ソウル 魂

荒瀬雪之丞

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自分

僕の仕事

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「なんしよっと!また、もれとる」
先輩から怒号が、始まった。
僕の夜勤の仕事から、後藤さんのオムツから尿漏れが生じてしまったと早出の職員からお局である安川さんに報告があったようだ。

僕は言い訳もせずに事が治まることを待っていたが、朝からの申し送りで、15分ほど安川主任から指導を受けてしまった。

もう、この仕事も辞めようかなと思った時にいつも声をかけてくださる河野美津子さんがいる。
91歳の高齢であるが、元気である。
杖歩行で日々の移動は、出来ている。
認知症はあるが、日頃の会話は大丈夫なのだ。

僕は23歳、介護福祉士なるために親が勧める福祉系の高校に行き19歳で資格は取ったがまだ、実践が伴わず拘縮のある人の衣類の着替えやオムツ交換が、難しい状況だ。

そんな中にいつも「蒼チャン、今日もよろしくね」と握手を求めてくれるのが美津子さんだ。

上司から怒られて、落ち込んでいる時にいつも笑顔で、話しかけてくれる。
何故か、この方の笑顔を見ると癒やされるというか、何故か、この仕事をやめよと思う時、姿が見えて来る。

美津子さんも認知症とは言われているが、年相応の物忘れかな?と思うところである。
昔の記憶はよく覚えておられて、女学校の時に勉強などする事は無く軍事工場にトラックに女学生乗せられて行き、工場で、今考えると戦争の武器となる一部を作っていたと話された。
そして、その行く途中、25キロも離れた場所の工場に大勢トラックの荷台に乗っていたので、1人の女学生が、落ちて亡くなった事も鮮明に覚えていると話されていた。

この美津子さん、「女学校の時、好きな人がおらしたバッテン、そん人とは、一緒になられんだった…」と意味深な言い方だった。
よくよく聞くと志願兵で海軍に行かれて特攻隊で、亡くなったという事だった。
その後に美津子さんは役場職員の旦那さんと結婚されて子供も3人授かり一般の暮らしをされてきたようである。

僕の仕事は、きつい事もあるけど今まで生きてきた方々の歴史を聞けたり日本の為に生きてきた人達を支えてこられた人をまた僕たちが、支えているのだと思うと誇らしい仕事だとも思う。


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