キターッ!これがウワサの婚約破棄ですわねっ!

夏乃みのり

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私の調合した薬は、確かに効果があった。軽症だった者たちは、少しずつ快方へと向かっていった。しかし、重症化した老人や子供たちには、その効果も限定的だった。

「くっ…!何かが足りない…!」

私は古文書をめくり、必死で解決策を探した。そして、ある記述に目が留まる。

『…古き森の奥、月光のみを浴びて輝く『月の雫』。万病を癒す奇跡の薬草なり…』

「これですわ!」

しかし、その薬草が生えるという「古き森」は、強力な魔物が出没するため、村人たちが誰も近寄らない危険な場所だった。

「わたくしが行きますわ!」

私が立ち上がった瞬間、強く肩を掴まれた。アランだった。

「なりません。そこは、私が行きます」

彼の目は、有無を言わせぬほど真剣だった。

「あなたはこの村の希望です。あなたに万が一のことがあれば、この村は終わる。薬草の場所を教えてください。私が、必ずや持ち帰ります」

「アラン…」

「これは、あなたの護衛騎士としての、命令です」

彼の覚悟を前に、私は頷くことしかできなかった。

アランはたった一人で、古き森へと向かっていった。私は彼の無事を祈りながら、残された患者の看病を続ける。

しかし、夜になっても、アランは戻ってこなかった。不安が胸を押しつぶしそうになる。

その時、村の入り口が騒がしくなった。見張りの男が、血相を変えて駆け込んでくる。

「大変だ!アラン様が…アラン様が、魔物の群れに!」

私はハッとして、外へ飛び出した。見ると、森の入り口で、アランが数体のオークと戦っていた。彼の体はすでに傷だらけで、足元もおぼつかない。だが、その左手には、青白く輝く薬草が、確かに握られていた。

「アラン!」

私は叫んだ。その声に反応したのか、アランが一瞬こちらを向く。その隙を、オークが見逃さなかった。巨大な棍棒が、アランの背中に振り下ろされる。

ドッ、という鈍い音が響き、アランの体は、まるで木の葉のように宙を舞った。

「…ア、ラン…?」

地面に叩きつけられ、動かなくなった彼の姿。私の頭の中が、真っ白になった。
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