キターッ!これがウワサの婚約破棄ですわねっ!

夏乃みのり

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この村の村長は、白鬚をたくわえた小柄だが目の鋭い老人だった。彼は私のことを、値踏みするようにじろじろと見つめてきた。

「…して、王都からいらっしゃったお貴族様が、このような何もない村に、一体何の御用で?」

村長の家は、村の中では一番大きいとはいえ、質素な作りの木造家屋だ。囲炉裏の火がパチパチと音を立てている。

「わたくしはリリアンヌ・フォン・クライネルト。父であるクライネルト公爵の名代として、本日よりこの村の領主代行を務めます」

私はできるだけ威厳を保って告げる。しかし、村長の態度は変わらない。

「領主代行、でございますか。我々のような見捨てられた土地に、今さら代官様が来たところで…」

その言葉には、長年放置されてきたことへの諦めと、貴族への不信感が滲んでいた。

「村の問題点をお聞かせ願えますか?」

私の問いに、村長はため息をつきながら重い口を開いた。問題は山積みだった。土地が痩せていて作物がろくに育たないこと。日々の糧を得るのが精一杯で、冬を越すのがやっとだということ。仕事がないため、若い者は皆、村を出て行ってしまうこと。

私は神妙な顔で頷きながら、彼の話に耳を傾ける。ふむふむ、なるほど。問題の本質は見えましたわ。

一通り話が終わると、私はパッと顔を上げた。

「解決策は、実にシンプルですわね」

「…ほう?」

訝しげな顔をする村長と、固唾をのんで見守るアラン。

「まずは、土壌の改良から始めましょう!この村の土は、生命力に欠けていますわ!ミミズを大量に繁殖させ、有機物を分解させるのです!そして、各家庭から出る生ゴミや家畜の糞尿を集めて、良質な堆肥を作るのですわ!」

「…………は?」

「はぁ…」

村長の呆気にとられた声と、アランの深いため息が重なった。

「まずは村の皆さんに、堆肥作りの重要性を説かねばなりませんわね!さぁ、皆さんを集めてくださいまし!」

「い、いや、しかし、お嬢様…」

「何をためらっているのですか!この村の再生は、一刻を争いますのよ!」

私は勢いよく立ち上がった。私の頭の中には、すでに緑豊かな畑と、元気に走り回る家畜たちの姿が広がっている。

「お待ちくださいリリアンヌ様!話が飛躍しすぎております!」

アランの制止も聞かず、私は村長の家を飛び出した。私の情熱を、行動で示す時が来たのだ!
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