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第2話 悪魔の操り手
悪魔の操り手 03
しおりを挟むつまるところ嫌になった『魔界』から抜け出して周辺で出没している「ピーヌス』をかき集めている上級悪魔がいるのかーー
とラクナの話から、そう解釈したセレーラルは更に疑問に思ったことを口にする
「ん~…でも、『魔界』のボーダーゲートは厳重に管理されている筈だから、そう簡単に抜け出せられないと思うけど?」
『そうだな、しかし今となってはこちらの世界に流れて生活している上級悪魔も僅かに存在しているからはっきりとは言えないが、どちらにせよピーヌスを統率している上級悪魔が存在する可能性は比較的に高い』
上級悪魔…ピーヌスなどとは比べ物にならないほどの実力を保持すると言われている悪魔でゼオンですら敵として相対したことがなく、緊張から身体が強張っていく
『後続の部隊が来るまで無理せず、足止めの対処をお願いしたい
その後、安全を確保したら後続に現場を任せて、一度本部に戻ってきてくれ』
「了解」
やがて会話を終えた後、モニターの画面が切れてから暫くすると、先日ゼオン達が足を踏み入れた小さな町が見えてきた
現場付近にたどり着くとゼオン達三人は車を降りて周囲を確認するが、人っ子一人見当たらず、まるで時間が停止しているかのような寂れた雰囲気が漂っている
「誰もいないね」
「ああ」
争った形跡が見当たらなかったからこの付近の住民達は事件を聞いておそらく避難したのであろう
「とにかく、先を急ごう!」
「りょーかい」
「…」
一通り辺りを見渡した後、三人は目的地の森の麓まで周囲に気を配りながら駆け足で進む
やがて目的地にたどり着くと報告どおり『ピーヌス』が群れを成しているのを発見すると、息を潜めるように一旦物陰に隠れる
顔を覗かせて様子を見たところ、その数はおよそ15体くらいで何をする訳でも無く辺りをうろついていた
そしてその足元の中には…
「オッチャン!?」
ゼオンがそう叫ぶと、一目散に飛び出して『ピーヌス』の前へと駆け込む
「ちょっ、ゼオ姉!?」
「!?」
セレーラルとマレーシャがゼオンの突拍子もない突撃に驚いて、その先へと視線を向けるとあらゆるところに大きな損傷を負った貨物自動車と、ゼオンとアーシェリ、シェリエールが担当した先日における任務の依頼主だった初老の男性が倒れていた
物陰から直ぐに飛び出したゼオンは両掌に黒塗りで赤いラインを所々に描かれた大剣二本ーーー
『クリムゾンレッド』を何もないところから取り出して男性から近い『ピーヌス』から斬りかかる
赤い残光を残しながら、それぞれの剣でで一体ずつ斬り伏せると、手に持っていた『クリムゾンレッド』を消して直ぐに男性を抱えたまま後ろへと跳躍するように後退した
「キキキキキ……」
ゼオンの襲来に気づいた残りの『ピーヌス』は奇妙な呻き声をあげながら一斉に獰猛な獣のようにゼオンを猛追するも、飛び引いたゼオンと入れ替わるように今度は緑色のラインを帯びた両刃に幾つもの鋭角がある黒塗りの大剣ーーー
『ヴェデュールリーフ』を提げたマレーシャが体を拗らせて回転しながら周囲の『ピーヌス』に斬り込んでいく
更にマレーシャから離れた位置で彼女を取り囲もうとする『ピーヌス』を水色のラインが入ったそれぞれ形の違う黒い二丁拳銃『オブロンズスカイ』を構えたセレーラルが銃口から水色の光線を乱射して、次々と『ピーヌス』を撃ち抜いていく
「つっ!!」
「ギジジッ…!!」
最後の一体にマレーシャが倒すと、セレーラルとマレーシャは直ぐにゼオンの元へと駆け寄る
「ゼオ姉、その人…」
「ああ、よかった…外傷は殆どない。
気絶しているだけだ」
気絶した男性をゆっくりと床に横たわらせて、見たところ多少なりとも打撲の後はあるが、特に大事に至る心配が無いことを確認したゼオンは心の中でホッと胸を撫で下ろす
「念のために病院で安静ーーー」
「ゼオンお姉さん、セレーラルお姉さん!」
どんな時でも滅多に喋らないマレーシャに言葉を遮るように呼びかけられた二人は外を警戒しているマレーシャを見上げる
マレーシャは顔をしかめながら森の方角を見つめており、それに釣られて二人も同じ方向を見るが特に変わったことはない
「いる……凄いのが、いる…」
特に何かが見えるわけでは無いのだが、マレーシャが呟くのと同時に視線の先からとてつもなく強烈な圧力が放たれているのを二人も感じ始めていた
「ゼオ姉…これって…」
「ああ…上級悪魔のご登場ってやつさ…」
屈んで男性を抱き寄せたゼオンはセレーラルに男性を預けると再び二本のクリムゾンレッドを取り出し、マレーシャと横並びになって剣を構えて森の方を見据える
「セレーラル、オレとマレーシャで相手を押さえるからお前は先にオッチャンを安全な所まで運んでやってくれ」
「…了解…」
ゼオンに男性の身柄の安全を頼まれたセレーラルは男性を抱き抱えて立ち上がると、すぐにその場を離れた
その場に残った二人の目線の先に相手のシルエットが森の中から徐々に浮き彫りになっていく
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