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後編

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 突然、ギブルがミレーナに結婚式の日取りを決めたいと言ってきた。
 
 それは何てことない日、2人で紅茶を嗜んでいる時だった。


「ミレーナ、僕たち正式に結婚しないか?」

「…どうしたのですか急に?」


 そう聞き返すミレーナには全てお見通しだった。


(ギブル様もルーのわがままに耐えきれなくなったのね。
 泉に落としてからルーの評判はガタ落ち。
 人が変わったかのように周りに迷惑ばかりかけて、今じゃ’死神’なんて呼ばれているとか。)


「別に何かがあったわけじゃない。
 ただ、僕たちも次に進むべきかなと思ったんだ。
 だから結婚しよう。」


「そんな…酷いですギブル様!
 特に理由もないのにい結婚したいなんて、女をなんだと思っているんですか?」


 当然のように了承されるだろうと思っていたギブルは唖然とする。

 そして慌てふためきながら、涙を流すミレーナに駆け寄る。


「すまない。
 誤解なんだ。
 僕はずっと君と結婚したかった。
 だから、泣かないでくれ」


(フフフ、慌てふためいてますね。
 泣いたフリをした甲斐がありました。
 でも、もう遅いのです)


 ここでミレーナはギブルとの関係性を一歩進めることにした。
 
 しかし、それはギブルとは真逆の方向に。


「実は私、知ってたんです。
 ギブル様が別の女性と愛し合っていることを。」


「嘘だ。」


「本当です。
 でも私はギブル様が好き。
 だから、その女に会わせてください!
 直接私がその女性に手を引くよう申し上げます。」


「…分かった。」


◇◇


 ギブルを連れ、ルーの元へと出向いたミレーナ。

 ルーはギブルを見るなり、不機嫌な表情になる。


「ギブル、何で私の言うこと聞いてくれないの?
 この前言ったよね?
 海底に沈む沈没船が見たいから引き上げて来てって。
 それをすっぽかして何でミレーナと一緒にいるのよ。」


「ルー、、、ルーさん。
 それは無理だと何度も言ったはずだよ。
 それより君はミレーナと知り合いだったのかい?」


「ええ、そうです。
 私とルーはお友達なんです。
 それでルー、ギブル様が私と結婚したいと言っているんだけど、ルーはそれでいいの?」


 ルーとミレーナが知り合いだったことに驚きを隠せないギブルを他所に、女同士で語り合う2人。

 ルーはまるであざ笑うかのように嘲笑する。


「ダメに決まってるでしょ。
 ギブルは一生私といるの。
 誰にも邪魔させない」


「そう。
 それじゃあ仕方ないですわ。
 そう言うことなのでギブル様、私達は婚約破棄です。
 どうかお幸せになってください。」


「ちょっと待ってくれ!
 一生?そんなの嫌だ!
 何故そんな簡単に引き下がるんだミレーナ。
 僕と結婚出来なくてもいいのかい?」


(どうしてそこまで上から目線で物事を語れるのかしら。
 それが目的で、今私はルーと会ってるの。
 浮気した時から私はギブル様と結婚はしないと決めてたし。
 残念でしたね。)


「落ち着いてくださいギブル様。
 ルーは公爵令嬢です。
 私が歯向かえる相手ではありません。
 そんなことをすれば一族が路頭に迷ってしまいます。
 これは、どうしようも出来ない事なのです。」


 ギブルの絶望した顔を見ながら、ミレーナは内心笑っていた。

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