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どうやら歓迎されていないようです
もしかして、罠?
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放課後の図書室は、鍵はかかっていなかった。
けれど、電気は消えていて、いつも図書室にいる係の先生の姿もなかった。
当然、生徒の姿はひとりも見当たらない。
わたしは図書室へ入ると、静かに扉を閉めた。
実技試験で残っている私は、別に見つかってもいいんだけれど。
あの彼は、本当は学校を出なければならないはず。
わたしに情報をくれるから彼も校内へ残ったのに、先生に見つかって叱られたら申しわけない。
彼の強引な約束のやり方を思いだしたりもしたけれど、根っから他人を悪く思えないわたしは、スルーすることにした。
凪先輩の強引な性格に比べたら、可愛いものだ。
わたしを呼びだした彼は、入り口からは見えない位置にいるのか、あるいは、まだ来ていないのだろうか。
読書家というわけではないわたしは、まだ数えるほどしか図書室へ来たことがなかった。
そのために、物珍しく棚に並んだ本の背表紙を見ながら、奥へと入りこんでいく。
本棚にはさまれた狭い通路を歩いていくうちに、入り口から死角になってしまった。
これじゃあ、彼があとからやってきたときに、わたしがいることに気づかない。
そう考えたわたしは、入り口が見える位置へ戻ろうと振り返った瞬間、その声が図書室のなかで響いた。
『待ち合わせの彼は来ないよ。ここにいるのはきみひとりだけだ』
ヘリウムガスを吸って出したような高い声。
どこから聞こえてくるのか場所がつかめない。
心臓がドキリとして、正体不明の声に不安を感じた。
けれど、今朝のコンピューター室のような怪奇現象っぽさはない。
相手は誰だかわからないけれど、人間だとわかっているから。
もしかしたら、これから試験がはじまるのかもしれない。
そう思いついたわたしは、とり乱した姿を見せるなと凪先輩に釘を刺されたことを思いだし、悲鳴をあげないように我慢する。
そして、いかにも落ち着き払ってみせながら声の出所を探すように、本棚の上の空間をぐるりと見回したんだけれど。
そんな余裕を吹き飛ばすように、さらに声がかけられた。
『人間相手だからって安心するのは早いと思うよ。機械よりも人間のほうが怖いと思うなぁ。それと、これは試験じゃない。醜態をみせないように言われたみたいだけれど、女の子の怖がる姿は庇護欲を煽られて嫌いじゃないなぁ。こっちの場所がわからないんだ? それじゃあ不安だよね』
――もしかして。
わたし、考えを読まれてる!?
けれど、電気は消えていて、いつも図書室にいる係の先生の姿もなかった。
当然、生徒の姿はひとりも見当たらない。
わたしは図書室へ入ると、静かに扉を閉めた。
実技試験で残っている私は、別に見つかってもいいんだけれど。
あの彼は、本当は学校を出なければならないはず。
わたしに情報をくれるから彼も校内へ残ったのに、先生に見つかって叱られたら申しわけない。
彼の強引な約束のやり方を思いだしたりもしたけれど、根っから他人を悪く思えないわたしは、スルーすることにした。
凪先輩の強引な性格に比べたら、可愛いものだ。
わたしを呼びだした彼は、入り口からは見えない位置にいるのか、あるいは、まだ来ていないのだろうか。
読書家というわけではないわたしは、まだ数えるほどしか図書室へ来たことがなかった。
そのために、物珍しく棚に並んだ本の背表紙を見ながら、奥へと入りこんでいく。
本棚にはさまれた狭い通路を歩いていくうちに、入り口から死角になってしまった。
これじゃあ、彼があとからやってきたときに、わたしがいることに気づかない。
そう考えたわたしは、入り口が見える位置へ戻ろうと振り返った瞬間、その声が図書室のなかで響いた。
『待ち合わせの彼は来ないよ。ここにいるのはきみひとりだけだ』
ヘリウムガスを吸って出したような高い声。
どこから聞こえてくるのか場所がつかめない。
心臓がドキリとして、正体不明の声に不安を感じた。
けれど、今朝のコンピューター室のような怪奇現象っぽさはない。
相手は誰だかわからないけれど、人間だとわかっているから。
もしかしたら、これから試験がはじまるのかもしれない。
そう思いついたわたしは、とり乱した姿を見せるなと凪先輩に釘を刺されたことを思いだし、悲鳴をあげないように我慢する。
そして、いかにも落ち着き払ってみせながら声の出所を探すように、本棚の上の空間をぐるりと見回したんだけれど。
そんな余裕を吹き飛ばすように、さらに声がかけられた。
『人間相手だからって安心するのは早いと思うよ。機械よりも人間のほうが怖いと思うなぁ。それと、これは試験じゃない。醜態をみせないように言われたみたいだけれど、女の子の怖がる姿は庇護欲を煽られて嫌いじゃないなぁ。こっちの場所がわからないんだ? それじゃあ不安だよね』
――もしかして。
わたし、考えを読まれてる!?
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