異世界TAXi~冒険者ギルド運輸部旅客課~

K1-M

文字の大きさ
11 / 34

乗務11 運転手:カーク・キーン⑤

しおりを挟む
 
 俺の名は『カーク・キーン』。
 今はしがない『職業:運転手』のはずなのだが、何故か古巣である王都騎士団宿舎裏の訓練場で"現"副団長ザークォとの戦闘をすることになった男だ。
 
 とりあえず戦闘後に騎士団長であるエムリスを殴るのは確定として、問題は…。

「さあっ、開始の合図をっ!!」

 …と、とてもやる気になっている"現"副団長ザークォをどうするか…なんだが…。

 チラリと視線を外し周りを見る。
 心配そうにこちらを見ている第三王子ドライ殿下を他所に、口角を上げ、親指を下に向けて喉を切る仕草を俺に見せる騎士団長エムリス。
 お前、あとで絶対殴るからなっ!

 まぁ、ザークォの上司である騎士団長からのお許しが出ているし………ヤってしまってもいいか…。
 そして俺は『とびっきり』の敗北をプレゼントしてやろうと決め、視線をザークォに戻す。

「では模擬試合を始める!両者構え!………始めっ!!」

 お互いに刃を潰した剣を構える。
 ザークォは変わらず厭らしい笑みを浮かべているが…。コイツが「コレを使うといい…」なんてニヤニヤしながら渡してきた訓練用の剣だ…どうせ何か細工でもしているのだろう。
 ソレはソレで準備が良すぎる気もしないでもないが…。と言うか絶対細工済みだろう…。

「どうしました?かかってこないのですか?」

 変わらずニヤニヤとしながら俺に話し掛けてくるザークォ。
 そう言えば…も何も、前から面倒くさいし、ムカつく奴だったな…と思い出し、エムリスからのお許しも出ていることだし、プライド"は"高いコイツをおちょくるのは簡単だ。
 どうやって潰そうか悩ましかったが、まずは舌戦にでも付き合ってやろうと俺も口角を上げる。

「三席…いや、今は副団長だったか…。お前相手に俺から行く必要なんかねぇだろ…」
「(……口調が?)……辞めてから剣なんて振っていないのでしょう?"元"副団長殿…ウォーミングアップさせてあげよう、そう言っているのですよ」
「……ウォーミングアップ?んなもんいらねぇから、さっさと来いよ…現副団長がどれくらいやれるか確かめてやる」
 
 俺はそう言い、右手の剣を肩に乗せ、左手の指を「クイクイ」と挑発する。
 コレにはイラッとしたのか、ザークォは…

「チッ…平民が…」

 と小さく呟く。いや、聞こえてるだけど…

「もういい、カーク・キーン!私は貴様が気に入らなかった。平民の分際で団長にすり寄り、副団長という地位にいた貴様がな!」

 ……ん?……何か長くなりそうな…

「成り上がり…いや、団長の恩情だけで副団長になり、平民の貴様が伯爵家次期当主である私に平気な顔で命令を下す………どれほど屈辱だったか…」

 ザークォのその言葉に見物している騎士団員の『貴族派』が騒ぐ。
 ……なるほど、エムリスめ…。が狙いだったか…。
 ザークォは拳を握りしめ、言葉を続ける。……いや、長いんですけど…?とは思ったが、騒ぐ貴族派の騎士団員の周りを『サササ…』と王族派…と言うより平民から騎士になった団員たちが囲み、取り押さえる準備をしていた。
 
「屈辱も何も上司なら下の者に命令を出すのは当たり前のことだろう…貴族とか平民とか何言ってんの?」
「分を弁えろ…そう言っているのだ!」
「いやいや…分を弁えるのなら、それこそ当時は上司だったんだから当たり前のことだろう…。本当お前何言ってんの?大丈夫?」

 チョンチョン…と自分の頭に指を当て、そう言い返す。
 そんなことをすれば当然…

「貴様っ!!」

 激昂するザークォに…

「平民がっ!!」
「ふざけているのかっ!!」

 同調する貴族派の騎士団員たち… 

 おうおうおう…完全に悪者だなぁ、コレ。
 でもまあ、ちょっと楽しくなってきたし、もう少しからか…挑発してやろうかと思っていたのだが…

「調子に乗るなよ平民…私にこれほどの無礼を働いたのだ。この模擬戦の後、貴様は不敬罪でその首を跳ねてくれる」
「………(出たなぁ、不敬罪)」

「そして貴様の家族も後を追わせてやろう」

『ニヤリ』
 口角を大きく上げ、宣ったザークォ…。

「「「あ…」」」

 周りから、エムリスを含めた主に俺と関わりの深かった奴らから声が漏れる…。
 そして俺は…

「……ぁあっ?ザークォ……テメェ…今、何言なんつった…?」



 俺の名は『カーク・キーン』。
 絶賛、ぶっちギレ中の『職業:運転手』の男だ。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


今回もネタなし&タクシー関係なし…。
挑発しようと思っていたのに先にキレちゃうカークさん…。
次回もよろしくお願いします。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

処理中です...