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あと7日 うまく笑えてるかな
しおりを挟むたとえば、キミが前のめりに屈んだその一瞬に、さらっとキミの前を陣取るような俺。
傷つくキミが見たくないから何てのは建前で、ただ何となく、キミの全部を知っているのは俺だけであって欲しかった。
だけどそんな男の我儘で、キミに嫌な思いもさせたくない。
「どうかしたの?」って無邪気な顔で尋ねてくる君に、俺はうまい言い訳も思いつかずに「なんでもない」って曖昧に返す。
少し意地悪な顔で怪しんでくる君の距離感がゼロ距離になったとき。
その柔らかな感触に、うまく笑えている自信が無くなった。
どうか、今彼女も俺と同じ顔をしていますように。
たとえば、家が隣同士なことを口実にキミを部屋に誘う俺に、何の警戒もしないで二つ返事をくれるキミ。
俺だけが特別だって信じたいのに、自信が無くて。
キミが他の人と予定を付ける前に、俺の方からキミの予定を埋めてしまう。
ただの友達に嫉妬してしまう自分が、ひどく情けない。
もしかして、キミが俺の予定を気に掛けてくれるのも、同じ理由だったりするのだろうか?
「そんなわけないよな……」なんて自分に言い聞かせた俺の瞳には、いつも通り物憂げな顔で授業を受けるキミの姿が映っていた。
勉強嫌いなのに、授業は真面目に受けるキミ。
そんなキミを、どうしてこんなにも遠くに感じるのだろう。
ついさっき送ったラインの返信には、「ちゃんと授業を受けないと、もう勉強教えてあげないよ」とだけ返ってくるものだから、余計にキミの事がわからなかった。
キミは一体どんな気持ちで、こんなにも早く返信を返してくれたのか。
どうしよう、次の休み時間は、なんだかうまく笑えない気がする。
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