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本編
【第7話】いつも通り
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登校中、夢叶の顔は自信に満ち溢れていた。相当勉強したんだなとひと目でわかる。
かく言う僕は全く勉強していない。はっきりいって勝ち目は無く、何故こんな不利な賭けに乗ったかはテストが終わったら分かる。
「何の命令しようかな~」
何も知らない人が聞いたら勘違いされそうだ。
「はっきり言って、負ける気しかしないんだが」
「あれ~?男の子が勝負前から弱気でいいんですか~?」
誰に似たのか、小学生のような煽りだ。誰がこんなものに乗るか。
「…ぶっ潰してやる」
僕だった。『ぶっ潰す』なんて娘に言う言葉じゃなかったけど、煽られたからお互い様だろう。
教室に着き、テストを受ける席に各々移動した。出席番号の都合上、僕が一番後ろで、夢叶が1番前になった。
テスト中、僕は夢叶の後ろ姿を見ていた。何度か悩む素振りをしたり、閃いたと言わんばかりにペンを走らせたりと、観察対象としては面白かった。僕はというと、適当に解答欄を埋めていた。授業を受けていないので当然である。思いついた言葉を当てはめていた。
そんなテスト期間は3日続いた。何度か『どうだった』と聞くと『まぁまぁかな』と返ってきた。
そしてテスト期間が終わった次の日、順位表が学校内の掲示板に貼られた。この学校は悪く言えばテスト結果を公開処刑するのだ。
「さてと、お父…真君の名前はどこかな~?」
2人で下から名前を見ていくと、先に見つかったのは。
「…あ、あれ?私の名前だ」
かなり上、全体の4分の1くらいの順位に夢叶の名前があり、その間に僕の名前はなかった。
「も、もう1回探すね」
「…無駄だぞ」
何度探しても僕の名前は無かった。当然だ。何故なら僕の名前はいつも。
『おい、またあいつが1位だよ』
『何でだよ、いつも寝てるばっかじゃねえか』
「…え?」
どこからか、嫌味が聞こえてきて、夢叶は1位の名前を見た。そこには、僕こと、時貞真の名前があった。点数は満点。圧倒的1位だった。
「…何で?いつも寝ている真君が1位?」
「…悪ぃかよ」
「…カンニングしたでしょ」
「してねぇよ!してても1位は取れねぇだろ!」
…僕はいつも1位だ。決して、この学校のテストが簡単という訳では無いし、僕はカンニングしている訳では無い。でも何故か1位をとる。だからいつもカンニングを疑われる。そしていつも通りなら、テスト結果の横に張り紙があるのだが。
「…あった」
「何が?」
「あれ。じゃ、指導室行ってくる」
僕は毎度毎度呼び出され、追試を受けさせられる。でも当然そこでも満点。教師達も疑わざるを得ないようだ。何度しても無駄なのに。
その日の周りの視線はいつもよりもキツかった。恐らく皆の頭の中には『卑怯者』のレッテルが貼られただろう。大した根拠もないくせに。
「いや~やっぱりお父さんって勉強できるんだね」
「…たまたまだぞ、あんなもん。しかも将来使わない知識ばかりだしな」
下校中、夢叶と雑談していた。実際、狙って満点を取っているわけじゃない。本当にたまたま問題を見たら答えが浮かんできて、それを記入しただけだ。そして再度言うが、決してこの学校のテストは簡単では無い。
「というか、勝負負けちゃったね、私」
「…そうだな」
「結構自信あったんだけどな」
「確かに、順位は高かったな」
「1位に言われたくないけどね。嫌味にしか聞こえないよ」
別にそんなつもりは無いんだがな。あくまで事実を言っただけだ。
「…で、どうするの?」
「何がだ?」
「命令。負けた方が何でも1つ言うこと聞くって約束でしょ?」
「…あぁ、あったなそういえば」
僕は悩む素振りを見せた。…何でもか。そうか。
「保留で」
「…へ?」
「今は思いつかないから、思いついた時に言うよ」
「…分かった!忘れないでね?」
「忘れねぇよ」
そんな、この日しかできない会話を交わしながら僕らは帰路を辿った。
…そしてその日の夜、僕らは何故か、一緒にお風呂に入っていた。
「「…は!?」」
かく言う僕は全く勉強していない。はっきりいって勝ち目は無く、何故こんな不利な賭けに乗ったかはテストが終わったら分かる。
「何の命令しようかな~」
何も知らない人が聞いたら勘違いされそうだ。
「はっきり言って、負ける気しかしないんだが」
「あれ~?男の子が勝負前から弱気でいいんですか~?」
誰に似たのか、小学生のような煽りだ。誰がこんなものに乗るか。
「…ぶっ潰してやる」
僕だった。『ぶっ潰す』なんて娘に言う言葉じゃなかったけど、煽られたからお互い様だろう。
教室に着き、テストを受ける席に各々移動した。出席番号の都合上、僕が一番後ろで、夢叶が1番前になった。
テスト中、僕は夢叶の後ろ姿を見ていた。何度か悩む素振りをしたり、閃いたと言わんばかりにペンを走らせたりと、観察対象としては面白かった。僕はというと、適当に解答欄を埋めていた。授業を受けていないので当然である。思いついた言葉を当てはめていた。
そんなテスト期間は3日続いた。何度か『どうだった』と聞くと『まぁまぁかな』と返ってきた。
そしてテスト期間が終わった次の日、順位表が学校内の掲示板に貼られた。この学校は悪く言えばテスト結果を公開処刑するのだ。
「さてと、お父…真君の名前はどこかな~?」
2人で下から名前を見ていくと、先に見つかったのは。
「…あ、あれ?私の名前だ」
かなり上、全体の4分の1くらいの順位に夢叶の名前があり、その間に僕の名前はなかった。
「も、もう1回探すね」
「…無駄だぞ」
何度探しても僕の名前は無かった。当然だ。何故なら僕の名前はいつも。
『おい、またあいつが1位だよ』
『何でだよ、いつも寝てるばっかじゃねえか』
「…え?」
どこからか、嫌味が聞こえてきて、夢叶は1位の名前を見た。そこには、僕こと、時貞真の名前があった。点数は満点。圧倒的1位だった。
「…何で?いつも寝ている真君が1位?」
「…悪ぃかよ」
「…カンニングしたでしょ」
「してねぇよ!してても1位は取れねぇだろ!」
…僕はいつも1位だ。決して、この学校のテストが簡単という訳では無いし、僕はカンニングしている訳では無い。でも何故か1位をとる。だからいつもカンニングを疑われる。そしていつも通りなら、テスト結果の横に張り紙があるのだが。
「…あった」
「何が?」
「あれ。じゃ、指導室行ってくる」
僕は毎度毎度呼び出され、追試を受けさせられる。でも当然そこでも満点。教師達も疑わざるを得ないようだ。何度しても無駄なのに。
その日の周りの視線はいつもよりもキツかった。恐らく皆の頭の中には『卑怯者』のレッテルが貼られただろう。大した根拠もないくせに。
「いや~やっぱりお父さんって勉強できるんだね」
「…たまたまだぞ、あんなもん。しかも将来使わない知識ばかりだしな」
下校中、夢叶と雑談していた。実際、狙って満点を取っているわけじゃない。本当にたまたま問題を見たら答えが浮かんできて、それを記入しただけだ。そして再度言うが、決してこの学校のテストは簡単では無い。
「というか、勝負負けちゃったね、私」
「…そうだな」
「結構自信あったんだけどな」
「確かに、順位は高かったな」
「1位に言われたくないけどね。嫌味にしか聞こえないよ」
別にそんなつもりは無いんだがな。あくまで事実を言っただけだ。
「…で、どうするの?」
「何がだ?」
「命令。負けた方が何でも1つ言うこと聞くって約束でしょ?」
「…あぁ、あったなそういえば」
僕は悩む素振りを見せた。…何でもか。そうか。
「保留で」
「…へ?」
「今は思いつかないから、思いついた時に言うよ」
「…分かった!忘れないでね?」
「忘れねぇよ」
そんな、この日しかできない会話を交わしながら僕らは帰路を辿った。
…そしてその日の夜、僕らは何故か、一緒にお風呂に入っていた。
「「…は!?」」
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