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エピローグ
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もう私たちは立派なヒヨコだと思います。
これだけ卵を食べているのだから。ふたり連れ添って、ピヨピヨ鳴きたいのです。だから、お店の定休日にも関わらず私はキッチンに立っている。
スクランブルエッグをふあふあに作り上げて、耳を切り落としたパンに挟んだ。耳を切り落とすのは、私ではなくて彼の好みだから。そして、大根の葉で作った炒め物をタッパーに詰める。
サンドイッチにラップを軽く巻いて、カゴに包み込む。
お店の鍵を閉めて、「これから伺います」とメールを打った。
マスクを口に当てその上からマフラーで口元を覆う。
パンデミックが世界を変えて、外出する人はほとんどいなくなった。
ニュースは連日その日の感染者数を読み上げて、お決まりの感染対策を告げる。
梨央さんの勤め先はすぐに環境を整えて、ほとんどの社員が在宅勤務となったらしい。でも、みんなそうじゃない。外で仕事しなければいけない人が大勢いるのだ。
これから飲食業に、「piyo-piyo」にも暗い影を落とすだろう。
私はどうなるんだろう......。
歩道橋を登りきると、お気に入りのスカートを冷たい風が揺らした。ここから眺める夕方の景色はイルミネーションで彩られている。クリスマスの到来までもう少しだった。
梨央さんのところにお弁当を届ける。これは、ちょっとしたプレゼントなのです。
今も忘れない恋の歌......、なんて少し口ずさんでみた。
街角に流れるリズムが、私たちの再会を祝福しているようだった。
私からあなたへ、この<デリバリー>がこれからも続けられたらいいな。
これだけ卵を食べているのだから。ふたり連れ添って、ピヨピヨ鳴きたいのです。だから、お店の定休日にも関わらず私はキッチンに立っている。
スクランブルエッグをふあふあに作り上げて、耳を切り落としたパンに挟んだ。耳を切り落とすのは、私ではなくて彼の好みだから。そして、大根の葉で作った炒め物をタッパーに詰める。
サンドイッチにラップを軽く巻いて、カゴに包み込む。
お店の鍵を閉めて、「これから伺います」とメールを打った。
マスクを口に当てその上からマフラーで口元を覆う。
パンデミックが世界を変えて、外出する人はほとんどいなくなった。
ニュースは連日その日の感染者数を読み上げて、お決まりの感染対策を告げる。
梨央さんの勤め先はすぐに環境を整えて、ほとんどの社員が在宅勤務となったらしい。でも、みんなそうじゃない。外で仕事しなければいけない人が大勢いるのだ。
これから飲食業に、「piyo-piyo」にも暗い影を落とすだろう。
私はどうなるんだろう......。
歩道橋を登りきると、お気に入りのスカートを冷たい風が揺らした。ここから眺める夕方の景色はイルミネーションで彩られている。クリスマスの到来までもう少しだった。
梨央さんのところにお弁当を届ける。これは、ちょっとしたプレゼントなのです。
今も忘れない恋の歌......、なんて少し口ずさんでみた。
街角に流れるリズムが、私たちの再会を祝福しているようだった。
私からあなたへ、この<デリバリー>がこれからも続けられたらいいな。
応援ありがとうございます!
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『ふあふあ』という表現がとても柔らかく感じて、それがそのまま、お店の空気感や2人の雰囲気だったと思います。
合間のレシピが美味しそうでした。
感想をありがとうございました!
「ふあふあ」はこの作品を書いた当初から決めていたキーワードでした。
あまり抑揚のないストーリーなのですが、そう言ってもらえると励みになります~