地獄0丁目

XCX

文字の大きさ
43 / 113

43 夜伽<挿入>

 胡座をかくツヴェーテの膝の上で、ヴィカは再び口付けを受けていた。

「…は、ぁ…ンぅ…っ」

 両手で尻を揉みしだかれ、時たま指先が尻穴を掠める。その度に反応を示してしまい、唇が離れる。だがすぐにツヴェーテに距離を詰められて唇を奪われてしまう。
 体がびくびくと震える度、尚も元気に勃ち上がった少年の分身が王の寝巻きに擦れる。それだけでもヴィカにとっては強すぎる刺激だ。

「ツヴェ、テ…服、脱がな…ぃの…?」

 口付けの合間にどうにか尋ねてみる。一糸纏わぬ姿なのはヴィカだけで、ツヴェーテの着衣は全く乱れていない。

「脱がせてくれるか、ヴィカ?」

 両手が塞がっていて脱げない、と王は伴侶の臀部を揉んで見せる。彼が面白がって言っているのは、にまにまと悪い笑みを浮かべた姿からも明白だ。
 だが初心なヴィカはそれに気づかず、こくりと頷いて承諾した。絶えずもたらされる、緩やかな快感に思考は蕩けてしまっているのだ。

「…はぁ…っ、は…」

 熱のこもった息を吐きながら、ヴィカの指がツヴェーテの寝巻きの釦をゆっくりと外していく。
 行為に夢中になっているヴィカの背後で、ツヴェーテは魔力を用いて香油の蓋を開けた。瓶がゆっくりと傾き、臀部から離れた王の掌に香油を垂らす。両手に満遍なく香油を纏わせると、ツヴェーテは人差し指を尻穴にあてがった。ぴっちりと閉じた穴の皺を一つ一つを撫でるかのように優しく押し解す。

「ア…ッ!?」

 人差し指を中に差し込めば、驚きの声を上げたヴィカの手が止まる。第一関節のみを埋めたままでじっと待てば、彼は再び伴侶の寝巻きを脱がしにかかった。それと同時に、ツヴェーテも指を深く侵入させた。

「ン…ぁ、…っ!」

 香油を中に塗りこむように動かせば、ヴィカが嬌声を上げる。昨日見つけた弱い部分を指の腹で押すように刺激してやれば、襞がきゅうと絡みついてくる。

「…ふ、ぅ、…んく…」

 王の寝巻きを脱がすはずの手は、声を抑えようと口元にあてられていた。釦がいくつか外されただけで、ツヴェーテの着衣は先程と変わりない。

「ヴィカ、脱がせてくれるのだろう?」

 念押しするように言い、ヴィカを促す。邪魔されながらも寝巻きを剥ごうと試みる、健気な伴侶の姿に堪らなく煽られる。
 彼の反応を窺いながら、人差し指に続き中指、薬指を挿入する。中は体温で温められた香油が行き渡り、熱く蕩けていく。

「…ツヴェーテっ…ゆび…ぁ、い、…ぃじわる…っ」

 ツヴェーテがわざと指で妨害しているとようやく気がついたらしい少年が王を非難がましく睨みつけるが、迫力は全く無い。むしろツヴェーテを更に愉しませるだけだった。

「意地の悪い俺を嫌いになるか?」

 自分でも狡い訊き方をするものだ、とツヴェーテは思った。嫌いかと問われて、相手を正面切って嫌いだと言えるのは余程豪胆な者か痴れ者だけだ。大抵の者は否定するか、咄嗟に言葉を濁すかのどちらかだ。
 王の予想通り、ヴィカは頭を左右に振って否定した。

「…そ、なこと…で、きらぃ…なるわけ、…なぃ…っ」

 強い意志の篭った眼差しに、その言葉は偽りでなく本心なのだという事がわかる。
 無垢で真っ直ぐなヴィカの心に、ツヴェーテは下腹部に熱が集中していくのが分かった。股の間の欲望の塊が、苦しいくらいに硬く張り詰めていく。
 愛おしいという感情が胸の中で生まれる。だが、それと同時に本能に任せて少年の中を穿ち、思う存分泣かせたい、と王の加虐心が疼く。その後は勿論、どろどろに甘やかしてやるのだが。

「…ひぅ…っ」
「ヴィカ、脱がせ」

 ヴィカの体内から指を抜き去る。頭の上に疑問符の浮かんだ彼をじっと見つめ、急かすように訴える。全身で暴れまわる熱を抑え込むのに必死だった。
 飢えた獣のように鋭い光をたたえた瞳に、少年は食われてしまうと思った。ごくりと生唾を飲み込む。だが、決して恐怖は感じない。むしろ、全身の細胞が歓喜で震えるような気さえする。
 言いつけられた通り、ヴィカはツヴェーテの釦を全て外した。肩から腕にかけて手を滑らせれば、極上の生地で作られた寝巻きはするりと下へ落ちる。

「…わ、ぁ…ンっ…!」

 袖から腕を抜いたツヴェーテに力強く抱き寄せられたかと思えば、唇を塞がれる。呼吸すら許さないような口付けに、経験値の少ないヴィカはされるがままだった。口端から唾液が垂れて、胸や腹にしたたり落ちていく。

「ンむ、ぅ…っ」

 指が再び中をこじ開ける。根元まで入って来ているのがわかって、思わず体が逃げを打とうとする。腰にまきつく腕のせいで、どこにも逃げ場など無いのだが。
 体を動かしたことで、ヴィカの性器の先端がツヴェーテの割れた腹筋に擦れる。先走りが潤滑剤の役割を果たして、ヴィカが快感に身を震わせる度にぬるぬると滑る。絶えることのない強い快感に晒されて、ヴィカは何も考えられなくなっていた。それでも、更なる快楽を求めて、少年は無意識に腰を揺らめかせて己の屹立を王の腹で扱いた。

「…ぁ、ん…ン、ふ…」

 ツヴェーテは伴侶の痴態に気がつき、舌を吸い上げながらほくそ笑んだ。薄目を開ければ、目の前で涙に濡れた睫毛が震えている。見られていることに気がつかず、夢中で腰を動かす様は愛らしい事この上ない。

「ヴィカ、そんなに俺の腹は気持ちが良いか」
「…っ、え…?…あ!?…ゃ、あア…ーッ!」

 言葉の意味を理解出来ていないヴィカの中から指を抜いたツヴェーテは、間髪入れずに男根を一息に挿入した。
 突如体内を襲った圧迫感と衝撃に、少年は背を仰け反らせて悲鳴を上げた。赤く染まった小ぶりな性器の先端から、押し出される形で精液が互いの腹を汚す。
 食い千切らんばかりの後孔の強い締め付けに、さすがのツヴェーテも顔をしかめた。歯を食いしばらなければ、一瞬で持っていかれそうになっていた。
 引き攣る肢体が弛緩するのを待った王は、伴侶の呼吸が落ち着くのを待って律動を開始した。

「あっ、あ、はぁ、っア」

 腰を突き上げる度に、開きっぱなしのヴィカの口から嬌声が漏れる。大きく上下に揺さぶられるのが怖いのか、首元にしがみついてくる。

「や、ぁ…!?」

 密着する体の間に手を差し入れて、二度も精を放って萎えつつある陰茎を扱く。達したばかりで敏感になっているであろう尿道を親指の腹で擦れば、少年が泣き喘ぐ。

「…ンゃ、…ま、待って、…ぇ、ぅっ…」
「悪いが、無理だ」

 待って止まって、と息も絶え絶えの伴侶の懇願を聞き入れてやりたいとは思うのだが、熱く絡みついてくる肉壁のあまりの気持ち良さに腰が止まらない。それに、強い刺激に涙を流しながらも善がる姿は何とも扇情的で煽られるのも事実だ。
 肉付きの薄い臀部を鷲掴みにして、己の怒張に強く押し付ける。奥を貫く度に、襞がきゅうきゅうと吸い付いてくる。まるで精液をねだるかのような動きに、射精感が募っていく。
 はっ、はっ、とケダモノじみた息遣いが聞こえる。ヴィカの体を貪る己はまさしく獣だとツヴェーテは自嘲した。

「…も、ぅ…でちゃ、あ、あーッ!」
「…っく」

 搾り取らんとするきつい締め付けに耐え切れず、ツヴェーテも絶頂を迎えた。少年の体内の奥深くに一滴残らず種付ける。

「ヴィカ、」
「…ん」

 涙を拭うように頬を撫でれば、ヴィカがゆっくりと目を開く。泣きじゃくっていたせいで、目元が真っ赤に染まっている。

「ヴィカ、悪かった。怖がらせたな」
「…びっくり、した…」

 弱々しい声とあえかな姿に、ツヴェーテは思わず苦笑した。欲望のままに彼を手酷く虐めてしまったことに罪悪感を抱く。
 膝の上に抱えた体を優しく横たえる。汗に濡れた前髪をかき上げてやり、口付けを振らせる。ヴィカは気持ちよさそうに目を細めた。

「もう一度、良いか」
「え…ま、まだするの…?」
「次は優しくする」

 体内から出て行こうとしない熱の塊にヴィカは戸惑った。疲弊した体は休息を求めているのだが、ツヴェーテの熱い眼差しを受けて最終的には頷いて受け入れたのだった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。