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第六話 白と黒の衝突
白と黒の衝突 01
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電灯に晒されたCICの大通りの中
ある場所には強い桃色、その向かい側に聳え立つものには数多い黄色等、さまざまな建物が存在感を強調するように灯りに照らし出しながら、エルゴ・ゾイネルという紫色のスーツと一際大きなレンズを付けた眼鏡を付けた青年男性は道の壁際で手をついて歩いていた
男は目元まで垂れ下がった前髪を掻き分けて、前方の視界を見るも、疲れ切った表情で肩を落としている
その歩調はぎこちなく、足取りも左右にふらついているように見える
外から見たら酔っ払いに見えてもおかしくないだろう
「…どこの誰か知らないが、ふざけた事件起こしやがって、おかげで…」
今日何度目になるかわからない程のため息の後、あてのない独り言を放つ
彼はカンパニー産業国の医術部門、薬学製造部臨床試験科に属する管理職の人間である
仕事意外は、給金や立場ともに近日まで順風満帆な日常送っていたのだが、ある事件が起きて以来彼の生活様式は完全に変わってしまっていた
そんな自分宛に送り主不明の手紙が会社へと届き、内容はあることを伝えたい為、指定の時間に指定の場所へと来て欲しいとのことだった
普段であれば見なかったことにするのだが、今の状況的に一切無視することが出来ず、今もまだ彼の不安を増幅させている
そのことについて頭を悩ませながら、脇道を曲がりながら人混みを避けるように人通りのない路地裏を進み、幾らか歩いたとこで目的地へと辿り着く
「ここか…ここでアイツが…」
手紙が指定した場所に辿り着くと、その場所は数日前に彼の上司である第五支部長のライマルカ・エクスワードの殺害現場だった
「わざわざこの場所に呼び出すということは、オレ達の秘密を掴んでいる者の仕業だな…」
場合によっては…灯りが途切れ途切れにしか届かない薄暗い中、疲れた目を凝らしてこの周辺を見渡す
暫くすると突然前方から何者かの気配を感じ、緊張から一瞬だけ息を止める
「お越しいただけるかどうか半信半疑でしたが、こうしてお会いできて良かったです」
目の前を凝視して気配の元を辿ると悠然と言葉を口にしながら純白な衣を纏った少女がゆっくりと姿を現した
つい数時間前、CIC郊外にある森の麓でアーシェリとフィオリンに接触したその少女はあの時とは違って背中に両翼を現し、その両手にはそれぞれ形の違う二本の白い剣を添えていた
「初めまして、私は『マーリア・サヴェッジ』といいます
今日は突然の呼び出しにお答えしていただき、ありがとうございます」
丁寧な言葉遣いで名を名乗った少女は優雅にお辞儀をして落ち着いた姿勢を示していた
しかし、表層上の雰囲気とは真逆の刺々しい圧力と夜空に反射して鈍く光る二本の剣の存在が少女の不気味さを感じさせ、エルゴは一層緊張感を際立たせていた
「ここに呼び出したってことは、私のことも会社の内情も知っていると…その上、ここでオレを殺すつもりか?部長を殺したように」
絞り出すように言葉を発して冷汗を浮かべながら一歩引き下がって距離を取っていると、彼の言葉を肯定するようにマーリアの取り繕った純和な表情が少しずつ険しく、鋭く刺々しい眼差しへと変わっていく
そして何かを相手の反応を確かめるようにエルゴを注視しながら彼女は一言呟いた
「RGP…でしたよね」
ーーーと
呟きを聞いたエルゴは目を見開いて驚きの表情を見せていた
落ち着かせようとして一瞬で引き締まった顔を元に戻すも、相手の反応を注視していたマーリアは見逃さない訳がなくエルゴを問い詰めていく
「やはり、その計画は今も存在している様ですね…人の尊厳や意義を踏み躙る愚かなことを、まだ続けていたんですか」
「なんのことだ…」
「そんな顔を見せておいてしらばっくれていると思っているんですか?」
焦りの感情からか額から汗を流すエルゴの動きを見逃さないように、マーリアはエルゴを軸にして円に擬えるように外側を歩きながら彼の逃げ場を遮る為に、彼が元来た道の中央を陣取って対峙する
「……おまえ、外部…そもそもこの国のモンじゃないな
どうやってその名前を知ったんだ?」
「そんなことはどうでもいいんですよ
肝心なのは『こんな時代』になってまで、何故あんな計画を続けているのです?」
ある場所には強い桃色、その向かい側に聳え立つものには数多い黄色等、さまざまな建物が存在感を強調するように灯りに照らし出しながら、エルゴ・ゾイネルという紫色のスーツと一際大きなレンズを付けた眼鏡を付けた青年男性は道の壁際で手をついて歩いていた
男は目元まで垂れ下がった前髪を掻き分けて、前方の視界を見るも、疲れ切った表情で肩を落としている
その歩調はぎこちなく、足取りも左右にふらついているように見える
外から見たら酔っ払いに見えてもおかしくないだろう
「…どこの誰か知らないが、ふざけた事件起こしやがって、おかげで…」
今日何度目になるかわからない程のため息の後、あてのない独り言を放つ
彼はカンパニー産業国の医術部門、薬学製造部臨床試験科に属する管理職の人間である
仕事意外は、給金や立場ともに近日まで順風満帆な日常送っていたのだが、ある事件が起きて以来彼の生活様式は完全に変わってしまっていた
そんな自分宛に送り主不明の手紙が会社へと届き、内容はあることを伝えたい為、指定の時間に指定の場所へと来て欲しいとのことだった
普段であれば見なかったことにするのだが、今の状況的に一切無視することが出来ず、今もまだ彼の不安を増幅させている
そのことについて頭を悩ませながら、脇道を曲がりながら人混みを避けるように人通りのない路地裏を進み、幾らか歩いたとこで目的地へと辿り着く
「ここか…ここでアイツが…」
手紙が指定した場所に辿り着くと、その場所は数日前に彼の上司である第五支部長のライマルカ・エクスワードの殺害現場だった
「わざわざこの場所に呼び出すということは、オレ達の秘密を掴んでいる者の仕業だな…」
場合によっては…灯りが途切れ途切れにしか届かない薄暗い中、疲れた目を凝らしてこの周辺を見渡す
暫くすると突然前方から何者かの気配を感じ、緊張から一瞬だけ息を止める
「お越しいただけるかどうか半信半疑でしたが、こうしてお会いできて良かったです」
目の前を凝視して気配の元を辿ると悠然と言葉を口にしながら純白な衣を纏った少女がゆっくりと姿を現した
つい数時間前、CIC郊外にある森の麓でアーシェリとフィオリンに接触したその少女はあの時とは違って背中に両翼を現し、その両手にはそれぞれ形の違う二本の白い剣を添えていた
「初めまして、私は『マーリア・サヴェッジ』といいます
今日は突然の呼び出しにお答えしていただき、ありがとうございます」
丁寧な言葉遣いで名を名乗った少女は優雅にお辞儀をして落ち着いた姿勢を示していた
しかし、表層上の雰囲気とは真逆の刺々しい圧力と夜空に反射して鈍く光る二本の剣の存在が少女の不気味さを感じさせ、エルゴは一層緊張感を際立たせていた
「ここに呼び出したってことは、私のことも会社の内情も知っていると…その上、ここでオレを殺すつもりか?部長を殺したように」
絞り出すように言葉を発して冷汗を浮かべながら一歩引き下がって距離を取っていると、彼の言葉を肯定するようにマーリアの取り繕った純和な表情が少しずつ険しく、鋭く刺々しい眼差しへと変わっていく
そして何かを相手の反応を確かめるようにエルゴを注視しながら彼女は一言呟いた
「RGP…でしたよね」
ーーーと
呟きを聞いたエルゴは目を見開いて驚きの表情を見せていた
落ち着かせようとして一瞬で引き締まった顔を元に戻すも、相手の反応を注視していたマーリアは見逃さない訳がなくエルゴを問い詰めていく
「やはり、その計画は今も存在している様ですね…人の尊厳や意義を踏み躙る愚かなことを、まだ続けていたんですか」
「なんのことだ…」
「そんな顔を見せておいてしらばっくれていると思っているんですか?」
焦りの感情からか額から汗を流すエルゴの動きを見逃さないように、マーリアはエルゴを軸にして円に擬えるように外側を歩きながら彼の逃げ場を遮る為に、彼が元来た道の中央を陣取って対峙する
「……おまえ、外部…そもそもこの国のモンじゃないな
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「そんなことはどうでもいいんですよ
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