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愛美の気持ち、三波の気持ち
しおりを挟むどの位グッタリしていただろう。荒かった呼吸が落ち着き、汗まみれの体も冷えてきた。
「ゴメン、重いだろ」
体重の大半を愛美にかけていた三波は慌てて横に体を捻った。だけど、正直もう少しくっついていたくて、体は離したけど、代わりに愛美の手を握った。恥かしいから布団の中で。
「……蓮華君。よかったね、あの…あれ、治って」
「あ、ああ。うん」
今更恥かしいけれど、この年でED治療は情けないから勃起して助かった。
でも、三波はそれよりもっと気になっていた、愛美に聞いてみたかった事があったので、この際と思い口を開いた。
「なぁ……あのさ……その、な。さっき、コナミ抜きでエッチしただろ。愛…、香川、感じた?気持ちよかった?その……俺だけで……」
今までずっとコナミと一緒だったのだ。愛美はコナミ抜きの、三波だけのテクニックでちゃんと気持ちよくなれたのだろうか。イッてたのは知っている。でもイッたからって、今までのように満足したかどうかはわからない。今までのエッチよりうんと下の満足度だったかもしれない。
そう思うと何となく不安で、どうしても聞きたかったのだ。
三波の質問を理解した愛美は赤くなりながら頷いてくれる。
「だ、大丈夫。気持ちよかった、よ。何でそんな事……」
「いや、だってさ……今まではコナミがあちこち愛撫してただろ。俺の手は2本しかないんだし……物足りなかったんじゃないかなって」
「え……そ、そんな事……。だって、最近はずっとみな、蓮華君とだけエッチしてたよ。コナミちゃんはあんまり参加して無かったっていうか……」
ええ?そうだっけ???
愛美に言われ思い返してみるが、全く浮かんでこなかった。コナミはいつも一緒にいたから、エッチの時にも一緒だったような気がしていたが……。
「それってコナミがおかしくなってから?」
「ううん。もっと前だよ。確かにコナミちゃん、全く出てこないって事はなかったけど、しばらく前からエッチの最中は潜んでて、エッチが終わったら参加してたっていうか……その、色んな、その……液体を吸収してたっていうか……」
三波は気付かなかったが、愛美はそう感じていたらしい。
「蓮華君がコナミちゃんにそう言ってるんだと思ってた。だって先生とかはコナミちゃんとエッチしてるって聞いてたから。その…だからあた…し………って、思って……」
「へ?」
「だから、その……蓮華君があたしの事、その……自分だけのにしてるのかなって……」
「・・・・・・・・・・・・・」
愛美を自分だけの物にする。ひとりじめ?
言われた言葉が脳内に浸透するまでに時間がかかった。
「あっ、ごめっ……その、あたし、別にそんな図々しい事、その……ごめ、なさ……ぃ。勿論コナミちゃんは好きだよ。エッチの時も気持ちよくしてもらったし。でも、その……」
黙り込んだ三波に愛美が焦って言い募る。
だが、待て。今のは、愛美が三波に独り占めして欲しがってるように聞こえたのだが。と、言う事は愛美は三波が―――――――――好き?
いやいや。待て待て、待て俺、ちょっと待て。最初は思いっきりレイプだったのだ。そんな三波に恋愛感情など抱けるか?その後だって、あれこれ色々無体な事をやっちゃったし。
でも、ここ最近の愛美は――――――美智子に嫉妬してくれたし。あの時、エッチしたかったって言ってたのも、もしかして単なる欲求不満じゃなくて三波とエッチしたいと思ってくれてたのだろうか。
もしかして、もしかして……愛美は俺が好きなんだろうか?
俺は―――――――愛美が好きなんだろうか?
真紀子も好きだし弥生も好きだ。
でも、愛美は最初から三波の特別だった。
最初は遠くから見ているだけで満足してた。優しくて可愛い愛美と、クラスメートとして側にいて、たまに口を聞けるだけで満足してた。付き合いたいとか、そんな望みはもちろん無かった。
そうだ。
だって、愛美と三波じゃつりあわないから。
そう思っていたのに、あの日、偶然耳にした会話が全てを壊したんだ。
あの時、三波の中で眠っていた感情が爆発したのは結局、三波が愛美を好きだったからだろうか?知らず片思いしていた愛美から対象外だと言われ、それで感情が爆発したんじゃないだろうか。
その後の事は―――――――ダメダメだけど、でも、奇跡的に上手くおさまった。
本当は自分にそれを言う資格は無いのかも知れない。でも、今、この雰囲気なら、言っても許される気がする。
「香川、俺……香川が好きだよ」
「え?」
「俺と、大学に行っても俺と付き合って下さい。コナミがいない俺なんて、取り得の無い目立たない男だけど、でも、俺は香川が好きだ。散々エッチしといて今更こんな事言うの、気が引けるけど……でも、香川が好きだ」
言いながら、自分言葉で必死になった三波はベッドから飛び起きて、愛美に頭を下げた。土下座?正座した格好で、シーツに額をこすりつけていた。
愛美は呆然としていたものの、すぐにクシャクシャの顔で笑ってくれた。
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