エンゼルローズ

RASHE

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第1話 始まりの事件

始まりの事件 07

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「はあ…」

「とりあえず、今日はお疲れさま…レポートの提出をよろしく~…」


ラクナは両腕を上げて身体を伸ばすと机の上に物を散乱させたまま、三人に対して軽い挨拶を済ませてゆっくり歩きながら部屋を後にした

その姿が消えるまで一部始終の動作を目で追っていた三人は、やがてお互いの顔を向き合わせて同時にため息をつく


「なーんでうちの司令ってあんな感じなんだろうな~…」


ラクナが潜った扉に視線を向けたゼオンがそういうと、シェリエールとアーシェリはそれぞれ呆れたような身振りでジェスチャーをとる

「幽霊みたいにフワフワしてるというか…」

「本当に生きてんのか?アレ…」



ここに来て最初に手渡されたレポート用紙を顔の近くで遊ばせながらゼオンは退室し、アーシェリとシェリエールもその後に続いて部屋を出て下の階へと向かうべくエレベーターを目指して歩く

CIC本社ビルのエレベーター全部で10もあり、全て外付けの構造になっていて、三人がエレベーターに乗るとガラス越しに外の風景が一面に広がっていた

5階から見える光景は様々な高層ビルに奥の景色が遮られてとても眺めが良いとはいえないが、ゼオンは数多くの人が集まって賑わっているこの街並みを少し上の目線で光り輝く都市独特の光に当てられながら眺めるのも悪くないと思い、人と物が常に動く賑やかな街から活気と元気を感じていた

ただやたら不快なサイレンが鳴り響く一点を除いては

そのまま一階へ下り、ホールの玄関口に向かって歩いていると、先ほどから鳴り続けているサイレンが気になっているのか、すぐ後ろで歩いているシェリエールが口を開く


「なあ、コレはなんだ?」


少し言葉足らずにシェリエールがゼオンとアーシェリにそう尋ねた


「コレ?」


コレとはサイレンのことを言っているのだろうが、ゼオンは首を傾げてなんのことかわかっていないようで、その傍でアーシェリが答える


「どうせそこらで変なバカがなんかショボいことでもやらかしたんだろ?」

「そのくせに音がおおきかったような…」

「そうか?じゃあキルバレンに頼んで近くまで行ってみるか?」

「…そうだな」


「…?」


結局コレの意味が理解できていなかったゼオンは二人の会話内容が理解できず、やや首を傾げては深く考えることはやめて、真っ直ぐ玄関口を通って建物の外に出る

そこから暫く歩いて、キルバレンの待つ駐車場で目的の車を探していると、先に車の中から三人を見つけたキルバレンが居場所を知らせる為に車のエンジンをかける

けたたましいエンジン音に反応した三人は目的の車を見つけて歩み寄り、それぞれ助手席と後部座席へと乗車する


「シートベルトに気をつけろよ」

「まだ言うか…」


シェリエールが助手席に座るゼオンに注意する隣でアーシェリが後部座席から間を掻き分けるように運転席へと上半身だけ身を乗り出す


「キルバレン、さっきまでサイレンが鳴ってたところ、ちょっと覗いてみねーか?」


その目線はすでに事件現場の方へと向いており、アーシェリの胸中は興味本位と事件が発生したことへの憤りが半分半分に渦巻いていた


「?構いませんが、姉さんもいいですか?」


アーシェリの提案に頷いたキルバレンはゼオンに同意を求めると、逆にゼオンがアーシェリを押し出すように助手席から勢いよく運転席に身を乗り出す


「ああ、行こうぜ!もしかしたら力になれることもあるかもしれないからな!!」

「え、ええ…」


あまりの勢いに身体をゼオンからそらしたキルバレンだが、やがてゼオンが席に落ち着いて腕を組むと、ゆっくりとハンドルを切りながら車を走らせる

そのまま駐車場出入り口に差し掛かったところでシェリエールがゼオンの座席を怠そうに指差して指摘するーーー


「…おい、シートベルトしめわすれてるぞ」

「あっ!」


またもやシートベルトでシェリエールに突っ込まれたゼオンを見て今度はアーシェリが落胆の声をあげる

なんだか言葉に表すことすら面倒くさそうに車内であぐらをかきながら


「おいおい…いー加減にしろって…興奮しすぎだろ…」

「うっ……すまん…」


流石に今回は言い訳できなかったのか、目に見えてしょんぼりしながらゼオンは謝らざるを得なかった

まさか謝られると思っていなかったアーシェリとシェリエールは慌ただしく怠そうにしていた姿勢を自然に戻して笑顔を向けて場を和まそうとする

そうして、いくつか信号や交差点を過ぎ、サイレンが鳴っていたであろうところに着くと道路は封鎖されており、国の警備員が封鎖区間の外側に誰も通さないように立っていた

さらにその内側には国の社用車や警備の車が何台か駐車しているのが見える


「こりゃあただことじゃねーな…」


その規模を目の当たりにしてアーシェリは率直な感想を漏らす
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