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13 お使い
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ご機嫌皆様。
主人公のシフォンです。
お城での裏話が続いたとお聞きしましたが、やっと本編に戻りましたわね。
作者は私に内緒事が多いので、付き合う此方も大変です。
と、まぁ物語に戻りましょうか。
では、皆様引き続きお楽しみくださいませ。
うん、今日は本当にいい天気。
正に晴天とはこの事でしょうか?
あー、気持ちいいですね~……………………はぁ。
…………うん、天気情報は別に要りませんか?
まぁ、仕方ないのですよ。こんなお話でもしないと、目の前の現実を誤魔化す事ができないのですもの。
実は、現在私は街中をある人物と歩いています。
よく知る人物なのですが、この人と外出するのは今回が初めてなのです。
今日は、いつも側にいてくれるミミリアも居ません。
「…………ルシア、私も持つから」
「いや、いいよ。まだ荷物増えるんだ、お前は余力残しておけ」
「う、うん、ありがと」
重そうな袋を持ったルシアに少し申し訳なく思う。
そう、今日私はルシアと街に出ているのです。
原因は師匠の一言。
『ちょっと必要な材料の買い出しにいって来てぇん?「二人で」ね?』
師匠いわく、荷物が多いだろうから二人で行ってこいと言う事だったらしい。
「それにしても、師匠の最後の言葉には心が折れかけたわ」
「ん?あぁ、あれか?「荷物持つのが嫌なら早く空間固定の魔法をマスターしなさい?」だったか?」
「そう、それよ!…………私、一応魔法自体は発動するけど、まだ細かな調整が出来ないのよ。師匠もそれ分かっててアノ発言だからね…………痛すぎて泣けるわ」
「まぁ、師匠も結構なスパルタだからな、諦めろよ?努力しろ」
「うーん、ソウネ」
一応、何気ない会話も出来てるし、この緊張をルシアに悟られてはいないだろうけど。
何故かしら。
やっぱり、今日の私はおかしい!
いつも口喧嘩してるから?
いつもと違って今日のルシアが優しいから?
初めての二人っきりだから?
何なに、この緊張!
この男との付き合いはかなり長い。今更緊張する間柄でもないはずなのに。
ヤダ!もぉ!
「ところでさ、聞きたいんだけど」
「ひゃい!」
いきなり質問ですか?考え事してたからビックリしちゃったじゃない!
そんな私に、不審そうな視線を向けるルシア。
「おい」
「な、何よ!どうしたの?」
「えっと、な…………いや、お前どうしたの?何か変だぞ」
「え?そ、そうかしら?はははは」
もう笑うしかない。
だって、どうしていいか分からないのだもの!
「で、何?どうしたの?」
「いや、…………たいした事ではないんだが」
「何?私に答えれる事ならいいわよ?」
その瞬間、ルシアの表情が強張った。
あら?質問して来た本人が言いにくそうにするなんて。それなら聞かなきゃいいのに。
ルシアはしどろもどろになりつつも、ゆっくりと口を開いた。
若干緊張もしているようだし…何なの?
「どうしたの?」
「いや…………な、お前さ、王太子で…」
その時。
「あれ、シフォン?」
ルシアが何か言いかけたと同時に現れた人物により、その質問が遮られた。
その人物は「私」を確認したと同時に満面の笑みで近づいて来る。
「え?アル」
そう、その人物とは幼馴染のアルフォンス。
彼はこの人混みの中、スルスルと人々を掻き分け、あっという間に私達の目の前にやってきた。
襟と袖口に細かな刺繍の入った水色のコートに細めの白いパンツって、どこの王子様!見目が良い分、こういう服は本当によく似合うんだから。
そう言えば、アルフォンスの私服姿久しぶりに見たかも。
幼少期はよく一緒に遊んでたけど、学園に入った位から殆ど学園外で会う事がなかったものね。
「シフ、こんな所でどうしたの?今日ミカは?」
「え?アルこそ!」
「僕は参考書の調達だけど」
「えっと、私は知り合いのお使い。…………あ、お兄様は今日の事知ってるから大丈夫なんだけ…ど」
「ん?何?」
「ふふ…いえ、アルも心配性ね。いつもありがとう」
「え、いや…うん」
私のセリフに対し、少し頬を染めるアルフォンス。そんな彼に思わず笑顔になる。
うん、相変わらずいい男よ。
アルも貴族令息なんだから、いい加減婚約者の一人くらい見つければいいのに。
家柄もあるから、婿に行くのが妥当なんだけど。
リリアナとか…………って、以前彼女から「ありえない!」って言われたばかりだったわ。
「シフ?」
「ん?い、いやぁ何でもないわよ?」
「そう?……あの、ところでさ」
「ん?」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、アルフォンスは急に表情を硬くすると、私の隣に視線を移した。
あ、そう言えば忘れてたわ。アルフォンスはルシアとは初対面なのよね。
って、あれ?おかしい。
大概私が誰といても動じないアルフォンスが、凄い緊張してる。
「アル?この人はルシア。私の友だち…かな?」
兄弟子です。なんて、正直に言えるわけもないし、ここは「友人」枠として紹介しておく。
「そう、なんだ…………えっと、アルフォンスと言います。初めましてルシアさん」
「あぁ、初めまして」
うん、何か緊張気味のアルフォンスに、とても迷惑そうなルシアの図って…………どうよ。
「あの、本当に…………友人なんですか?」
そんな中、アルフォンスはルシアに対し不審そうに質問を投げかけた。
対するルシアはと言うと、超面倒くさそう。
まぁ、彼の性格ではそうなるでしょうね。基本、ルシアは人付き合いが嫌いだし。
「アンタに話す義理はないと思うけど?初対面で失礼じゃない?」
「なっ!」
ちょっと!
このクソ真面目なアルフォンスに何爆弾ぶち込んでんのアンタ!
ただでさえ、私と見知らぬ男とのセットで不審がってるのに、火に油を注ぐんじゃない!
「た、確かにそうかもしれませんが、僕には彼女を守る義務があります!それに、彼女には、こっ、婚約者がいるんですよ!」
うん、守ってもらえるのはありがたいけど、別に義務ではないからね?
いちいち私の交友関係気にしてても仕方ないと思うわよ?てか、ほっといてほしい。
全く、アルフォンスはいつまで経っても私の「お兄ちゃん」なんだから。
「で?それが何?コイツが婚約してるのは知ってるし、別に俺とコイツが特別親しいとか全然ないから。変に勘繰るの辞めてもらえる?」
うん。
そう、私とルシアはアルフォンスが思っている様なそんな関係じゃない。
ただの兄妹弟子の関係。
なのに。
なんだか、ちょっとモヤっとする。
ルシアの言葉が、ちょっと辛い。
「もう、アル!いい加減にして!ルシアの事はお兄様だって知ってるのよ?変な事言わないで!」
思わず大きな声が出たけど、今の私には気にする事ができなかった。
自分の気持ちがよく分からないのだもの。
ルシアは、ただ「全然ない」って言っただけ。なのに、そんな事で辛くなる?
「…………ルシアも」
……………は!
そうか!
そうね、きっとそう!
「私とルシアは、私とアルみたいに昔からの「友人」なのよ!それなのにアルは頭から疑って!大体、ルシアもルシアよ、「全然ない」って何!私とルシアの友情ってそんなものなの?酷いわ!」
多分、私はルシアから他人行儀にされたのが辛かったんだわ!
幼い頃からの付き合いなのに、あんな冷たい言い方するんですもの。
それは辛くなるというものだわ!
「うっ…………ご、ごめんシフ」
「…………そうか、悪ぃ」
なんだろう、凄い剣幕で言ったせいか、目に見えて二人がへこんでる。
あれ、そんなに今のセリフ説得力ありました?
「まぁいい。俺はこのアルフォンスとか言う坊ちゃんが因縁つけてこなければ文句はない」
「す、すいません。僕も先走った事謝ります」
面倒くさそうに溜息を吐くルシアに、申し訳なさそうに首を垂れるアルフォンス。
結局、この後アルフォンスがルシアに謝りまくり、ルシアは別の意味で機嫌が悪くなったのでした。
「謝ってるじゃないですか!」
「謝りすぎだ!…だからいつもっ」
「え?」
「何でもない!取り敢えずそのクソ真面目何とかしろ!」
「だからすいませんって言ってるんです!何でどんどん機嫌悪くなるんですか!」
本当に、ここが往来の場だと、この二人はいつ気付くんでしょうか。
先程から通行人の方々の視線がものすごく痛いのですよ。
うん。
やはり、ここはいつものですわね。
ほっといて一人で行きましょう。
あー面倒くさいですわぁ。
でも、不思議なのよね?あの二人。
何故かしら…………ちょっと似てる気がするわ。
主人公のシフォンです。
お城での裏話が続いたとお聞きしましたが、やっと本編に戻りましたわね。
作者は私に内緒事が多いので、付き合う此方も大変です。
と、まぁ物語に戻りましょうか。
では、皆様引き続きお楽しみくださいませ。
うん、今日は本当にいい天気。
正に晴天とはこの事でしょうか?
あー、気持ちいいですね~……………………はぁ。
…………うん、天気情報は別に要りませんか?
まぁ、仕方ないのですよ。こんなお話でもしないと、目の前の現実を誤魔化す事ができないのですもの。
実は、現在私は街中をある人物と歩いています。
よく知る人物なのですが、この人と外出するのは今回が初めてなのです。
今日は、いつも側にいてくれるミミリアも居ません。
「…………ルシア、私も持つから」
「いや、いいよ。まだ荷物増えるんだ、お前は余力残しておけ」
「う、うん、ありがと」
重そうな袋を持ったルシアに少し申し訳なく思う。
そう、今日私はルシアと街に出ているのです。
原因は師匠の一言。
『ちょっと必要な材料の買い出しにいって来てぇん?「二人で」ね?』
師匠いわく、荷物が多いだろうから二人で行ってこいと言う事だったらしい。
「それにしても、師匠の最後の言葉には心が折れかけたわ」
「ん?あぁ、あれか?「荷物持つのが嫌なら早く空間固定の魔法をマスターしなさい?」だったか?」
「そう、それよ!…………私、一応魔法自体は発動するけど、まだ細かな調整が出来ないのよ。師匠もそれ分かっててアノ発言だからね…………痛すぎて泣けるわ」
「まぁ、師匠も結構なスパルタだからな、諦めろよ?努力しろ」
「うーん、ソウネ」
一応、何気ない会話も出来てるし、この緊張をルシアに悟られてはいないだろうけど。
何故かしら。
やっぱり、今日の私はおかしい!
いつも口喧嘩してるから?
いつもと違って今日のルシアが優しいから?
初めての二人っきりだから?
何なに、この緊張!
この男との付き合いはかなり長い。今更緊張する間柄でもないはずなのに。
ヤダ!もぉ!
「ところでさ、聞きたいんだけど」
「ひゃい!」
いきなり質問ですか?考え事してたからビックリしちゃったじゃない!
そんな私に、不審そうな視線を向けるルシア。
「おい」
「な、何よ!どうしたの?」
「えっと、な…………いや、お前どうしたの?何か変だぞ」
「え?そ、そうかしら?はははは」
もう笑うしかない。
だって、どうしていいか分からないのだもの!
「で、何?どうしたの?」
「いや、…………たいした事ではないんだが」
「何?私に答えれる事ならいいわよ?」
その瞬間、ルシアの表情が強張った。
あら?質問して来た本人が言いにくそうにするなんて。それなら聞かなきゃいいのに。
ルシアはしどろもどろになりつつも、ゆっくりと口を開いた。
若干緊張もしているようだし…何なの?
「どうしたの?」
「いや…………な、お前さ、王太子で…」
その時。
「あれ、シフォン?」
ルシアが何か言いかけたと同時に現れた人物により、その質問が遮られた。
その人物は「私」を確認したと同時に満面の笑みで近づいて来る。
「え?アル」
そう、その人物とは幼馴染のアルフォンス。
彼はこの人混みの中、スルスルと人々を掻き分け、あっという間に私達の目の前にやってきた。
襟と袖口に細かな刺繍の入った水色のコートに細めの白いパンツって、どこの王子様!見目が良い分、こういう服は本当によく似合うんだから。
そう言えば、アルフォンスの私服姿久しぶりに見たかも。
幼少期はよく一緒に遊んでたけど、学園に入った位から殆ど学園外で会う事がなかったものね。
「シフ、こんな所でどうしたの?今日ミカは?」
「え?アルこそ!」
「僕は参考書の調達だけど」
「えっと、私は知り合いのお使い。…………あ、お兄様は今日の事知ってるから大丈夫なんだけ…ど」
「ん?何?」
「ふふ…いえ、アルも心配性ね。いつもありがとう」
「え、いや…うん」
私のセリフに対し、少し頬を染めるアルフォンス。そんな彼に思わず笑顔になる。
うん、相変わらずいい男よ。
アルも貴族令息なんだから、いい加減婚約者の一人くらい見つければいいのに。
家柄もあるから、婿に行くのが妥当なんだけど。
リリアナとか…………って、以前彼女から「ありえない!」って言われたばかりだったわ。
「シフ?」
「ん?い、いやぁ何でもないわよ?」
「そう?……あの、ところでさ」
「ん?」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、アルフォンスは急に表情を硬くすると、私の隣に視線を移した。
あ、そう言えば忘れてたわ。アルフォンスはルシアとは初対面なのよね。
って、あれ?おかしい。
大概私が誰といても動じないアルフォンスが、凄い緊張してる。
「アル?この人はルシア。私の友だち…かな?」
兄弟子です。なんて、正直に言えるわけもないし、ここは「友人」枠として紹介しておく。
「そう、なんだ…………えっと、アルフォンスと言います。初めましてルシアさん」
「あぁ、初めまして」
うん、何か緊張気味のアルフォンスに、とても迷惑そうなルシアの図って…………どうよ。
「あの、本当に…………友人なんですか?」
そんな中、アルフォンスはルシアに対し不審そうに質問を投げかけた。
対するルシアはと言うと、超面倒くさそう。
まぁ、彼の性格ではそうなるでしょうね。基本、ルシアは人付き合いが嫌いだし。
「アンタに話す義理はないと思うけど?初対面で失礼じゃない?」
「なっ!」
ちょっと!
このクソ真面目なアルフォンスに何爆弾ぶち込んでんのアンタ!
ただでさえ、私と見知らぬ男とのセットで不審がってるのに、火に油を注ぐんじゃない!
「た、確かにそうかもしれませんが、僕には彼女を守る義務があります!それに、彼女には、こっ、婚約者がいるんですよ!」
うん、守ってもらえるのはありがたいけど、別に義務ではないからね?
いちいち私の交友関係気にしてても仕方ないと思うわよ?てか、ほっといてほしい。
全く、アルフォンスはいつまで経っても私の「お兄ちゃん」なんだから。
「で?それが何?コイツが婚約してるのは知ってるし、別に俺とコイツが特別親しいとか全然ないから。変に勘繰るの辞めてもらえる?」
うん。
そう、私とルシアはアルフォンスが思っている様なそんな関係じゃない。
ただの兄妹弟子の関係。
なのに。
なんだか、ちょっとモヤっとする。
ルシアの言葉が、ちょっと辛い。
「もう、アル!いい加減にして!ルシアの事はお兄様だって知ってるのよ?変な事言わないで!」
思わず大きな声が出たけど、今の私には気にする事ができなかった。
自分の気持ちがよく分からないのだもの。
ルシアは、ただ「全然ない」って言っただけ。なのに、そんな事で辛くなる?
「…………ルシアも」
……………は!
そうか!
そうね、きっとそう!
「私とルシアは、私とアルみたいに昔からの「友人」なのよ!それなのにアルは頭から疑って!大体、ルシアもルシアよ、「全然ない」って何!私とルシアの友情ってそんなものなの?酷いわ!」
多分、私はルシアから他人行儀にされたのが辛かったんだわ!
幼い頃からの付き合いなのに、あんな冷たい言い方するんですもの。
それは辛くなるというものだわ!
「うっ…………ご、ごめんシフ」
「…………そうか、悪ぃ」
なんだろう、凄い剣幕で言ったせいか、目に見えて二人がへこんでる。
あれ、そんなに今のセリフ説得力ありました?
「まぁいい。俺はこのアルフォンスとか言う坊ちゃんが因縁つけてこなければ文句はない」
「す、すいません。僕も先走った事謝ります」
面倒くさそうに溜息を吐くルシアに、申し訳なさそうに首を垂れるアルフォンス。
結局、この後アルフォンスがルシアに謝りまくり、ルシアは別の意味で機嫌が悪くなったのでした。
「謝ってるじゃないですか!」
「謝りすぎだ!…だからいつもっ」
「え?」
「何でもない!取り敢えずそのクソ真面目何とかしろ!」
「だからすいませんって言ってるんです!何でどんどん機嫌悪くなるんですか!」
本当に、ここが往来の場だと、この二人はいつ気付くんでしょうか。
先程から通行人の方々の視線がものすごく痛いのですよ。
うん。
やはり、ここはいつものですわね。
ほっといて一人で行きましょう。
あー面倒くさいですわぁ。
でも、不思議なのよね?あの二人。
何故かしら…………ちょっと似てる気がするわ。
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