28 / 28
親戚に引き取られる⑧
しおりを挟む
きっかけは行為の最中に僕が戻したことだった。
その日は昼間から調子が悪かった。だからいつものように叔父様が部屋に入ってきたときセックスを断ろうと思ったのだけれど、これまでそんなことを口にしたことはなかったから言い出せないままセックスに突入してしまったところ、一回目の膣内射精で吐いてしまったのだ。
騎乗位で前かがみになって下から突かれているところへ中出しされたとき戻したものだから、吐いたものは叔父様の顔や身体にかかった。けれども叔父様は僕を責めることなく、やさしく吐いたものの後始末をすると僕をベッドに寝かしつけ、そのまま部屋を出たのだった。
翌朝、眠りから抜けきれないぼんやりとした頭で洗面所に向かった僕は、洗面台に小さな小箱が置かれていることに気づいた。何気なく手に取ってみる。だがその箱に書かれた『妊娠検査薬』という言葉を目にしたとき、心臓がどくんと跳ねるのを感じた。
「……」
しばらくその場から動くことができなかった。洗面台の鏡にはいつに変わらない美少女が真っ青な顔で立ち尽くしている姿が映っていた。
やがて僕は震える足取りでトイレに向かい、説明を読みながらするべきことをした。
赤い線がはっきりと出た。それを見つめたまま、僕はまたしばらくその場から動けなかった。
* * *
何も考えられないまま一日を過ごした。
お風呂に入ったかどうかはもちろん、食事をどうやってとったのかさえ思い出せない。
生理が来る前でも妊娠することはありうる――中学の頃、保健体育の授業で習ったそんな知識が意味もなくぐるぐると頭の中をまわっていた。
保険の先生の話を聞きながら、そんなこともあるのか、と思っただけだった。それがまさか自分の身に降りかかってくるなんて……。
ともあれ、僕にできるのは叔父様を待つことだけだった。
産婦人科でおろす場合、相手の男の同意が必要であることは知っている。僕を妊娠させた男は一人しかいない。だから待つしかなかった。
もちろん葛藤がなかったわけではない。まさか僕が子供をおろすことになるなんて……。でも、どうしようもなかった。育てられるわけがないし、僕の年齢では無事産むことができるかどうかさえあやしいのだ。
……おろすしかない。でも、叔父様は何と言うだろう。妻帯者の叔父様が僕の相手と言うことはできない。誰か身代わりの人を用意してくれるのだろうか。
混乱の中、僕はベッドに座ったまま立ち上がることができなかった。
部屋全体がぐるぐるとまわるような葛藤は、夜になり叔父様が部屋に入ってきたときにようやく終わりを告げた。
けれどもそれは、僕が予想していた終わり方ではなかった。
* * *
「どうだった?」
部屋に入るなり、叔父様はそう言った。僕が返せる言葉はひとつしかなかった。
「妊娠……してました」
「そうか! 嬉しいよ、ありがとう!」
「え……」
そう言って叔父様はベッドの前に跪くと、正面から僕を抱きしめた。そして僕の耳元でやさしく囁いた。
「大事にしないといけないよ、もう一人の身体じゃないんだからね」
大事にしないといけないよ、もう一人の身体じゃないんだからね――自分にかけられた言葉を頭の中で繰り返して、ようやく叔父様が何を言っているのかわかった。
叔父様は、僕に産めと言っているのだ。
姪である僕と叔父様が毎晩のように貪り合い、さんざん膣内に精液を注ぎ込まれた結果、僕のお腹に宿ったこの道ならぬ子供を……。
「うう……ぼくもついに父親になれるのか。嬉しい、本当に嬉しいよ。ありがとう……ありがとうマコちゃん」
僕の気持ちを置き去りにして、叔父様は涙まで流しはじめている。
何も考えられないまま僕は、なぜか僕がこの家に引き取られた日に会ったきりの叔母様のことを思い出した。
「……叔母様には」
「ん?」
「叔母様に……このことは……」
「ああ、もちろん妻にも言い含めてあるよ」
「……」
「言ってなかったかな? 妻はもともとレズビアンで男と愛し合うことはできないんだ。いつもマコちゃんの世話をしてくれるメイドがいるだろう。あれが妻の相手だ。僕と出会う前から妻は彼女と関係を持っていた。家同士の事情もあったけれど、それでぼくは妻と結婚することにしたんだ」
「……どうして」
反射的に唇からこぼれた一言だった。あまりにも常軌を逸した話に、頭も心もまったくまったくついていけない。けれど、自分が口にした質問の答えは何となく予想がついた。果たして、叔父様の口からその予想通りの答えが告げられた。
「決まっているだろう。ぼくがお姉ちゃんしか愛せない人間だからさ」
「……」
「ぼくはお姉ちゃんしか愛せない。だから偽装のために妻と結婚した。交換条件として妻がだしてきたのがあのメイドとの同居だ。ぼくは二つ返事でそれを受け容れたよ。だからぼくたちの関係は、今もってすこぶる良好なのさ」
予想通りだったその答えは、けれども最後に残った僕の希望を粉々に打ち砕いた。
お姉ちゃんしか愛せないから、偽装結婚をした。僕の母親しか愛せないから、形ばかりの妻を迎え世間の目をごまかした。
叔父様が口にしたその言葉が意味するところはひとつだ。
「そうだよ、マコちゃん。ぼくは最初からお姉ちゃんを――マコちゃんを迎える準備をしていたんだよ」
僕を抱くのをやめ、身体を離して両肩に手をかけ、真正面から覗き込むようにしてそう言う叔父様に、僕は完全に思考停止した。
「ぼくはね、マコちゃん。初潮が来る前にマコちゃんを孕ませるって決めてたんだよ」
「……」
「マコちゃんのお腹におりてくる卵をひとつも無駄にしない、ってね。だから本当に嬉しいんだ。ぼくの精子は初めておりてきたばかりのマコちゃんの卵にもぐりこんでひとつになった。これってまるでぼくとマコちゃんの出会いみたいじゃないかい?」
「……」
「お姉ちゃんと分かり合い、お姉ちゃんと愛し合い、お姉ちゃんにぼくの子供を産んでもらう。それが……それだけがぼくの人生の望みだった。叶わないかも知れないと思っていた……いや、叶うはずがなかったその望みを、マコちゃんが叶えてくれたんだ。ぼくは……ぼくはマコちゃんにどんなに感謝してもしきれない」
「……」
「結婚しよう、マコちゃん。法的には許されないけれど、ぼくたちの心の問題だ。二人だけの結婚式を挙げて、身も心もひとつになろう。子供のことなら心配いらない。妻が産んだことにする手はずは調っているし、その件についてはもちろん妻も了承済みだ。一人とは言わない、何人でもつくろう。ぼくはマコちゃんとなら何人でも子供をつくりたい。ああ、いくらでもつくってみせるさ。五人でも、十人でも!」
何も考えられないまま、僕は言葉を返すことができなかった。そんな僕をまた力強く抱きしめると、叔父様の言葉はいっそう熱を帯びていった。
「ああ愛してる、愛してるよお姉ちゃん。お姉ちゃんと結婚できるなんて! お姉ちゃんにぼくの子供を産んでもらえるなんて! 誓うよ、ぼくは生涯お姉ちゃんを愛し続ける。ぼくにはお姉ちゃんしか見えない。お姉ちゃんしか愛さない。しばらくセックスはおあずけだけど、すぐにまた愛し合えるようになる。子供が産まれたらまた毎晩のように中に出して、すぐに次の子供を妊娠させてあげるから――」
* * *
――叔父様が部屋を出て行ってしまったあとも、僕はベッドから立ち上がれなかった。
何も考えられなかった。何を思えばいいのか、何をすればいいのかわからなかった。
「うえぇえぇ……っ」
嗚咽のような声が部屋に響いた。僕の口から出た声だ。
だが、僕は泣いたわけではなかった。また吐いたのだ。
「……」
自分の吐き戻したものが寝間着の胸から股間にかけて汚しているのを呆然と眺めた。またつわりだろうか……けれど、それだけではないと思った。
「……気持ち悪い」
つわりの悪心は続いていた。だが、僕が口にしたのはそれとは別の『気持ち悪い』だった。
叔父様が実の姉と結婚し、子供を産ませたいと本気で願っていたこと。
そのためにレズビアンと偽りの結婚をし、その愛人まで住まわせていること。
姉の代わりに姪の僕を囲い込み、初潮を迎える前に妊娠させたこと。
そしてそれを『お姉ちゃんと結婚する、お姉ちゃんに子供を産ませる』と言い切ってはばからないこと。
……そのすべてが、耐え難いほど気持ち悪い。
「うえっ……うぇえぇぇ……っ」
また吐いた。
吐きながら初めて、自分が叔父様の子供を妊娠したのだという現実がリアルに胸に迫った。
……それもそのはずだ。あれだけ毎晩中出しされていたのだから妊娠するのも当然だ。僕の膣内にはいつも叔父様の精子が泳ぎまわっていたのだ。叔父様の言うとおり、初めて僕のお腹からおりてきた卵に、叔父様の精子が瞬く間に群がったのだろう。
生理がなかったから、僕たちは一日も休むことなくセックスを続けた。その結果、道ならぬ恋の果実が僕のお腹に宿った。僕は血のつながった叔父に、母親の身代わりとして孕まされたのだ。
「気持ち悪い……気持ち悪いっ……!」
ついに僕はそれを口に出した。一度口に出してしまうと、もう止まらなかった。
「ああもう、本当に気持ち悪い! ふざけんな! なんで僕があんな気持ち悪いオッサンの子供を産まないといけないんだよ!」
がらんどうの部屋に僕の声が虚しく響いた。
いつの間にか僕は泣き始めていた。頬を伝い落ちる涙をそのままに、僕はもうやけくそになって泣きながら喚き散らした。
「嫌だ! 絶対に嫌だよ! あんなオッサンの子供を産むなんて死んでも嫌だ! そうだ、誰が産んでやるものか! あんな気持ち悪いやつの子供を産むくらいなら、異世界に転生してオークに犯されてオークの仔を産んだ方がマシだ!」
何も考えられないまま衝動に任せて口走った一言だった。
だが、その一言を口にした瞬間、まるでそれを待っていたかのように忽然と、実に数ヵ月ぶりとなる選択肢が現れた。
――――――――――――――――――
1.オークに犯されて仔を産む。
2.叔父様の子供を産む。
※いずれか一方を言葉にして下さい。
――――――――――――――――――
その日は昼間から調子が悪かった。だからいつものように叔父様が部屋に入ってきたときセックスを断ろうと思ったのだけれど、これまでそんなことを口にしたことはなかったから言い出せないままセックスに突入してしまったところ、一回目の膣内射精で吐いてしまったのだ。
騎乗位で前かがみになって下から突かれているところへ中出しされたとき戻したものだから、吐いたものは叔父様の顔や身体にかかった。けれども叔父様は僕を責めることなく、やさしく吐いたものの後始末をすると僕をベッドに寝かしつけ、そのまま部屋を出たのだった。
翌朝、眠りから抜けきれないぼんやりとした頭で洗面所に向かった僕は、洗面台に小さな小箱が置かれていることに気づいた。何気なく手に取ってみる。だがその箱に書かれた『妊娠検査薬』という言葉を目にしたとき、心臓がどくんと跳ねるのを感じた。
「……」
しばらくその場から動くことができなかった。洗面台の鏡にはいつに変わらない美少女が真っ青な顔で立ち尽くしている姿が映っていた。
やがて僕は震える足取りでトイレに向かい、説明を読みながらするべきことをした。
赤い線がはっきりと出た。それを見つめたまま、僕はまたしばらくその場から動けなかった。
* * *
何も考えられないまま一日を過ごした。
お風呂に入ったかどうかはもちろん、食事をどうやってとったのかさえ思い出せない。
生理が来る前でも妊娠することはありうる――中学の頃、保健体育の授業で習ったそんな知識が意味もなくぐるぐると頭の中をまわっていた。
保険の先生の話を聞きながら、そんなこともあるのか、と思っただけだった。それがまさか自分の身に降りかかってくるなんて……。
ともあれ、僕にできるのは叔父様を待つことだけだった。
産婦人科でおろす場合、相手の男の同意が必要であることは知っている。僕を妊娠させた男は一人しかいない。だから待つしかなかった。
もちろん葛藤がなかったわけではない。まさか僕が子供をおろすことになるなんて……。でも、どうしようもなかった。育てられるわけがないし、僕の年齢では無事産むことができるかどうかさえあやしいのだ。
……おろすしかない。でも、叔父様は何と言うだろう。妻帯者の叔父様が僕の相手と言うことはできない。誰か身代わりの人を用意してくれるのだろうか。
混乱の中、僕はベッドに座ったまま立ち上がることができなかった。
部屋全体がぐるぐるとまわるような葛藤は、夜になり叔父様が部屋に入ってきたときにようやく終わりを告げた。
けれどもそれは、僕が予想していた終わり方ではなかった。
* * *
「どうだった?」
部屋に入るなり、叔父様はそう言った。僕が返せる言葉はひとつしかなかった。
「妊娠……してました」
「そうか! 嬉しいよ、ありがとう!」
「え……」
そう言って叔父様はベッドの前に跪くと、正面から僕を抱きしめた。そして僕の耳元でやさしく囁いた。
「大事にしないといけないよ、もう一人の身体じゃないんだからね」
大事にしないといけないよ、もう一人の身体じゃないんだからね――自分にかけられた言葉を頭の中で繰り返して、ようやく叔父様が何を言っているのかわかった。
叔父様は、僕に産めと言っているのだ。
姪である僕と叔父様が毎晩のように貪り合い、さんざん膣内に精液を注ぎ込まれた結果、僕のお腹に宿ったこの道ならぬ子供を……。
「うう……ぼくもついに父親になれるのか。嬉しい、本当に嬉しいよ。ありがとう……ありがとうマコちゃん」
僕の気持ちを置き去りにして、叔父様は涙まで流しはじめている。
何も考えられないまま僕は、なぜか僕がこの家に引き取られた日に会ったきりの叔母様のことを思い出した。
「……叔母様には」
「ん?」
「叔母様に……このことは……」
「ああ、もちろん妻にも言い含めてあるよ」
「……」
「言ってなかったかな? 妻はもともとレズビアンで男と愛し合うことはできないんだ。いつもマコちゃんの世話をしてくれるメイドがいるだろう。あれが妻の相手だ。僕と出会う前から妻は彼女と関係を持っていた。家同士の事情もあったけれど、それでぼくは妻と結婚することにしたんだ」
「……どうして」
反射的に唇からこぼれた一言だった。あまりにも常軌を逸した話に、頭も心もまったくまったくついていけない。けれど、自分が口にした質問の答えは何となく予想がついた。果たして、叔父様の口からその予想通りの答えが告げられた。
「決まっているだろう。ぼくがお姉ちゃんしか愛せない人間だからさ」
「……」
「ぼくはお姉ちゃんしか愛せない。だから偽装のために妻と結婚した。交換条件として妻がだしてきたのがあのメイドとの同居だ。ぼくは二つ返事でそれを受け容れたよ。だからぼくたちの関係は、今もってすこぶる良好なのさ」
予想通りだったその答えは、けれども最後に残った僕の希望を粉々に打ち砕いた。
お姉ちゃんしか愛せないから、偽装結婚をした。僕の母親しか愛せないから、形ばかりの妻を迎え世間の目をごまかした。
叔父様が口にしたその言葉が意味するところはひとつだ。
「そうだよ、マコちゃん。ぼくは最初からお姉ちゃんを――マコちゃんを迎える準備をしていたんだよ」
僕を抱くのをやめ、身体を離して両肩に手をかけ、真正面から覗き込むようにしてそう言う叔父様に、僕は完全に思考停止した。
「ぼくはね、マコちゃん。初潮が来る前にマコちゃんを孕ませるって決めてたんだよ」
「……」
「マコちゃんのお腹におりてくる卵をひとつも無駄にしない、ってね。だから本当に嬉しいんだ。ぼくの精子は初めておりてきたばかりのマコちゃんの卵にもぐりこんでひとつになった。これってまるでぼくとマコちゃんの出会いみたいじゃないかい?」
「……」
「お姉ちゃんと分かり合い、お姉ちゃんと愛し合い、お姉ちゃんにぼくの子供を産んでもらう。それが……それだけがぼくの人生の望みだった。叶わないかも知れないと思っていた……いや、叶うはずがなかったその望みを、マコちゃんが叶えてくれたんだ。ぼくは……ぼくはマコちゃんにどんなに感謝してもしきれない」
「……」
「結婚しよう、マコちゃん。法的には許されないけれど、ぼくたちの心の問題だ。二人だけの結婚式を挙げて、身も心もひとつになろう。子供のことなら心配いらない。妻が産んだことにする手はずは調っているし、その件についてはもちろん妻も了承済みだ。一人とは言わない、何人でもつくろう。ぼくはマコちゃんとなら何人でも子供をつくりたい。ああ、いくらでもつくってみせるさ。五人でも、十人でも!」
何も考えられないまま、僕は言葉を返すことができなかった。そんな僕をまた力強く抱きしめると、叔父様の言葉はいっそう熱を帯びていった。
「ああ愛してる、愛してるよお姉ちゃん。お姉ちゃんと結婚できるなんて! お姉ちゃんにぼくの子供を産んでもらえるなんて! 誓うよ、ぼくは生涯お姉ちゃんを愛し続ける。ぼくにはお姉ちゃんしか見えない。お姉ちゃんしか愛さない。しばらくセックスはおあずけだけど、すぐにまた愛し合えるようになる。子供が産まれたらまた毎晩のように中に出して、すぐに次の子供を妊娠させてあげるから――」
* * *
――叔父様が部屋を出て行ってしまったあとも、僕はベッドから立ち上がれなかった。
何も考えられなかった。何を思えばいいのか、何をすればいいのかわからなかった。
「うえぇえぇ……っ」
嗚咽のような声が部屋に響いた。僕の口から出た声だ。
だが、僕は泣いたわけではなかった。また吐いたのだ。
「……」
自分の吐き戻したものが寝間着の胸から股間にかけて汚しているのを呆然と眺めた。またつわりだろうか……けれど、それだけではないと思った。
「……気持ち悪い」
つわりの悪心は続いていた。だが、僕が口にしたのはそれとは別の『気持ち悪い』だった。
叔父様が実の姉と結婚し、子供を産ませたいと本気で願っていたこと。
そのためにレズビアンと偽りの結婚をし、その愛人まで住まわせていること。
姉の代わりに姪の僕を囲い込み、初潮を迎える前に妊娠させたこと。
そしてそれを『お姉ちゃんと結婚する、お姉ちゃんに子供を産ませる』と言い切ってはばからないこと。
……そのすべてが、耐え難いほど気持ち悪い。
「うえっ……うぇえぇぇ……っ」
また吐いた。
吐きながら初めて、自分が叔父様の子供を妊娠したのだという現実がリアルに胸に迫った。
……それもそのはずだ。あれだけ毎晩中出しされていたのだから妊娠するのも当然だ。僕の膣内にはいつも叔父様の精子が泳ぎまわっていたのだ。叔父様の言うとおり、初めて僕のお腹からおりてきた卵に、叔父様の精子が瞬く間に群がったのだろう。
生理がなかったから、僕たちは一日も休むことなくセックスを続けた。その結果、道ならぬ恋の果実が僕のお腹に宿った。僕は血のつながった叔父に、母親の身代わりとして孕まされたのだ。
「気持ち悪い……気持ち悪いっ……!」
ついに僕はそれを口に出した。一度口に出してしまうと、もう止まらなかった。
「ああもう、本当に気持ち悪い! ふざけんな! なんで僕があんな気持ち悪いオッサンの子供を産まないといけないんだよ!」
がらんどうの部屋に僕の声が虚しく響いた。
いつの間にか僕は泣き始めていた。頬を伝い落ちる涙をそのままに、僕はもうやけくそになって泣きながら喚き散らした。
「嫌だ! 絶対に嫌だよ! あんなオッサンの子供を産むなんて死んでも嫌だ! そうだ、誰が産んでやるものか! あんな気持ち悪いやつの子供を産むくらいなら、異世界に転生してオークに犯されてオークの仔を産んだ方がマシだ!」
何も考えられないまま衝動に任せて口走った一言だった。
だが、その一言を口にした瞬間、まるでそれを待っていたかのように忽然と、実に数ヵ月ぶりとなる選択肢が現れた。
――――――――――――――――――
1.オークに犯されて仔を産む。
2.叔父様の子供を産む。
※いずれか一方を言葉にして下さい。
――――――――――――――――――
10
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる