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1章 幼少期
11話 マジですか
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━━━書斎━━━
カイトは言われた言葉の意味が分からなかった。
「魔力槽…とは何ですか?」
「分かるように説明すると、魔法使いや魔導師、魔導具などに魔力を供給するためにいる人間のことだ」
(え?俺電池扱い?)
「そして、この国では魔力槽には人権は無い。奴隷以下の道具として扱われることになっている」
その言葉に衝撃を受けるカイト。
「……ま、魔力槽の基準は?」
なんとか言葉をひねり出したカイト。
「生まれた時に魔力が多すぎ、魔力暴走を起こした者だ。そうした者は魔力を抑える枷をはめられ、3歳の神託を受ける日まで普通に育てられる」
(だとしたら、俺は生まれた時から…)
カイトを絶望が襲う。
「カイト、お前は前例に無いほどの魔力暴走を起こしたにもかかわらずそれを自分で収めた。だからお前には枷をはめることはしなかった。まあ、一部を除いたメイドや使用人達には何度も責められたが」
(そうか…あの目は……)
「ここまで話せば察しはつくだろう。カイトを教会に行かせたのは適性属性を調べて、価値を調べるためだ」
「お前は適性属性も無く魔力量も多い。価値は上から2番目といったところだ」
「さあ、どうする?」
「…俺は魔力槽〈マナタンク〉になります」
「っ!?何故だ?」
迷い無く答えたカイトについつい言葉に力がこもるフェクダ。
「そうするのが最善だと思うので」
(父様や母様のためにも…)
「…そうか。ならせめてもの情けだ。何か叶えて欲しいことはあるか?」
「では2つほど」
「……言ってみろ」
「1つ目、俺をここの専属にしてほしい」
「分かった。そういう方向で進めておこう」
「2つ目、決して逃げないという約束の元、平民としての戸籍が欲しい」
その言葉に驚きながらも口角の上がるフェクダ。
「ほう、そんなものを得てどうする?」
「はい。世界を見て回りたいのです」
「なるほど、世界をか……だが、行き来する手段はどうする?」
「はい。今試行錯誤しているスキルが完成すればなんとか…」
「くくっ……くははははは。面白い、スキルが完成次第用意させよう」
「ありがとうございます」
「では後ほどもう1度呼ぶ。それまで自室で待機していろ」
「分かりました」
そう言うとカイトは書斎を出て行った。
「まったく……あんな事を考えていたとは、誰に似たのやら」
「……こっちを見ないでくださる?心外ですわ!」
「やれやれ、説得はもっと難航するかと思っていたのだがな…」
「ええ。それにあの子…私達の本心に気づいていたみたいですわ」
そう言うと2人は握りしめすぎて血の滲んでいた手を開くとハンカチで血を拭き取った。
「はあ……うちの子達は将来が恐ろしいよ…」
「ふふっ。“楽しみ”の間違いでしょ?」
カイトの退室していった後にはそんなやり取りが繰り広げられていたのだった。
━━━廊下━━━
そんなこととはつゆ知らず、カイトは先ほど告げられたことを思い出していた。
「衝撃的な内容だったなー。でも父様と母様のあんな顔を見ちゃったら……まあ、時期が早まって制限が増えたとでも思っておこう」
カイトはそうポツリと言うと自室に向けて歩き始めた。
カイトは言われた言葉の意味が分からなかった。
「魔力槽…とは何ですか?」
「分かるように説明すると、魔法使いや魔導師、魔導具などに魔力を供給するためにいる人間のことだ」
(え?俺電池扱い?)
「そして、この国では魔力槽には人権は無い。奴隷以下の道具として扱われることになっている」
その言葉に衝撃を受けるカイト。
「……ま、魔力槽の基準は?」
なんとか言葉をひねり出したカイト。
「生まれた時に魔力が多すぎ、魔力暴走を起こした者だ。そうした者は魔力を抑える枷をはめられ、3歳の神託を受ける日まで普通に育てられる」
(だとしたら、俺は生まれた時から…)
カイトを絶望が襲う。
「カイト、お前は前例に無いほどの魔力暴走を起こしたにもかかわらずそれを自分で収めた。だからお前には枷をはめることはしなかった。まあ、一部を除いたメイドや使用人達には何度も責められたが」
(そうか…あの目は……)
「ここまで話せば察しはつくだろう。カイトを教会に行かせたのは適性属性を調べて、価値を調べるためだ」
「お前は適性属性も無く魔力量も多い。価値は上から2番目といったところだ」
「さあ、どうする?」
「…俺は魔力槽〈マナタンク〉になります」
「っ!?何故だ?」
迷い無く答えたカイトについつい言葉に力がこもるフェクダ。
「そうするのが最善だと思うので」
(父様や母様のためにも…)
「…そうか。ならせめてもの情けだ。何か叶えて欲しいことはあるか?」
「では2つほど」
「……言ってみろ」
「1つ目、俺をここの専属にしてほしい」
「分かった。そういう方向で進めておこう」
「2つ目、決して逃げないという約束の元、平民としての戸籍が欲しい」
その言葉に驚きながらも口角の上がるフェクダ。
「ほう、そんなものを得てどうする?」
「はい。世界を見て回りたいのです」
「なるほど、世界をか……だが、行き来する手段はどうする?」
「はい。今試行錯誤しているスキルが完成すればなんとか…」
「くくっ……くははははは。面白い、スキルが完成次第用意させよう」
「ありがとうございます」
「では後ほどもう1度呼ぶ。それまで自室で待機していろ」
「分かりました」
そう言うとカイトは書斎を出て行った。
「まったく……あんな事を考えていたとは、誰に似たのやら」
「……こっちを見ないでくださる?心外ですわ!」
「やれやれ、説得はもっと難航するかと思っていたのだがな…」
「ええ。それにあの子…私達の本心に気づいていたみたいですわ」
そう言うと2人は握りしめすぎて血の滲んでいた手を開くとハンカチで血を拭き取った。
「はあ……うちの子達は将来が恐ろしいよ…」
「ふふっ。“楽しみ”の間違いでしょ?」
カイトの退室していった後にはそんなやり取りが繰り広げられていたのだった。
━━━廊下━━━
そんなこととはつゆ知らず、カイトは先ほど告げられたことを思い出していた。
「衝撃的な内容だったなー。でも父様と母様のあんな顔を見ちゃったら……まあ、時期が早まって制限が増えたとでも思っておこう」
カイトはそうポツリと言うと自室に向けて歩き始めた。
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