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あと3日 君の喜ぶ顔が見られればそれでいい
しおりを挟むたとえば、キミから返ってきた「嬉しい」という一言に、勇気を出してよかったと安堵する俺。
変わらないように、ずっとわからないふりをしてきたのに。
そんな自分自身の気持ちに、名前をつけることをためらわなくなった。
キミと二人で遊ぶ約束をするなんて、これが初めてじゃないのに。
人生で一番緊張した誘い文句の送り相手は、キミだった。
今ならはっきりとわかる。
変わりたい。キミと恋人になりたい。
もっとキミを、今まで以上に近くに感じたい。
どんどん欲張りになっていく自分自身の気持ちに、嘘がつけなくなっていった。
明日は少し背伸びをして、髪でもセットしてみようか?
そう思ったが、からかわれるのが嫌ですぐに思い直す。
キミに格好いいと思われることも大事だけど、それでも俺は、やっぱり君の喜ぶ顔が一番に見たい。
変に意識して、気まずい空気になるなんてことが一番嫌だった。
俺にとってはもう、キミは好きな人である前に、大切な人だったから。
俺はキミの好きなものがいっぱい詰まったデートプランを用意して、今夜は早めに眠りにつくことにした。
たとえば、待ち合わせ場所で一人佇んでいた俺に、必死な様子で駆け寄ってきたキミ。
最初の方は、まるでまだしてもいない告白を一方的に拒絶されたような気持ちになっていたのに。
キミの姿を見た瞬間に、そんな不安は一瞬で吹き飛んでしまった。
いつもは時間ぴったりにやってくるキミが、今日は珍しく一時間も遅れてやってきたのだ。
「なにかあったの?」って聞くと、柄にもなく泣きそうな顔をして何度も謝ってくるキミに、俺はただキミを安心させることだけを考えていた。
「待ってる間、どんな服で着てくれるのかなって色々想像してた」
すぐに口に出した言葉は、今までの俺なら絶対に出なかった言葉だ。
だけどキミを安心させたいって思うと、その言葉は自然と口から零れ落ちた。
キミが遅れてきた理由も、今の俺なら察しが付く。
普段はしないハーフアップに、まだ見たことのない彼女の私服。
経験不足の俺じゃ、まだまだリップや髪の長さなんかてものにまでは、気づけないかもしれないけど。
それでも、恋愛に興味を持ってから、キミへの見方が大きく変わった。
キミはとても可愛い。
そしてお洒落をしてきたキミは、きっと世界で一番かわいい。
「実際のキミは、もっと可愛かった」
俺の言葉に、初めてキミが鼻まで真っ赤にして照れてくれた。
まるで、さっきまで泣きそうな顔をしていたのが嘘みたいに、顔を真っ赤にして照れていたんだ。
良かった。
あんなに格好のつかなかった臭いセリフも、少しは板についてきただろうか。
もしそうなら、あの失敗も無駄じゃなかったと思えるのだから、後悔なんてほんの少しのスパイスでしかない。
おかげで好きな人の色んな表情が見れた。
どれもみんな可愛くて、とにかく愛おしい。
だけどやっぱり、一番に見たいのはキミの喜ぶ顔だから。
俺はすぐに「もう元気になった?」って聞いて、ちょっぴり甘酸っぱかった変な雰囲気を一旦リセットする。
惜しい気もするが、これでいい。
恋をすることで、俺も少し変わってしまった。
キミに全力で楽しんでもらうためなら、きっと少しでも自然体の方がいいから。
俺はいつも通りに振舞って、キミと楽しい一日を過ごすことに全力を注ぐんだ。
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