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Sideドルツ2
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刃が折れた。
メタルリザードの鱗に耐えきれなかったのだ。使えなくなった剣を投げ捨て、残る一本を両手で構えた。
「ドルツ!? 逃げて! 一本じゃ無理よ!」
「こいつを通したら戦線が崩壊する! ごちゃごちゃ言ってねぇで魔法の準備しろ!」
怒鳴るドルツの顔が見る間に歪む。
双剣を使ってギリギリだったのだ。半減した手数で抑えきれるはずがなかった。
——やられる。
ドルツが覚悟すると同時、戦場に場違いな声が響いた。
「かみなりっ!」
幼さの混じる少女の声。だが、それに応じるかのように青白い光が戦場を駆け抜けた。
バヅンッ!!!!
強力な雷撃がメタルリザードの鱗を溶かし、内臓を焼いた。
しゅうしゅうと煙を上げ、口や目から血を滴らせたメタルリザード。完全に死体になっていたそれを前にドルツが呆けた。
——何が起こった!?
慌てて周囲を伺ったドルツが見つけたのは、前日に食事をともにした少女達だった。
メイド姿のノノに縋りつくようなマリィ。
服にしわができるほど握りしめ、震える姿は無力な少女にしか見えない。
魔物さえいなければ、観光や度胸試しの一環で高いところに来て怖気づいただけに見えるだろう。
だが、その震えは魔物に対するものではなく、武器を片手に野太い声をあげる冒険者たちに対するものであるなどと知るものはいない。
「の、ノノ……助けて……視線が……!」
「大丈夫です。みな、お嬢様の可憐で勇猛な姿に見惚れているのです。さぁ、次の魔法を」
「うん……エリアヒール!」
ノノに縋りついた少女が叫ぶと同時、魔力が津波のように溢れた。
眩く、しかし暖かな光が戦場に立つ者たちの体に降り注ぐ。
「け、けがが……!」
「奇蹟だ!」
「まさか、回復魔法……?」
「誰が!?」
「城壁の上だ!」
「あんな女の子が……」
「……かわいい」
「御使い様……?」
「女神」
「聖女だ」
「聖女様」
「聖女様万歳っ!」
波紋のように広がったざわめきがマリィ——マリアベルを聖女と認めるまで時間は掛からなかった。
メタルリザードを一撃で屠り、戦場のすべての人を一瞬で癒す。
奇跡と見紛う所業に冒険者たちが浮足立つ。
「おいっ! 魔物を倒すぞ!」
「今ならけがし放題だ!」
「稼ぎ時だァ!」
わかりやすく俗物的なものもいれば。
「行くぞ、勝機は我らにあり!」
「ビビるな! 聖女様がついてくれてるッ!」
「神の御加護を! 突撃ィ!」
マリアベルを聖女だと確信し、信仰に近いもの抱いた者もいた。
「女神様にいいところ見せるぞ!」
「うひょー! いま目が合ったぜ!」
「ばか、聖女様が見てるのは俺だ!」
さらには可憐な少女の出現に、戦場とは思えないほどに頬を緩める者までもがいた。祭りのような、浮足立った空気が場を支配する。
劣勢だった戦線が一気に盛り返し、魔物を押し込んでいく。
勢いはあるだろうが、このまま行けば、
——誰かが指揮を取らないと瓦解するぞ?!
誰かが深く切り込めば、簡単に孤立してしまうだろう。
ドルツが危機感を覚えたところで、魔物の群れから大声が上がった。
メタルリザードの鱗に耐えきれなかったのだ。使えなくなった剣を投げ捨て、残る一本を両手で構えた。
「ドルツ!? 逃げて! 一本じゃ無理よ!」
「こいつを通したら戦線が崩壊する! ごちゃごちゃ言ってねぇで魔法の準備しろ!」
怒鳴るドルツの顔が見る間に歪む。
双剣を使ってギリギリだったのだ。半減した手数で抑えきれるはずがなかった。
——やられる。
ドルツが覚悟すると同時、戦場に場違いな声が響いた。
「かみなりっ!」
幼さの混じる少女の声。だが、それに応じるかのように青白い光が戦場を駆け抜けた。
バヅンッ!!!!
強力な雷撃がメタルリザードの鱗を溶かし、内臓を焼いた。
しゅうしゅうと煙を上げ、口や目から血を滴らせたメタルリザード。完全に死体になっていたそれを前にドルツが呆けた。
——何が起こった!?
慌てて周囲を伺ったドルツが見つけたのは、前日に食事をともにした少女達だった。
メイド姿のノノに縋りつくようなマリィ。
服にしわができるほど握りしめ、震える姿は無力な少女にしか見えない。
魔物さえいなければ、観光や度胸試しの一環で高いところに来て怖気づいただけに見えるだろう。
だが、その震えは魔物に対するものではなく、武器を片手に野太い声をあげる冒険者たちに対するものであるなどと知るものはいない。
「の、ノノ……助けて……視線が……!」
「大丈夫です。みな、お嬢様の可憐で勇猛な姿に見惚れているのです。さぁ、次の魔法を」
「うん……エリアヒール!」
ノノに縋りついた少女が叫ぶと同時、魔力が津波のように溢れた。
眩く、しかし暖かな光が戦場に立つ者たちの体に降り注ぐ。
「け、けがが……!」
「奇蹟だ!」
「まさか、回復魔法……?」
「誰が!?」
「城壁の上だ!」
「あんな女の子が……」
「……かわいい」
「御使い様……?」
「女神」
「聖女だ」
「聖女様」
「聖女様万歳っ!」
波紋のように広がったざわめきがマリィ——マリアベルを聖女と認めるまで時間は掛からなかった。
メタルリザードを一撃で屠り、戦場のすべての人を一瞬で癒す。
奇跡と見紛う所業に冒険者たちが浮足立つ。
「おいっ! 魔物を倒すぞ!」
「今ならけがし放題だ!」
「稼ぎ時だァ!」
わかりやすく俗物的なものもいれば。
「行くぞ、勝機は我らにあり!」
「ビビるな! 聖女様がついてくれてるッ!」
「神の御加護を! 突撃ィ!」
マリアベルを聖女だと確信し、信仰に近いもの抱いた者もいた。
「女神様にいいところ見せるぞ!」
「うひょー! いま目が合ったぜ!」
「ばか、聖女様が見てるのは俺だ!」
さらには可憐な少女の出現に、戦場とは思えないほどに頬を緩める者までもがいた。祭りのような、浮足立った空気が場を支配する。
劣勢だった戦線が一気に盛り返し、魔物を押し込んでいく。
勢いはあるだろうが、このまま行けば、
——誰かが指揮を取らないと瓦解するぞ?!
誰かが深く切り込めば、簡単に孤立してしまうだろう。
ドルツが危機感を覚えたところで、魔物の群れから大声が上がった。
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