを着けていた。
カイン様は私が飲み干した空のカップを見た。
「あー、これ飲んだのか……さっき女性騎士と一緒に入って来たよね? 彼女はどこに行ったのかな? 他には誰かいないの? エスターくんはどうした、君一人じゃないだろう?」
そう言ってカイン様は通りに目をやった。
「あ、そこにエスターくん居るじゃないか……お?」
カイン様の視線の先を見ると、銀色の髪が見えた。
黒い隊服を着たエスターの側には、赤い髪の美人がいる。二人は何やら話をしていたが、女性がエスターに腕を絡ませると、そのまま歩いて行ってしまった。
「エスター……浮気してる」
「いや! 彼は仕事してるだけだよ、人探しなんじゃないかな?」
「そうなのかなぁ」
……なんだろう……人探しって腕を組むの?
「私とは腕を組んでお出掛けしてくれないのに……」
「シャーロットちゃん⁈ 」
「大人の女性とは歩いて行っちゃうんだ」
「あれは、仕事だって。その証拠に隊服着てるじゃないか」
「でもっ! お祭りに行くなんて言ってなかったものっ!」
ぷうっと頬を膨らますシャーロット。
それを見てカインはボソリと呟いた。
「はぁ、相手が竜獣人じゃなかったらな……」
シャーロットは、カインにぐっとカップを突きつけた。
「カイン様、お代わり持ってきて!」
「え、いやダメだよ君は、これでも酔っ払うだろう⁈ 」( すでに少し酔ってるし……)
「だいじょうぶっ! どうせジュースなんだもんっ!」
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十分後、ようやくシャーロットのもとに、ダンとクレアと合流したドロシー達がやって来た。
「まず、私に説明をさせてほしい」
テーブルに突っ伏して、寝てしまっているシャーロットの横に座るカインは、冷たく見下ろしてくる五人に向け言った。
店に女性騎士と彼女が入って来た。その時はチラリと見ただけで気が付かなかったが、空のカップを下げにきたところ、知り合いのシャーロット様だと分かった。
自分がここに来た時には、女性騎士は居なくなっていて、彼女は一人だった。
私は、彼女がエスター様と結婚した事は知っていた、だから彼はどこにいるのかと聞きながら、通りを見下ろした。
そこにちょうどエスター様が見えた。
仕事だと思うが、彼は女性と歩いて行ってしまった。
それを見たシャーロット様が、自分はどこにも連れて行ってもらえないのにと言い出して、拗ねてしまった。
その後、グリューワインを注文し、半分ほど飲んだ。
「シャーロット様は『エスターの浮気者』とさんざん言って寝てしまいました。じゃあ、私は仕事に戻ります」
話を終え、立ち去ろうとするカインを、ダンが止めた。
「知り合いって⁈ シャーロット様とどこで知り合ったんだ」
ダン達から怪訝な顔を向けられたが、カインは素知らぬ顔をした。
「ディーバン男爵の屋敷で。何度か配達に行ったことがあるんだよ、私はいろんな仕事をしているからね」
今度こそ行こうとすると
「女性騎士ってどんなヤツだった?」
はぁ、しつこいなぁコイツ、と思ったが顔には出さないように仕事上の笑顔でカインは答えた。
「獣人だったよ、黒髪の美人だった、耳の形から猫獣人だね」
「今夜の警護は第三騎士団、黒髪の猫獣人……キャロンか……」
「もういいかな? 仕事に戻らないと、今夜は忙しいんだよ」
「あ、ああ済まなかった」
「すみませんでした。ご迷惑をおかけしました」
ドロシー達からお礼を言われ、笑顔を向けたカインは、そのまま仕事に戻ることなく消えた。エスターには一度姿を見られている(彼は覚えているはずだ、あの時目が合ったから)。
必ずここに彼女を迎えに来るだろう、以前シャーロットを攫ったんだ、会えば捕まえられるかもしれない。
ーーーーーー*
ダンは不思議そうな顔をして、寝ているシャーロットの様子を見ていた。
「なぁ、グリューワインで酔うのか?……今夜の物はジュースだろう?」
ドロシーに尋ねた。
「そういえば聞いた様な気がするわ、確かシャーロット様、ぶどうジュースで酔うのよ」
「……マジ?」
確かそうだ、エスター様が「僕がいない時は絶対飲ませないで」と言っていたんだったわ……。
寝ているシャーロットの頬に手を当てると、彼女はフッと口角を上げた。具合が悪い訳ではない様だとホッとする。
「はぁ……どうやって連れて帰ろうかしら」
「あー、俺が背負って帰るしかないか……」
ぽりぽりと頭を掻きながらダンが言う。
「ドロシーさんと私で抱えて帰る方がいいんじゃない?」
「もう少し待って見ましょう、シャーロット様が起きるかも知れないわ」
「そうだなぁ……」
困った様に話す大人達に、ドロシーの息子達が言った。
「さっき、エスター様来てたじゃん」
「エスター様を連れて来ようよ、その辺にいるんじゃないの?」
ドロシーの息子達はベランダから、通りを見下ろした。
「あっ、いた‼︎ 女の人と一緒にいる」
「仲良さそうに腕組んでる」
「腕を組んでる?」
「何ですって!」
息子達の言葉に、ドロシー達も慌てて見ると、確かに赤い髪の女性と腕を組んでいる。
「ほーらねぇ……私なんかより、美人の女性がいーのよ……私とは……出掛けてくれないのに……」
いつの間にかドロシーの横に並び、エスターを見下ろしていたシャーロットは低い声で言った。
「シャーロット様……」
目が座っている……
本当に酔っているみたい……ジュースで……
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「あっ、待ってください、シャーロット様‼︎ 」
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