聖女候補令嬢の奴隷→聖女に選ばれたのは奴隷でした

京月

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第一話

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 聖女とは癒しの力を持ち運命に愛された存在。

 存在するだけで魔物たちを弱体化させ世界中に五穀豊穣の加護を与える。

 奇跡との存在とまで言われる聖女は世界で一人しか存在しない。誰かが聖女に選ばれるとその聖女が死ぬまで新たな聖女は選ばれない。そして先日先代の聖女が亡くなった。



「マリー!もたもたしないでこのグズ!!」


「すみませんすぐにやり直します」


「本当に使えないわね」


 有名貴族の令嬢リラ、彼女は奴隷に自分の服を着る手伝いをさせていた。奴隷の名前はマリー、リラと同い年の15歳で産まれた時からリラの家の奴隷として育てられた。


「今日は聖女選定の儀なんだから遅刻は許されないのよ。あなたのせいで遅刻して私が聖女になれなかったらどう責任を取るの?」


「すみません」


「口じゃなくて手を動かしなさい!」


「はい」


 リラは自分の手の甲にある模様のような形の赤い痣を見てにやける。


「私って本当に神に選ばれているわよね~。生まれた家はお金持ち、成績も優秀で国で一番頭のいい学園への入学も決まっている。極めつけはこの次代聖女候補のみ現れる赤い痣」


 先代の聖女が亡くなってからすぐに聖女候補の女性に赤い痣が浮き上がった。国は血眼になって聖女候補たちを探し三人の女性に赤い痣があることが確認できた。リラはその中に一人なのだ。


「聖女になれば将来は安泰。王族に次ぐ地位を手に入れ、名声はうなぎのぼり、歴史に名を残すこと間違いなし。本当に私は運命に愛されている。マリー、あんたと違ってね」


「…」


「本当になんで奴隷なんかに産まれて来たの?私には理解できないわ。ほらマリー、着付けが出来たならあなたも準備しなさい。あっごめん!あんたその服しか持ち合わせがなかったわね」


「失礼します…」


 マリーは嘲笑うようにクスクス笑うリラがいる部屋から退室すると中庭の茂みに行き一人で泣いていた。


「私だって…好きで奴隷でいるわけじゃないのに…」


 マリーの両親は友人に騙されリラの家の奴隷になった。両親はマリーが四歳の頃病気で亡くなってしまった。奴隷の子供は必然的に奴隷となり自由が許されない生活を送る。それからマリーは同い年のリラの奴隷としてこき使われてきたのだ。


「何でこんなに不公平なんだろう」


 リラは真逆の人生を送る自分がみじめで何度も自ら命を絶とうとしたがそのたびに両親の言葉を思い出す。


『どんなにつらくても諦めちゃダメ』


「そうだよねお母さん、お父さん。私は諦めない、きっといつか良いことがあると信じる」


 リラはマリーを荷物持ちとして連れ儀式が行われる王城に向かった。
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