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乗務13 運転手:カーク・キーン⑦
しおりを挟む俺…いや、私の名は『カーク・キーン』。
この国の第三王子ドライ殿下を私の古巣である王都騎士団に送り届けたところを副団長ザークォに絡まれ、団長エムリスに嵌められザークォとの模擬戦をする事になったしがない『職業:運転手』だ。
そして模擬戦後の顛末…。
ザークォ及びその取りまきの騎士団員たちは『貴族派』に属し、その『貴族派』の一部が近々クーデターを起こす予定だったらしい。
その為、各都市、各領地に存在する騎士団でも『貴族派』の取り締まりを強化し、同じように騎士団内に存在する『貴族派閥』の団員たちを捕まえているのだとか…。
そして決定的な問題・証拠をなかなか出さないザークォ。 そんな中、元副団長である私がドライ殿下を乗せて騎士団宿舎に送り届けるとの情報が入り、エムリスはコレを利用。
それとなくザークォを促し、私との邂逅及び模擬戦の承諾、と…。
私がドライ殿下を乗せたのはさすがに偶然だったようだが、その偶然を利用してザークォ及び取りまきたちを捕縛したワケだ。
……ホントに偶然か?
『配車』だったからな…。私をドライ殿下に回すように出来なくもないだろう…。
…ということは…
「ギルドもグルだな…」
「はぁ…」と嘆息を漏らしつつも、私は帰路を運転中で少しアクセルを踏み込む。
『ブロロロ…』と低い音を出し、国土交通大神によって決められた制限速度いっぱいの60キロでタクシーは街道を進む。
もう今日は仕事をする気にならないので助手席前の『スーパーサイン』と呼ばれている魔導具の表示を『回送』にして走る。
…といっても『営業区域』というものが決められているので、王都側で乗客を乗せることはほとんどないのだが…。
話を戻そう。
ザークォは『うえすたんらりあっと』による首へのダメージが大きく、病院へ直行。ただし一般の病院ではなく王国軍管轄の病院である。
取りまきたちは捕縛後、尋問との事で騎士団の取り調べ室に連れていかれたらしい。
後日、芋づる式にクーデター参加予定の貴族派の貴族たちが捕まり、クーデターは未然に防がれるワケだが…
「王都騎士団…いや、エムリスを使えるとなると上層部…違うな…。……恐らく国王…か」
国の上層部だけならエムリスを使い、騎士団を使うことは出来ないだろう。つまり国のトップである国王からエムリスに直接依頼した…。
そしてエムリスから冒険者ギルド経由で私まで回ってきた…。
「多分、こんなところか…」
…となると、私とドライ殿下は完全に巻き込まれたかたちになったワケだが…
「エムリス…やっぱ許さん。『えるぼー』だけじゃ足りなかったな…次会ったら『どらごんすくりゅー』もお見舞いしてやろう…」
「クックックッ…待っているがいい…」と車内で一人呟きながら私は街道を走らせた…。
~~~~~~~~~~~~~~~~
まだ時間は大分早いが、私はスモールシダー営業所に戻り『納金』…
『納金』とは読んで字の如く、当日の売り上げを納める作業である。
…をして本日の業務を終わらせる。
営業所長からは「今日の件は聞いているよ。騎士団から『冒険課』経由で別途報酬が出るみたいだから確認してね。お疲れ様」とのこと。
今日は半日しか仕事出来なかったから、報酬はありがたくいただくことにしよう。
エムリスに『どらごんすくりゅー』は決定事項だけれどな…。
営業所を出てスモールシダー城壁内、居住区の家に帰る。
「ただいまぁ」
言いながら『ガチャリ』と玄関のドアを開けるとそこには…
「お帰りなさいあなた」
腕を組んで仁王立ちしている妻がいた…。
…あれ?何か『ゴゴゴゴゴ…』とか聞こえるんですけど…?
「伯爵子息を病院送りにしたって聞いたんだけれど、どういうことかしら?」
「……え"っ」
この後、元『A級』冒険者の妻に腕ひしぎからの『ちょーくすりーぱー』を喰らうハメになり、理由を説明する前に落とされそうになったことを報告しておこう。
どうやらエムリスから直接連絡を受けたらしいのだが…
「肝心なところ全部省いてるじゃねえか…。エムリス…『どらごんすーぷれっくす』も追加だな…」
…今度会ったときにお見舞いする技が追加されたのは言うまでもない。
私の名は『カーク・キーン』。
元『A級』冒険者の妻は恐…違う。元王都騎士団の副団長で、今はしがない『職業:運転手』の男だ。
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今回のネタ①:『スーパーサイン』=『空車』『賃走』『回送』とか表示されてるアレ。『寿』とかも表示できたりする。
今回のネタ②:『どらごんすくりゅー』『どらごんすーぷれっくす』=アレ
今回のネタ③:『営業区域』=例:神奈川のタクシーの場合『神奈川→都内』『都内→神奈川』の輸送はOKだが、『都内→都内』での輸送はNG。(本当)
今回のネタ④:『腕組んで仁王立ち』=ガイ○立ち。
今回はちゃんとタクシー要素がありました。
次回もよろしくお願いします。
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