148 / 159
【第五章】日常恋愛編『きみがいるから』
第148話 ほーりゅう
しおりを挟む
すぐに寝たせいか、わたしは爽やかに起床し、年の初めの朝を迎えた。
さっそく、予定通り叔母のところで新年の挨拶をしてから、おせち料理とお雑煮をいただいた。
お年玉を貰って、すぐに自分の部屋へ戻る。
このあとに叔母の仕事が入っているために、長居は逆に迷惑になるからだ。
戻る前に、マンションの一階にある郵便受けから年賀状を取ってきた。
引越しをするまで交流があった友人たちから届いた変わらない量の年賀状と、新たに知り合った友人たちからの年賀状。
そのせいで、昨年よりかなり多い。
嬉しく思いつつ、出し忘れがないか、名前を確認しながら眺めていった。
新しく増えた女友だちはマメできっちりきていたし、わたしからの出し忘れもないからオーケーだね。
けれど、京一郎やジプシーからは届いていなかった。
まあ、男子ってものは、そんなものだろうな。
それからわたしは夢乃の家に向かうべく、外出の支度をはじめた。
「ほーりゅう、ごめんなさい!」
夢乃の家の玄関を開けたとたんに、振袖を着て薄化粧までした夢乃が、待ち構えていたように手を合わせてわたしへ謝ってきた。
なんのことかとびっくりしたわたしに、夢乃の後ろについて玄関まで出てきていたジプシーが言葉を続ける。
「島本夏樹から連絡があった」
「え? それって」
「ほーりゅう、明子ちゃんたちにも謝っておいてほしいの。ごめんねって」
そう告げると、なんと夢乃はそのまま、小走りに飛びだしていってしまった。
呆気にとられているあいだに置き去りにされたわたし。
えっと……。
どうすればいいの?
「とりあえず、あがったら」
ジプシーが声をかけてきた。
我に返ったわたしは言われるままに、靴を脱ぐ。
居間に入ると夢乃の両親がそろっていたので、慌ててわたしは新年の挨拶をした。
そして、ジプシーに促され、二階の彼の部屋へとあがる。
「夢乃は、おまえや藤本たちと初詣に行くつもりにしていたが、ついさっき、彼からこっちに戻ったと電話が入ったんだ」
わたしへベッドの縁へ座るように指示したあと、ジプシーは、勉強机の上に置いていた腕時計を手にとってはめながら説明してくれた。
「え? でも、島本さんって怪我していたよね。そんなにすぐに、こっちへ戻ってこられないと思ったんだけれどなぁ」
素朴なわたしの疑問に、ジプシーは淡々と答える。
「肩に受けた弾傷のことだろ。彼の鍛え方なら五日もあれば充分に動けるだろう。俺も以前に一度、似たような怪我をしたときも五日で抜糸したし」
――ちょっと待って?
それって、ジプシーも昔、同じように撃たれたことがあるって意味になるよね。
昔から危ないことをしているんだなぁ。
そして、島本さんが帰ってきたってことは、我龍も一緒に、こちらに戻ってきたって意味になるのかと、わたしは、ぼんやり考える。
腕時計に続いて財布もジーンズの後ろポケットに入れたジプシーが、クローゼットから上着をとる姿を見たわたしは、ふいに、あれっと思った。
「ジプシーも、いまから出かけるの?」
すると、ジプシーは当たり前のような顔をして、わたしへ告げた。
「おまえは藤本たちと、いまから初詣に行くんだろ。俺も一緒に行くから」
――え?
なんでそうなるの?
「ちょっと! ほーりゅう、なんで委員長が一緒なのよ!」
待ち合わせ場所でジプシーの姿を確認した明子ちゃんは、わたしの腕をとると、少し離れたところまで引っ張っていく。
そして、押し殺した声で詰め寄ってきた。
「だって、夢乃が用事でこられなくなったのよ。そうしたら、代わりにくるって」
「その理屈がわかんないんだって!」
「まあまあ。きちゃったものは仕方がないじゃない。委員長って考えているほど害はなさそうだから、取りあえずいいんじゃないの? はやく行こうよ」
紀子ちゃんがあいだに入って、ひどい言い方だけれどまとめてくれる。
そのため、なぜかわたしと明子ちゃん、紀子ちゃん、ジプシーという異色のグループで電車に乗り、四駅先にある大きな神社へ、初詣に向かうことになった。
さっそく、予定通り叔母のところで新年の挨拶をしてから、おせち料理とお雑煮をいただいた。
お年玉を貰って、すぐに自分の部屋へ戻る。
このあとに叔母の仕事が入っているために、長居は逆に迷惑になるからだ。
戻る前に、マンションの一階にある郵便受けから年賀状を取ってきた。
引越しをするまで交流があった友人たちから届いた変わらない量の年賀状と、新たに知り合った友人たちからの年賀状。
そのせいで、昨年よりかなり多い。
嬉しく思いつつ、出し忘れがないか、名前を確認しながら眺めていった。
新しく増えた女友だちはマメできっちりきていたし、わたしからの出し忘れもないからオーケーだね。
けれど、京一郎やジプシーからは届いていなかった。
まあ、男子ってものは、そんなものだろうな。
それからわたしは夢乃の家に向かうべく、外出の支度をはじめた。
「ほーりゅう、ごめんなさい!」
夢乃の家の玄関を開けたとたんに、振袖を着て薄化粧までした夢乃が、待ち構えていたように手を合わせてわたしへ謝ってきた。
なんのことかとびっくりしたわたしに、夢乃の後ろについて玄関まで出てきていたジプシーが言葉を続ける。
「島本夏樹から連絡があった」
「え? それって」
「ほーりゅう、明子ちゃんたちにも謝っておいてほしいの。ごめんねって」
そう告げると、なんと夢乃はそのまま、小走りに飛びだしていってしまった。
呆気にとられているあいだに置き去りにされたわたし。
えっと……。
どうすればいいの?
「とりあえず、あがったら」
ジプシーが声をかけてきた。
我に返ったわたしは言われるままに、靴を脱ぐ。
居間に入ると夢乃の両親がそろっていたので、慌ててわたしは新年の挨拶をした。
そして、ジプシーに促され、二階の彼の部屋へとあがる。
「夢乃は、おまえや藤本たちと初詣に行くつもりにしていたが、ついさっき、彼からこっちに戻ったと電話が入ったんだ」
わたしへベッドの縁へ座るように指示したあと、ジプシーは、勉強机の上に置いていた腕時計を手にとってはめながら説明してくれた。
「え? でも、島本さんって怪我していたよね。そんなにすぐに、こっちへ戻ってこられないと思ったんだけれどなぁ」
素朴なわたしの疑問に、ジプシーは淡々と答える。
「肩に受けた弾傷のことだろ。彼の鍛え方なら五日もあれば充分に動けるだろう。俺も以前に一度、似たような怪我をしたときも五日で抜糸したし」
――ちょっと待って?
それって、ジプシーも昔、同じように撃たれたことがあるって意味になるよね。
昔から危ないことをしているんだなぁ。
そして、島本さんが帰ってきたってことは、我龍も一緒に、こちらに戻ってきたって意味になるのかと、わたしは、ぼんやり考える。
腕時計に続いて財布もジーンズの後ろポケットに入れたジプシーが、クローゼットから上着をとる姿を見たわたしは、ふいに、あれっと思った。
「ジプシーも、いまから出かけるの?」
すると、ジプシーは当たり前のような顔をして、わたしへ告げた。
「おまえは藤本たちと、いまから初詣に行くんだろ。俺も一緒に行くから」
――え?
なんでそうなるの?
「ちょっと! ほーりゅう、なんで委員長が一緒なのよ!」
待ち合わせ場所でジプシーの姿を確認した明子ちゃんは、わたしの腕をとると、少し離れたところまで引っ張っていく。
そして、押し殺した声で詰め寄ってきた。
「だって、夢乃が用事でこられなくなったのよ。そうしたら、代わりにくるって」
「その理屈がわかんないんだって!」
「まあまあ。きちゃったものは仕方がないじゃない。委員長って考えているほど害はなさそうだから、取りあえずいいんじゃないの? はやく行こうよ」
紀子ちゃんがあいだに入って、ひどい言い方だけれどまとめてくれる。
そのため、なぜかわたしと明子ちゃん、紀子ちゃん、ジプシーという異色のグループで電車に乗り、四駅先にある大きな神社へ、初詣に向かうことになった。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる