(完結)思惑と憶測と答えのない人生

663

文字の大きさ
7 / 7
第7章

思惑と憶測の収束

しおりを挟む
ー次の土曜日

上司、篠崎、浜口でAの家へ

ガチャ

「あれ?大家さんから鍵借りたのに、開いてる…」

扉を開くと…

「お姉さん…?」

「あ…篠崎さん。と…Aの会社の方々ですか?わざわざ来てくださったんですね。ありがとうございます。」

「初めまして。Aさんの上司でした、棚橋と申します。」

「私Aさんと同じチームで、後輩の浜口です。」

「棚橋さん、浜口さん。初めまして。Aの姉です。」

「お姉さんは…よくここに来られるんですか?」

「たまに…。これが気になって…。」

「これは…?」


机の上に一冊のノートがあり、表紙には

『思惑と憶測と答えのない人生』

と書かれていた。


「ここに書かれている内容が…」

「これってもしかして…」

「…私たちのこと…?」

「そんな気がするんです。この3ページ目…葬式の日、篠崎さんに声をかけていただいたあのときの内容そのものなんです。」

「…そんなことって…あるのか…?」

「そして今、私たちがここで出会ったのも…」

「じゃあ、この途中のページに書かれている女性の気持ちが…Aさんの…」

「そうなんだと思います…。」


そのノートにはAの死後、篠崎たちが取った行動そのものを行う会社の仲間の話と、女性の心情の変化と死についての話が書かれていた。


「実は…Aさんの遺体を見つけたあの日、このノートを見たんだ。」

「そうだったんですか…」

「Aさんきっと浜口や篠崎が死について調べてくれること、望んでたんだと思うんだ。Aさんは死を選択したけど、それはみんなが嫌いで、とか会社が辛くて、とかではなくて…ってこと知って欲しかったんだと思う。」

「どうしてそういう理由でないってことがわかるんですか?」

「この最後のページに…」


『幸せになるために私はこの道を選びます。みんなの思う幸せの形とは違うかもしれない。そして、私自身この道が正解だったかどうかわからない。答えはないし、もう答えを考えなくていいんだ。それが私にとっての幸せです。』


「……。」

「…ぐずっ…。私たち…もっとAさんに何かしてあげられたかな…。」

「浜口さんたちがそうやってAのこと考えてくれたことで十分です。本当に…本当にありがとうございます。」

「きっとAさんに呼ばれてたんだな。心のどこかで…こうやって行動するように。」

「…Aさん、ここに来ましたよ。Aさん、また笑ってください…。」


窓から夕日がさして、Aの机上のノートを照らしている。夕日の色は恥ずかしがっているような赤色であった。



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

寄生虫の復讐 ~美咲の冷徹な一刺し~

スカッと文庫
ミステリー
「お前みたいな寄生虫はゴミだ」 10年尽くした夫・雅也から突きつけられたのは、離婚届と不倫相手。 彼は知らない。私が家を飛び出した「サカモト・ホールディングス」の令嬢であることを。 そして明日、彼が人生を賭けて挑む調印式の相手が、私の実父であることを。 どん底に叩き落とされたサレ妻による、容赦なき「経済的破滅」の復讐劇。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...